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2013年4月22日(月)付

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核燃サイクル―もはや机上の空論だ

青森県六ケ所村で日本原燃が試験運転している核燃料再処理工場の操業に、原子力規制委員会が「待った」をかけた。この工場を対象とする新しい規制基準は、12月にできる予定だ。そ[記事全文]

新型インフル―反省を生かして備える

新型インフルエンザなどの対策に関する特別措置法が施行された。肉づけする政府の行動計画案も先週まとまり、広く意見を募っている。万一に備えた対策や準備の大切さは、震災や原発[記事全文]

核燃サイクル―もはや机上の空論だ

 青森県六ケ所村で日本原燃が試験運転している核燃料再処理工場の操業に、原子力規制委員会が「待った」をかけた。

 この工場を対象とする新しい規制基準は、12月にできる予定だ。それまでは使用前検査をしない。原燃が見こむ年内の操業開始はむずかしくなった。

 原発関連施設の安全規制を徹底的に見直しているいま、当然の判断だ。ただし、新基準に適合するかどうかより、本質的な問題がある。直視すべきは、核燃料サイクル事業自体がすでに破綻(はたん)状態にあることだ。

 このまま工場を動かせば、使うあてのないプルトニウムが増える。国際社会から核拡散への疑念を持たれかねない。早く事業から撤退すべきだ。

 核燃サイクル事業は、使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、何度も燃やすことで「資源を有効利用できる」ことが、うたい文句だった。

 だが、中核を占める高速増殖炉は原型炉「もんじゅ」で失敗が続き、実用化のめどすら立たない。現状では、ウランとプルトニウムとの混合(MOX)燃料を既存の原子炉で使う「プルサーマル」しか使い道がない。

 MOX燃料は再々利用がしにくく、高効率は期待できない。使用後の保管も、通常のウラン燃料よりやっかいだ。

 原燃は操業後、4〜5年後には年間800トンの使用済み燃料を再処理する計画でいる。これは国内原発のうち16〜18基でプルサーマルを導入することが前提になっている。

 だが、震災前でも地元の同意とりつけなどで難航し、4基しか実現しなかった。うち1基は福島第一の3号機だ。今月、関西電力がフランスに再処理を委託していた高浜原発3号機用のMOX燃料を日本へ輸送すると発表したが、従来のプランどおりの運転はできまい。目標達成はもはや机上の空論だ。

 日本はすでに約45トンのプルトニウムを保有している。この処分にめどをつけないまま再処理工場を稼働すれば「利用目的のないプルトニウム」が増え、国際公約を破ることになる。

 それでも政府や電力業界が事業の継続にこだわるのは、再処理の旗をおろせば使用済み燃料が「廃棄物」となり、施設を受け入れてきた青森県との約束に反するからだ。

 地元とのていねいな話し合いが必要になるが、現実性を失った計画を進めてはいけない。

 使用済み燃料の中間貯蔵や、直接処分への道筋を早く描くべきだ。「つくったから動かす」は無責任である。

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新型インフル―反省を生かして備える

 新型インフルエンザなどの対策に関する特別措置法が施行された。肉づけする政府の行動計画案も先週まとまり、広く意見を募っている。

 万一に備えた対策や準備の大切さは、震災や原発事故で身にしみた。法律に基づき、国や自治体、病院などが具体的に動き出す意味は大きい。

 この法律の対象は、新型インフルなど、全国で急速に流行して国民の生命や健康、経済活動に重大な影響を及ぼす恐れがある未知の感染症だ。

 中国で感染報告が相次ぐ鳥インフル(H7N9)は人から人への持続的な感染が確認されておらず、今のところ対象外だ。

 あてはまる病気が海外で発生したら、国と自治体、病院などが連携して動く。医療に携わる人などに優先的に予防接種し、国内の発生を監視する。

 国内に入ってきたら、ピークを遅らせる策をとる。感染が一気に広がると医療がパンクして治るはずの人が重症になったり死んだりするし、「半年で全国民分」を目標とするワクチン量産への時間かせぎでもある。

 とくに悪質な感染症とみられる場合は、首相が緊急事態を宣言する。一般の人への予防接種を進めるほか、知事は不急の外出の自粛や、休校、集会・興行の制限などを要請できる。

 なかば強制的に業者に緊急物資を運ばせる、薬や食料品の売り渡しを求める、生活関連物資の値上げを許さないといった強い手立ても可能になる。

 国民の自由を一部制限してでも、対策を優先できるのだ。

 所管する内閣官房は「特措法や行動計画はあくまで対策のメニュー集。病気の特徴に応じて適切な対策を選ぶ」という。

 ワクチンの生産・接種態勢の確立、せきエチケットなど一般的な感染予防策の普及、情報提供の仕組み整備など、平時に進めるべきことは多い。

 さらに、課題がある。

 09年に豚由来のインフルが流行した際は、効果は限られるのに、空港で大規模な検疫を長く続けた。商店街の臨時休業など横並びの「念のための措置」も広がった。

 通常のインフルと同程度の脅威らしいとわかってからも、過剰な対策の修正は遅れた。

 当時は専門家の意見が軽視された反省が残る。特措法では医学から経済まで27人からなる有識者会議をつくり、意見を対策に反映する仕組みができた。

 社会への副作用も大きい特措法や行動計画を正しく使うためには、この有識者会議をうまく生かすことが大切になる。

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