■店舗面積日本一は「八重洲地下街」
ところで、地下街の定義はわかりにくく、時に誤解を生むことがある。
国土交通省によると地下街とは「公共の道路または駅前広場の地下にある、歩道に面して設けられた地下施設」のことを指す。広場や道路など公共用地の下にある商店街ということだ。駅ビルや民間の商業施設の地下にある店舗は、定義上は地下街ではない。民有地の地下だからだ。駅ビルの地下は「地下階」とも呼ばれる。
こうした定義に基づくと、多くの人が地下街だと思っている「東京駅一番街」や大阪・梅田の「阪急三番街」は地下街ではない、ということになる。東京駅一番街は東海道新幹線の地下にあるため、鉄道施設。阪急三番街は阪急梅田駅の地下にあり、駅下施設だという。いずれも民有地の地下なので地下街ではない。何とも複雑だ。
地下街はまた、東京と大阪とで誕生の経緯が異なる。大阪では交通事故や渋滞が社会問題化した1950年代に、歩行者の安全対策として生まれた。これに対し東京では駐車場の付帯施設として整備された。
東京の主要な地下街の運営会社はかつて、社名に「駐車場」が入っていた。「八重洲地下街」は八重洲駐車場株式会社、「新宿サブナード」は新宿地下駐車場株式会社、「池袋ショッピングパーク」は池袋地下道駐車場株式会社が発足時の社名だ。
こうしたこともあって、地下街の面積は通路や駐車場を含めた総面積として算出されている。国土交通省のデータを基に全国の地下街をランキング化すると、日本一広い地下街は大阪の「クリスタ長堀」となる。だが、各地下街が公表した店舗面積で比べると1位は八重洲地下街で、クリスタ長堀は12位にとどまった。
■地下街にも再編の波 どうなる東京の地下迷宮
全国の地下街ではこのところ、再編の動きが相次いでいる。姫路駅では再開発に伴い長らく地下街が休業していたが、3月28日、2年ぶりに再開した。2つの地下街をつなげ、名称も「グランフェスタ」と改めた。大阪の中之島地下街も2012年秋、周辺のビルの商業ゾーンと一体化する形でリニューアルされた。
名古屋駅にあった「ダイナード」は大名古屋ビルヂングの建て替えのため2012年秋に閉鎖。2015年10月に新たな地下街として生まれ変わる予定だ。
東京でも現在、再開発が続いている。地上が変われば、それに呼応して地下も変わっていく。ときに「地下迷宮」とも称される東京の地下が、ますます複雑化していきそうだ。(河尻定)
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三原橋地下街、歌舞伎座、地下街
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