気象警報 正しく理解4割余り4月21日 19時26分
大雨警報など気象庁が発表する「警報」の意味を正しく理解している人は、全体の40%余り、2人に1人に満たないという専門家のアンケート調査の結果がまとまりました。
調査を行ったのは、防災情報に詳しい静岡大学の牛山素行准教授です。
近年、大きな豪雨災害が起きていない静岡市と盛岡市、それに東海豪雨などの水害を経験した名古屋市の住民を対象に、先月インターネットでアンケート調査を行い、547人から回答を得ました。
それによりますと、大雨警報や暴風警報など、気象庁が発表する「警報」の意味について、「重大な災害が起こるおそれがあることを警告する情報」と正しく理解していたのは、全体の43.1%にとどまりました。
これに対し、「注意報」の説明に当たる「災害が起こるおそれがあることを注意する情報」と誤解していた人は43.7%で、警報と注意報の違いが十分に理解されていない結果になりました。
また「警報」の地域的な広がりについても尋ねたところ、「市町村単位くらい」と正しく理解していた人は38.4%にとどまり、このほかの人は「県内を複数の地域に区分するくらい」と広く捉えたり、逆に「市町村をさらに複数の地域に区分するくらい」と狭く捉えたりしていました。
調査をした牛山准教授は、「気象警報という最も伝統的な情報ですら、住民全員が正しく理解するのは、非常に難しいということを示す結果だ」と述べたうえで、「広く理解してもらうよう努力するとともに、少なくとも自治体や地域の防災担当者に理解してもらうよう取り組むことが必要だ」と指摘しています。
注意報と警報と特別警報
気象庁は、災害への注意や警戒を呼びかけるため、注意報と警報などの情報を発表しています。
このうち注意報は「災害のおそれがある場合」、警報は「重大な災害のおそれがある場合」に発表されます。
こうした情報の発表基準は、気象庁が自治体と協議して決めていて、これを元に自治体は、住民に避難を呼びかけるなどの対応を検討することになっています。
しかし、おととし9月に台風12号による豪雨が紀伊半島を襲った際に、気象庁は、大雨警報などで警戒を呼びかけましたが、速やかな住民の避難に結びつきませんでした。
また去年、九州北部を豪雨が襲った際にも、大雨警報などを発表しましたが、速やかな住民の避難に結びつきませんでした。
このため、気象庁は、より強い警戒を呼びかけるために「特別警報」と呼ばれる新たな情報の導入を目指していて、先月、今国会に法案を提出しました。
「特別警報」について気象庁は、「重大な災害が起きるおそれが著しく大きい場合」に発表し、発表された場合には、「経験したことのないような激しい豪雨や暴風など異常な気象現象が起きそうな状況だとして、身を守るための最善を尽くしてほしい」と説明しています。
調査を行った牛山准教授は、「これから仮に新たな情報を作ると、その内容を知ってもらうには、さらに時間がかかるので、周知を徹底する必要がある」と導入にあたっての課題を指摘しました。
そのうえで、「従来警報が出たあとで、状況がさらに深刻になった場合に、それを明確に伝える情報というのが必ずしも整備されていなかった。特別警報は、そこの部分を充実させようというのが意図なので、今までの警報が軽くなったという理解は決してしないようにする必要がある」と話しています。
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