福島第1原発事故:浪江町の避難区域再編 9市町村で完了

毎日新聞 2013年04月01日 01時04分(最終更新 04月01日 01時11分)

見直しが決まった避難区域
見直しが決まった避難区域

 東京電力福島第1原発事故で福島県浪江町に設定された警戒区域と計画的避難区域が1日午前0時、空間放射線量に応じ3区域に再編された。住民帰還の前提となる避難区域再編が始まって1年で、対象11市町村のうち9市町村が完了。だが、汚染土の中間貯蔵施設設置のめどが立っていないため、国の除染工事は計画より遅れ、帰郷の日は定かでない。【栗田慎一】

◇住民の8割 立ち入り可能に

 政府の原子力災害対策本部と浪江町によると、(1)町西部の山間部などが原則立ち入り不可の帰還困難区域(年間累積放射線量50ミリシーベルト超、帰還見込み17年)(2)中央の平野部が居住制限区域(20ミリシーベルト超〜50ミリシーベルト以下、16年)(3)東側海沿いが避難指示解除準備区域(20ミリシーベルト以下、同)−−に再編された。

 立ち入りが可能になる(2)と(3)の住民が約8割(約1万6000人)を占める。1日には避難先の二本松市から、(3)にある町役場に役場機能を一部戻す。

 避難区域再編は、線量の低いエリアから先行して立ち入り制限を緩和し▽国の除染工事▽インフラ復旧▽住民による自宅の片づけ−−などを進めて「住める町」に戻す狙いだ。昨年4月1日の田村市と川内村を皮切りに▽南相馬市(昨年4月)▽飯舘村(7月)▽楢葉町(8月)▽大熊町(12月)▽葛尾村(今年3月)▽富岡町(同)−−と、国との協議が整った自治体から順に進んできた。

 ただ、区域再編は、避難先で生活基盤を築き始めた住民が離郷を決断する「きっかけ」となる恐れもはらむ。再編されると、東電から住民へ自宅・土地などの財物賠償の支払いが始まるためだ。浪江町幹部は「除染が計画通りに進まず、効果も上がらなければ、賠償金を元手に避難先で住宅を購入する避難者は増えるだろう」と漏らす。

◇残る双葉、川俣の2町 再編に反発も

 残る双葉、川俣の2町も4月中の再編を目指すが、住民の意見調整が難航し具体的な日程は未定だ。国の当初目標だった昨春の一括再編から、1年以上遅れることになる。

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