和歌山県太地町(Taiji)の湾に追い込まれる2頭のハナゴンドウ(2003年11月23日撮影、資料写真)。(c)AFP/RYAN NAKASHIMA
【10月16日 AFP】和歌山県太地町(Taiji)のイルカ漁に抗議して8月に同町との姉妹都市提携の停止を決議した豪ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州ブルーム(Broome)市が、同決議の撤回を決定した。ブルーム市議会が16日、明らかにした。13日に開かれた市議会で、太地町との提携継続を決めたという。
市議会は、「十分に協議せず、提携停止を性急に決議したことによる非礼に、ブルーム市の日本人コミュニティおよび太地町の人びとやその家族、知人に、全面的に謝罪する」と述べている。
また、ブルーム市のグレーム・キャンベル(Graeme Campbell)市長は、「地元の文化交流団体などからの声をうけ、姉妹提携停止決議は無効となった」と語った。決定は、太地町にも知らされたという。
ブルーム市と太地町は、1981年に姉妹都市の提携を結び、30年近くにわたって交流を続けてきた。だが、同町で毎年、2万3000頭のイルカが殺されていると主張する環境活動家からの反発をうけ、同市議会は8月22日、太地町との姉妹都市提携の停止を決定した。
イルカ漁の問題は、ブルーム市でも感情的な問題に発展し、日本人墓地に紙製のイルカとともに「(イルカの)殺りくを止めろ」との落書きが残されるなどの嫌がらせが発生した。
こうした事態について、ブルーム市議会は「悲しみを覚える」と述べ、該当地域に監視カメラを設置する計画を明らかにした。
その一方で、市議会は「イルカ猟は容認できない」との立場も明確にしている。
近年の日豪関係は、日本の調査捕鯨をめぐって、緊張が高まっている。(c)AFP