センバツ:済々黌が完封で55年ぶり勝利 常総学院降す
毎日新聞 2013年03月26日 14時25分(最終更新 03月26日 21時00分)
第85回記念選抜高校野球大会は5日目の26日、2回戦3試合。第2試合は、済々黌(熊本)が中盤に挙げた2点を、主戦・大竹が守りきり、常総学院(茨城)に無四球完封勝ちした。済々黌はセンバツ55年ぶり勝利。今大会初の延長戦となった第1試合は、済美(愛媛)が延長十三回、広陵(広島)を振り切りサヨナラ勝ち。
○済々黌(熊本)2−0常総学院(茨城)●
済々黌が零封勝ち。四回1死一塁に大竹が中越え適時三塁打を放って先制。さらに暴投で大竹が生還した。左腕の大竹は低めに丁寧に集める投球が光り、無四球で完封。被安打9で何度もピンチを招いたものの冷静に後続を断った。常総学院はエースの飯田が11奪三振の力投を見せたが、打線が好機を生かせなかった。
◇球種増やし、投球に磨き…冬場の努力結実
八回2死二、三塁。4番打者を迎えた済々黌の大竹は、思考を巡らせた。相手の内田には2安打されている。「四死球で満塁でもいい。ボール球で勝負しよう」と一度は腹をくくったが、やはり逃げたくはなかった。
「スライダーが良くなかったし、変化球で打たれたら悔いが残る」と初球は内角の直球で見逃しのストライク。2球ボールの後、再び内角へ直球を投じ、ファウルで追い込んだ。5球目はどうするか。捕手・安藤の要求は外角の直球だったが、大竹は「(内田は)ストレート狙い。意表を突いた」と冬場に精度を高めたチェンジアップを選択。「インハイの直球を張っていた」という内田の裏をかき、バットに空を切らせた。
昨夏の甲子園で大阪桐蔭打線に3本塁打を浴びるなどめった打ちにされた。その苦い経験を糧に、冬場は勝負どころで使える球種を増やし、打たせてとる投球に一層磨きをかけた。再三得点圏に走者を背負っても切り抜け、完封できたのはその成果。安藤は「持ち味が出ていた」と話した。
四回に決勝の適時三塁打を放ち、春55年ぶりの白星に投打で貢献した。前回1958年のセンバツを制した先輩たちに「続きたい」と大竹。冷静沈着な「クレバー投法」で次も抑えてみせる。【立松敏幸】