帰宅困難者条例:4月施行 食糧3日分備蓄、企業に負担

毎日新聞 2013年03月25日 11時46分(最終更新 03月25日 12時09分)

 首都直下地震などに備えた全国初の「帰宅困難者対策条例」が、4月から東京都で施行される。東日本大震災で約515万人の帰宅困難者が発生して交通などが大混乱したのを教訓に、条例は「災害時はむやみに移動しない」との原則を打ち出し、都内の事業所に全従業員3日分の食糧の備蓄を努力義務化した。だが準備が追い付かない企業も多く、課題は山積している。

 総量約10トン。三井不動産(中央区)は今月、条例施行を前に、500ミリリットルの水のペットボトル約2万本を社員向けに用意した。

 グループ会社を含む従業員は約1200人。これまでも非常食入り防災キットを配っていたが、条例は1人当たり9リットル(1日3リットルを3日分)の水の備蓄を目安としているため、大量の追加購入が必要になった。ボトルを詰めた段ボール約1700箱はビル内の倉庫数カ所に置く予定で、同社広報部の担当者は「企業の社会的責任として、できる限り対策を進める」と話す。

 一方、都心の賃貸ビルに事務所を置く携帯電話販売会社は今月、新たに水と非常食を10万円分購入したが、量は社員の7割にあたる約40人分にとどめた。幹部は「全従業員が3日間も会社から出られなくなることが本当にあるのか。賞味期限が来るたびに買い替える負担も小さくない」と言う。

 中小企業にとっては保管場所の確保も悩ましい。この会社もオフィスに空きスペースがなく、パソコンのサーバールームに仮置きしているという。都は約3000社のサンプル調査を実施し、備蓄状況を定期的に把握するとしている。

 また、買い物客や観光客など、行き場のない人は最大92万人に上るとみられている。条例はこうした人たちに対し、すぐに帰宅せず初期救助活動が一段落する3日間程度は一時滞在施設で過ごすよう求めている。しかし現在確保できている一時滞在施設は都立高や民間のホテル、オフィスビルなど10万人分程度しかない。

 都は民間の協力を促すため、4月から備蓄品の約8割を公費で賄える助成制度を始めるが、収容した帰宅困難者が余震などで負傷した場合に賠償責任が生じるのを懸念し、二の足を踏む企業も少なくない。都は免責を明文化する制度創設を国に求めているが、内閣府防災担当は「検討中」とするだけで進展は見られない。

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