堀潤さんインタビュー:NHK辞めた理由、ネットメディアへの思い、政界進出 すべてを語った

2013年04月21日

インタビューに応じる堀潤さん=東京都新宿区で2013年4月13日、岡本同世撮影
インタビューに応じる堀潤さん=東京都新宿区で2013年4月13日、岡本同世撮影

 堀さん 双方に改善の余地がある。まずマスメディア側の話で言うと、イギリスの新聞ガーディアンは「オープンジャーナリズムを実現します」と高らかに宣言して、編集長が「ジャーナリストは世界で唯一の専門家でない」と明言している。これだけ多様で複雑な世の中を迅速に報道するにはあらゆる人々の専門的な知見をニュースルームに結集させる必要があり、ジャーナリストだけでなく科学者、弁護士、1次情報をもった市民など、いろんな人が一つのニュースに参画して検証しあうような報道をめざそうとやっている。たぶんこれはインターネット後の社会ではもっとも理想に近い形のジャーナリズムのあり方だと思う。

 たしかに福島第1原発事故でも、ジャーナリスト一人がすべての状況を検証したりは難しい。それよりスピード感をもってやるにはニュースの製作段階から科学者や専門家と一緒に情報を検証しあうことがスムーズにできればいい。CNNも、一般視聴者からの映像やニュースを一回サイトに集めて、CNN側でこれはすごいと思ったものをどんどん放送にとりいれている。普通の記者のあとに、一般の人が現場から中継したりする、そういう試みを非常に重要だと思う。

 ただ、日本は情報を発信したい市民は多くなかった。最近やっとツイッターとかフェイスブック、ユーチューブを使った発信が広まったが、そのきっかけになったのは震災と、スマートフォンの普及。だから、まだここ数年の出来事で、まだまだ私たちが自分で情報発信するときに、あやうい伝聞情報を本当のようにツイッターに流したり、デマ情報をどんどんリツイートする。そういう環境の底上げが絶対に必要なので、僕は8bitnewsで教育啓蒙(けいもう)的活動を軸に据えて、市民の情報発信力の強化をやっていきたい。

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