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ベアテ・シロタ・ゴードン『1945年のクリスマス』を読む(2) |
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タイトルが「1945年のクリスマス」となっている理由は何か。ベアテ・シロタのこの著作を紹介している情報は多いが、題名の由縁を説明した記事は少ない。この自伝は、1945年の12月24日にベアテが5年ぶりに日本に帰国したプロローグから始まる。GHQ民政局の職員公募に応募して採用され、NYからサンディエゴ、ハワイを経由し、さらにグアムから厚木へと飛び、日本の地を再び踏んだ日が1945年のクリスマス・イブだった。つまり、作品の構成として、プロローグの場面がタイトルになっているのであり、読者の関心を惹き寄せ、意外な題名の意味を教える形で叙述が始まる工夫になっている。クライマックスは第5章の「日本国憲法に『男女平等』を書く」で、90頁(P.128-219)が割かれている。そこまでは、東京での少女時代やSFでの学生生活が回顧されているが、憲法草案に至る助走路として飽きさせない。これも本を読んで初めて知ったが、ベアテは、ロシア語、ドイツ語、フランス語、英語、日本語の5か国語に堪能な、恐るべき多言語能力のカリスマだった。両親がキエフ出身のユダヤ系ロシア人で家庭ではロシア語、生まれて5歳までウィーンに暮らし、東京に来てからは大森のドイツ人学校に通い、小学校まではドイツ語の教育環境で育っている。13歳から中目黒のアメリカンスクールに移り、16歳からSFのカレッジに留学して英語環境となる。
by thessalonike5 | 2013-04-19 23:30 | Trackback(1) | Comments(2)
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