米工場爆発:「核爆発のようなキノコ雲」 犠牲者「多数」
毎日新聞 2013年04月18日 21時21分(最終更新 04月19日 00時59分)
【ロサンゼルス堀山明子】米南部テキサス州ウェストの肥料工場で17日に起きた大規模爆発で、地元警察当局者は18日午前に記者会見し、現時点で5〜15人が死亡したことを確認した。工場の火災は18日朝も続き、2800人の住民の半数に退避勧告が出された。オバマ大統領は同日、犠牲者に祈りをささげ、現地を全力で支援するとの声明を出した。
米地質調査所によると、爆発によりマグニチュード(M)2・1の地震が発生。爆発音は数十キロ離れた場所でも聞こえたといい、ウェストのトミー・ムスカ町長はCNNの取材に「核爆発のようなキノコ雲が見えた」と語った。
18日に記者会見した現地当局者は「多数」が犠牲になったと述べたが、具体的な数には触れていない。死亡者には消防隊員らも含まれるという。50〜75棟の住宅が損壊し、約50世帯が住むアパートも全壊した。近くの高齢者施設も被害を受け、入居者約130人が避難、一部にけが人が出ている模様だ。崩壊した建物などに閉じ込められている人がいないか捜索が続いている。
ウェスト警察の当局者は会見で爆発について「工業事故であること以外を示す材料はないが、念のため事件として対応している」と語った。
現場の南約30キロのウェーコ市内の病院には約60人が収容され、病院関係者によると約40人が重傷という。別の病院でも60人以上の負傷者が確認された。
日本人の被害は確認されていない。
消防当局などによると、工場内のアンモニアタンク付近で火災が発生して約30分後に複数回の爆発が起き、敷地外まで炎が燃え広がった。原因は不明。加熱すると爆発する無水アンモニア約25トンがあったという。
AP通信によると、爆発があった肥料工場は2006年6月に住民から「悪臭がする」と苦情があり、州当局から立ち入り検査を受けたことがある。
17日夜の段階では、有毒ガスの発生や敷地内に残ったアンモニアの追加爆発の懸念などから消防隊員が現場入りできなかった。周辺にはガスマスクを付けた警官も展開したという。