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生活保護費カットに潜む「巨大利権」 製薬メーカーがウハウハに!

サイゾー 2月26日(火)12時55分配信

 2012年12月に誕生したばかりの自民党・安倍晋三政権が、「生活保護費の大幅引き下げ」を打ち出した。これにより1100億円ほどの予算を浮かせる計算だという。その一方で、借金をいとわず10兆円規模の補正予算を組み、公共工事をガンガンやるというのだがら、生活保護費のカットなど焼け石に水でしかない。

 なのに、世間の大きな反発を生んでまで、性急に生活保護費カットに動いたのは、なぜか? ある厚生労働省の関係者が告発する。

「実は社会保障費の抑制という建前とは裏腹に、計算し尽くされたある利権が動いている。心身を壊しがちな受給者に欠かせない、クスリの利権なんだよ」

 生活保護費とクスリの利権……どのような関係にあるのだろうか?

 まず、膨れ上がる生活保護費が、この国の財政を揺るがせるほどの負担になっていることは否めない。あの08年のリーマン・ショック以降、受給者は増え続け、昨年時点で21 0万人に到達。生活保護費は、国と地方を合わせ総額3兆7000億円。もはや限界だ。

 そこで安倍政権は今回、生活保護費のうち、衣食住の費用に充てる「生活扶助費」という枠をクローズアップし、大幅引き下げを言いだした。ここがミソだ。前出の厚労省関係者によると、安倍政権がこの「生活扶助費」に切り込むことをことさら強調したせいで、問題のすり替えが行われたというのだ。

「生活扶助費というのは、生活保護費のうちの衣食住にかかる費用のこと。田村憲久厚労大臣は報道陣を前に、最低賃金で働く家庭のほうが、生活保護費受給家庭より冷遇されているというデータをわざわざ持ち出し、生活保護費を3年間で740億円削減する根拠にした。これって、食事や着るものくらい粗末でもいいんだから辛抱しろという話。そんな話を新聞・テレビが大々的に垂れ流す一方で、実は、生活保護費の中でももっと大事な予算の削減が行われようとしている。400億円以上のカットが予定される『医療扶助費』のこと。ここにクスリの利権が潜んでいる」(前出・厚労省関係者)

 実は、したたかな自民党は、政権奪取をする前から、この「医療扶助費」という枠を使った巧妙な利権のカラクリを仕掛けていた。

 野党時代の安倍総裁率いる、自民党の生活保護プロジェクトチーム(PT)がそれ。昨年11月、受給者向けにジェネリック薬の使用を義務付け、生活保護問題とワンセットにして扱うよう提言していたのだ。


■生活保護費カットで製薬業界が再編拡大へ


 ジェネリック薬といえば、新たに開発された「先発薬」の特許が切れた後に作られる薬のことで、「後発薬」とも呼ばれる。表向き、先発薬と同じ有効成分で作られ、同じ効果があると宣伝されていることは、最近、テレビコマーシャルが盛んに流れるようになったから、ご存じのことだろう。

 このジェネリック薬は先発薬に比べて開発期間や費用を低く抑えられるため、価格が安い。実は、先に触れた「医療扶助費カット」は、高い先発薬をジェネリック薬に置き換えれば、自動的に400億円分の削減効果がありますよ、という理屈の上に成り立っている。だが、安倍政権のもくろみは、この程度ではない。

「1兆3000億円にも上る生活保護受給者の医療費に目をつけたんだ。受給者の2割ほどしかジェネリック薬を使っていないというデータがあるから、国が面倒を見ているという立場から強気に出られるので、これらの受給者に服薬を強制し、ジェネリック市場を一気に押し広げ、ジェネリック薬メーカーを潤わそうとしたわけだ」(全国紙社会部記者)

 もちろん、これにより、先発薬を作る大手の製薬メーカーが割を食ってしまわないよう、安倍政権は手厚い政策を用意した。例えば、iPS細胞を使った新薬開発に1000億円もの開発費を投入し、世界市場に大手製薬会社が進出できるようなプランなどを打ち出している。

 つまり、風邪薬のような市販薬レベルはジェネリック薬メーカーで、世界の市場を狙えるような新薬は大手製薬会社が担うというすみ分けを行い、製薬業界を挙げて海外も含む巨大なクスリ市場のパイをぶん捕ろうというもくろみが、生活保護費カットの裏に透けて見えるのだ。

「実際、安倍政権がスタートさせた諮問機関を見れば、製薬業界をごひいきにしているのがよくわかる。財政経済諮問会議メンバーには、田辺三菱製薬の持ち株会社である三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長。国内各産業の強化のために規制緩和を進める砦とされる産業競争力会議には、武田薬品工業の長谷川閑史社長が入っている。業界団体『日本製薬工業協会』の手代木功会長(塩野義製薬社長)は、新年の挨拶の中で、安倍政権に対し、閣僚と製薬業界首脳同士が直に協議する『官民対話』なる秘密会議を設けるようエールを送るほどの歓迎ぶりだ」(同)

 安倍政権と製薬業界の蜜月ぶりは、政治資金を見ると一目瞭然だ。安倍首相には、「日本薬業政治連盟」「製薬産業政治連盟」といった製薬業界を取り仕切るメインの政治団体が、トータルで年平均500万円の献金やパーティ券の購入をしている。

 田村厚労相には、これらのメインの政治団体の献金はもちろんのこと、ジェネリック薬を普及させる市場として注目される置き薬業界の「全国配置家庭薬業政治連盟」からも献金を受けている。さらに、興味深いのは麻生太郎財務相。こんなメーカーの献金がある。

 丹平製薬(大阪)▽メディセオ(東京)▽三輪製薬(東京)▽サラヤ(大阪)▽小林製薬(大阪)▽大幸薬品(大阪)▽上野製薬(大阪)▽日本化薬(東京)

 いずれも大手医薬品メーカーを追う中堅の製薬会社である。これらの会社からの献金は、ジェネリック薬を含め、製薬市場の拡大を狙うメーカー側の期待の表れだろう。

 最後に、生活保護をめぐり、もうひとつ無視できない事実がある。生活保護費のカットに見られるごり押しが、さらにエスカレートしかねない事態が出てきているのだ。

 福岡県警は今年1月末、同県中間市から生活保護費をだまし取った詐欺の疑いで、同市職員と60代の無職男性ら4人を逮捕した。09年に、福岡市に住んでいた無職男性らが中間市に居住しているとの虚偽の書類を提出、市から生活保護費約1010 万円をだまし取った容疑だった。前出の社会部デスクが言う。

「自治体職員が不正受給の共謀容疑で逮捕されるのは、極めて異例。どうやら、警察を挙げて不正受給を立件するよう号令が出ているようだ。受給者の悪質性をマスコミが取り上げれば、生活保護費のカットは正当化される……そんな安倍政権の思惑通りに当局も動いている」

 まさに問答無用の安倍政権。この先、どんな手を繰り出してくるか。その裏にある思惑込みでチェックしていく必要がある。

(構成/編集部)

最終更新:2月26日(火)12時55分

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