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IT用語辞典 e-Words
06.10.31更新
エーディーエスエル

ADSL
【Asymmetric Digital Subscriber Line】

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電話線を使い高速なデータ通信を行う技術。電話の音声を伝えるのには使わない高い周波数帯を使って通信を行うxDSL技術の一種で、一般の加入電話に使われている1対の電話線を使って通信する。

「非対称(asymmetric)」の名の通り、ユーザ側から見てダウンロードに相当する電話局→利用者方向(下り)の通信速度は1.5〜約50Mbps、その逆のアップロードにあたる利用者→電話局方向(上り)の通信速度は0.5〜約12Mbpsと、通信方向によって最高速度が違っている。

ADSLが使っている周波数帯は電気信号の劣化が激しいため、ADSLを利用できるのは電話線の長さがおよそ6〜7kmまでの電話回線に限られる。また、ADSLを利用できる電話回線でも、実際の通信速度は回線の距離や質に大きく影響される。

ADSLはxDSL技術の中で最初に実用化されたもので、既に一般家庭に広く普及している電話線を使うために手間がかからず、しかも一般家庭でも利用できる料金で高速なインターネット接続環境を提供できる技術として急速に普及した。

ADSLはまずアメリカで普及が始まったが、日本では電話回線を管理するNTT東日本・西日本がISDNとの混信を理由としてADSLに難色を示していた。そして、NTT地域会社はADSL接続に必須となるMDF(主配電盤)での相互接続をADSL事業者になかなか許可せず、これが原因で実用化が遅れていた。

しかし、1999年12月にNTT地域会社がMDFでの相互接続を認め、東京めたりっく通信(当時)やNTT-ME(当時)などが首都圏の数ヶ所の電話局に収容されている電話回線を対象に、限定的ながら商用サービスを開始した。この流れを受けて、2000年には全国の電話局を対象にした本格商用サービスが通信事業者各社によって開始され、ADSLに消極的だったNTT地域会社も、2000年12月に商用サービス(フレッツ・ADSL)を開始した。

国内では当初G.992.2(G.lite)規格による1.5Mbpsサービスが主流だったが、Yahoo! BBG.992.1(G.dmt)規格による8Mbpsサービスを2001年8月に開始。これに追随する形で他社も続々と8Mbpsサービスを開始し、猛烈な勢いで8Mbpsサービスの普及も進むことになった。また、2002年9月以降、G.992.1規格を独自に拡張して12Mbpsサービスを行うADSL事業者も現れ、競争の少ない通信分野としては珍しく、事業者間のサービス競争が白熱している。


関連用語

DSL xDSL 電話線を使って高速なデジタルデータ通信をする技術の総称。既存の電話線を流用できるので、光ファイバーが普及するまでの「つなぎ」サービスとして急速に普及しているが、電話局と利用者の距離が短くないと使えない、日本ではISDNと混信する恐れがあるなどの欠点もある。

Mbps 通信速度の単位の一つで、1秒間に何百万ビットのデータを送れるかを表す値。1Mbpsは100万bps(=1000kbps)で、1秒間に100万(=10の6乗)ビットのデータを送れることを表す。

ブロードバンド 電波や電気信号、光信号などの周波数の帯域幅が広いこと。また、それを利用した高速・大容量な通信回線や通信環境。

フレッツ・ADSL NTT地域会社(NTT東日本・西日本)が提供する、ADSL接続サービス。電話局までの回線を加入電話回線(いわゆる普通の電話回線)と共用するタイプと、フレッツ・ADSL専用の回線を使用するタイプが用意されており、専用回線を使用する方が月額使用料が高くなっている。

G.Lite Universal ADSL 1999年6月に国際電気通信連合(ITU-TS)によって「G.992.2」として標準化された、簡易型ADSLの技術仕様。

ADSLモデム コンピュータをADSL回線に接続する際に必要になる信号変換機。電話回線でデータ通信を行うときに使うモデムに役割が似ていることから、このように呼ばれるようになった。

VDSL xDSLの一つ。1対の電話線を使って通信する。ADSLと同じ非対称速度型であり、伝送速度は電話局→利用者方向(下り)が13Mbps〜52Mbpsで、利用者→電話局方向(上り)が1.5〜2.0Mbps。

スプリッタ 公衆電話回線網を使ってADSLによるデータ通信を行う際に、音声信号とデータ信号とを分離する装置。ADSLでは音声信号とデータが同じ回線の中を流れてくるため、これをそれぞれ電話機とADSLモデムとに分けて届ける必要がある。

G.dmt 1999年6月に国際電気通信連合(ITU-TS)によって「G.992.1」として標準化された、ADSLの技術仕様。

Annex C 世界の各地域の通信事情を考慮した規定を加えた付帯規格のうち、日本向けのもの。

DSLAM 複数のxDSL回線を束ね、ルータなどの通信機器と接続して高速・大容量な基幹回線(バックボーン)への橋渡しを行う集線装置。

Annex A 世界の各地域の通信事情を考慮した規定を加えた付帯規格のうち、北米向けのもの。

光収容 加入者宅とNTT電話局の間の回線の一部に光ファイバーが使用されていること。比較的新しいビルなどでは、電話局からビルまでを光ファイバーで結び、ビルの中がメタル回線になっている場合がある。

エコーキャンセラ 電気信号や音声の出力が入力機器に拾われてエコーやハウリングを起こすのを防止する機器や技術。電話の場合、スピーカーから出力された音声をマイクが拾ってしまい、エコーやハウリングを起こすことがある。

FTTH 光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス。元は、一般家庭に光ファイバーを引き、電話、インターネット、テレビなどのサービスを統合して提供する構想の名称だったが、転じて、そのための通信サービスの総称として用いられるようになった。

MHz 1秒間に100万回を意味する、周波数や振動数の単位。「mega-」(メガ)は100万倍を意味する接頭辞で、MHzはHz(ヘルツ:1秒間に1回)の100万倍、kHz(キロヘルツ)の1000倍、GHz(ギガヘルツ)の1000分の1倍にあたる。

モバイル 携帯電話機、携帯できる、移動できる、動きやすい、といった意味の英単語。ITの世界では携帯可能な情報・通信機器や移動体通信システム、また、それらのために開発されたソフトウェアなどの名称の一部に使われることが多い。

CATV ケーブルテレビ テレビの有線放送サービス。山間部や人口密度の低い地域など、地上波テレビ放送の電波が届きにくい地域でもテレビの視聴を可能にするという目的で開発された。

WiMAX 2003年1月にIEEE(米国電気電子学会)で承認された、固定無線通信の標準規格。IEEE 802.16規格の使用周波数帯を変更したもの。

ひかり電話 NTT東日本・西日本が提供する光ファイバー通信サービス「Bフレッツ」を利用したIP電話サービス。メタル回線(電話線)を引かなくてもインターネット接続サービスと一般電話サービスの両方を受けられる。

光IP電話 光ファイバー回線を利用したIP電話サービス。音声をデータに変換して、光ファイバーを使って相手と送受信することにより通話を行う。

DOCSIS ケーブルテレビ(CATV)の回線を利用して高速なデータ通信を行うための規格。元々北米の業界団体などが推進していもので、ITU-TS(国際電気通信連合)によってJ.112として標準化された。

ケーブルモデム ケーブルテレビ(CATV)の回線を用いてコンピュータなどからデータ通信を行うための接続装置。ケーブルテレビ事業者によるインターネット接続サービスなどのために用いられる。

PLC 電力線を通信回線として利用する技術。電気のコンセントに通信用のアダプタ(PLCモデム)を設置してパソコンなどをつなぐことにより、数Mbps〜数百Mbpsのデータ通信が可能となる。

Bフレッツ NTT地域会社(東日本・西日本)の、光ファイバーを用いた一般家庭向けデータ通信サービス。光ファイバーによる通信サービスを一般家庭に普及させる「FTTH」(Fiber To The Home)計画を実現するサービスである。

NTT 日本最大の電気通信事業者グループ。1984年の電信電話公社の民営化に伴い誕生した。1998年にNTT法改正に伴い分割され、純粋持ち株会社のNTT、長距離・国際・データ通信のNTTコミュニケーションズ、県内通信のNTT東日本とNTT西日本の4社に再編された。

ISDN 電話やFAX、データ通信を統合して扱うデジタル通信網。日本ではNTTが「INSネット」の名称でサービスを提供している。

フレッツ NTT東日本・西日本のデータ通信サービスのブランド名。インターネット接続のためのアクセス回線を提供するサービスで、インターネットを利用するには別途ISP(インターネットサービスプロバイダ)事業者と契約する必要がある。

NTT東日本 NTTグループで東日本地域の市内通話サービスなどを提供する事業会社。日本電信電話株式会社(NTT持株会社)の100%子会社で、1999年のNTT分割・再編に伴って誕生したNTT地域会社の一つ。

加入者回線 NTTなどの電気通信事業者の設備と加入者の間を結ぶ回線のこと。事業者の施設間や事業者間を結ぶ回線は基幹回線とかバックボーン回線などと言う。

専用線 ある特定の二地点間を結ぶ専用回線。企業などが通信会社から借り受け、自社専用の通信回線として拠点間のコンピュータネットワークを接続したり、インターネットに接続したりするのに使われる。

NTT西日本 NTTグループで西日本地域の市内通話サービスなどを提供する事業会社。日本電信電話株式会社(NTT持株会社)の100%子会社で、1999年のNTT分割・再編に伴って誕生したNTT地域会社の一つ。

通信事業者 音声通話やデータ通信をはじめとする各種の通信サービスを提供する企業。日本の法律上の用語では「電気通信事業者」という。

加入電話 電話会社と利用契約を結んで回線を引き込むことにより、他の利用者や公衆電話、携帯電話、海外などとの通話が可能になる電話サービス。

ITU-TS 国際電気通信連合(ITU)で電気通信に関する技術の標準化を担当する部門。電気通信に関する技術を標準化し、勧告を発表している。

INS NTTのISDNサービスの商品名。通常の電話と同じ銅線を使い、Bチャネル(64kbps)2本とDチャネル(16kbps)1本からなる「INSネット64」と、光ファイバーを使い、Bチャネル(64kbps)23本とDチャネル(64kbps)1本からなる「INSネット1500」の二つの品目がある。

電話加入権 加入電話を引くことができる権利で、NTT地域会社に「施設設置負担金」を支払った者に与えられる。施設設置負担金とは、NTT地域会社が電話インフラを整備するために必要となる資金の一部を加入者が負担する制度で、現在の金額は72,000円。

公衆交換電話網 PSTN 一般の加入電話回線ネットワークのこと。「公衆電話交換回線網」などと訳される。末端に電話機をつないで、回線交換方式で相手に接続して音声通話をするのに使う。

直収型固定電話サービス NTT東日本・西日本を介さずに利用者が直に個々の通信会社に加入する形の固定電話サービス。72,000円の施設設置負担金を支払う必要がなく、基本料金もNTT地域会社より安い。

KDDI 第二電電(DDI)、国際電信電話(KDD)、日本移動通信(IDO)の3社が2000年10月に合併して誕生した総合通信事業者。

ユニバーサルサービス 全国どこでも一律にほぼ同じ価格や条件で利用できるサービスのこと。生活に不可欠なサービスとして、国民全般に公平かつ安定的に提供されるべきサービスを指す。

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