130421
元トピ職人の釣り解説を解説する
[コラム]釣り分析”「歌い手」だった私にかけられた魔法が解けた”|元トピ職人の釣り解説
http://topisyu.tumblr.com/post/48442003797
野暮を承知で「答え合わせ」をしてみようと思います。後出しジャンケンみたくなって、あまり良い気はしないんですけど、この方の分析芸に対して、分析された側からのリアクションってあまり見た事が無かったから、じゃあ、おれがやってみようか、と。
最初に申し上げておきますと、僕はこの「元トピ職人」さん(以降、Twitterのスクリーンネームからトピシュさん、と呼ばせて頂きます)のファンです。以前から、その釣り解説を拝見して敬意と、ある種のシンパシーを感じておりました。だから、今回トピシュさんの分析の遡上に乗れた事も非常に喜んでおります。
ここでは戸川純がキワード。戸川純ファンが辛辣なコメントをするということから、戸川純の位置づけが分かっている。ご自身が辛口な批評を書かれるので、そういうコメントがあるだろうということも想像ができる。
映画の劇中でかかっているのが戸川純の何という曲か分かっているぐらいの、戸川純ファンです。
まず、別に戸川純さんのファンでは無いです。好きな曲が何曲かあるぐらいで、映画の劇中の曲名についても後で調べて書いてます。読んだ人に対して、語り手の音楽的なバックグラウンドをイメージしやすい名前だろうと思い、戸川純さんを選びました。他に候補として思い浮かべていたのは椎名林檎さんですけど、それだとちょっとニュアンスが鋭角的になりすぎる気がして。
あと、何人かの方からご指摘頂いてたんですけど、曲名、間違えて書いちゃってすみませんでした。完全にずっと「諦念プシガンダ」だと思ってました。そのまま直さずに放っておいた方がフェアかとも思ったんですけど、誤表記だと分かってしまうと、それを残しておくのが生理的に気持ち悪くて、黙って直してしまいました。これはもう本当に言い訳のしようもないミスです。
最初に3年前という数字がありましたが、そういう意味では、ご本人が3年前から自己喪失感を抱いていたのは本当なのかもしれません。
「3年前」という数字は、後の展開から逆算して「歌い手として継続的に活動して、それなりに支持を集めるようになるまで、3年ぐらいはかかるんじゃないか」と想像してでっちあげたものです。最初は「1年」だったのを、後述する弾き語り動画との矛盾点作りのために「2年」に修正して、最終的にちょっと悩んで「3年」まで伸ばした感じ。実際の3年前は特に自己喪失感もなく恋人や友達と面白おかしく過ごしていました。っていうか、自己喪失感って、どんな感情?
ご自身はキリンジファンなので、だからこれだけ具体的に書けるわけですね。ここは本当。じゃあ、この少女の弾き語りが実在するかと言えば、Youtubeで発見できました。ここも本当。でも、動画自体は2012年7月にアップロードされていますので、この動画を見つけられれば、3年前から歌ってみた活動をし始めたというのが嘘であることが分かる作りになっています。
キリンジについても別に「ファン」と言えるほど熱心に聴いてないです。僕のブログの過去の言及箇所をリンクされてましたけど、本当にキリンジファンだったら昨年から先日にかけての彼らの解散について言及していない事はありえない。
どうも、戸川純さんのくだりといい、キリンジのくだりといい、トピシュさんは音楽ファンの感覚を理解されていないのでは?我々は、自分が好きなミュージシャンで無くとも、何らかのニュアンスを伝えるための記号として、そのミュージシャンの名前や歌詞を引用する程度の事は普通にやります。野球ファンであれば、例えば長嶋茂雄や清原和博やダルビッシュ有といったビッグネームの名前を、たとえ彼らのファンで無かったとしても記号的に用いることができるように。
ただ、動画の日付に関する指摘はさすがです。正にその通り。
この釣り師ご本人が弾ける唯一の楽器は、ウクレレではく、ギターです。
これ、惜しかった。僕が一番得意とする楽器はドラムですし、近年はサンプラー等を使った打ち込みもたしなんでいますし、その事をブログにも書いています。些細な事ですけど、目に見える限りの情報で「唯一の◯◯は◯◯です」などと断定されるのは危険じゃないかと、老婆心ながらにお伝え致します。
ウサ耳美少女ではありませんが、ご自身のアイコンとしては、目付きの悪いウサギを使用されています。ただ、このアイコンにしてもフォロワー数が激増することはないでしょうから、激増したというのは創作。
ここが一番の憤慨ポイントです!このアイコンにしてからフォロワー数は増えました!
ウサギアイコンは2011年の正月(ウサギ年)からですが、激増したとまでは言わないまでも、皮膚感覚としてアイコンを変えた事とフォロワー数の影響は確かにあったと断言できます。
楽器の件同様に些細な事ですけど、思い込みでの断言はやはりあまり感心しません。
この釣りの動機は、釣ることが目的の愉快犯ではなくて、自分の考えを沢山の人に読んで欲しいというものでしょうね。
先日亡くなられたミステリ作家の殊能将之さんに『ハサミ男』という作品があるんですけど、雑誌の新人賞を受賞したその作品を読まれた大森望さんが「これを書いたのは旧友のあいつに違いない」と確信して、編集者に確認したら正にその通りだったっていうエピソードが好きで、それをやってみたかったんです。
賞を取るのは難しいけれど、はてなブックマークのホットエントリなら頑張れば取れると思って、はてな匿名ダイアリーに作り話を投下して、それを読んだ人のうち、誰か一人でも「これ書いたのホームランじゃないの?」と気づいたら成功、という事をやってみたくて、ここしばらく何か題材はないかと色々考えてたんですね。で、先の報道を見ていて、「これを題材に一つ騙ってみるか」と。最初は実話をひっくり返して「31歳の女性歌い手は、ファンの17歳の男子高校生と関係を持つ話」を考えていたんですけど、最終的には、ああなりました。
途中のTweetでもあるように、今回の報道を受けて、自分の中で、ニコニコ動画の「歌ってみた」を整理しようと考えられた。沢山の「歌ってみた」動画を苦痛に感じながらチェックし、ひと通りの理解は得られたので、それをどこかの媒体で発表したい。
実際「歌ってみた」動画を幾つか拝見したんですけど、それなりに楽しめましたよ。苦痛なんて全然。理解できたかはどうか分かりませんし、ましてや「分析」の要素なんて乗せたつもりもありませんけど。だから、このくだりは、トピシュさんがご自身の見立てストーリーに僕を強引に巻き込もうとしているな、って感じました。そして、
Blogではそれほど多くの人には見られないだろうという発想で(DJホームランさん、ごめんなさい!)、注目を浴びやすいはてな匿名ダイアリーに投稿することにした。
これもちょっと心外。自分のブログに書いたら、そもそもの動機(『ハサミ男』ごっこ)が果たされないっていうだけでの話です。「自分の考えを沢山の人に読んで欲しい」と思ったら、僕は、自分のブログに普通に書きます。そうじゃないとわざわざブログをやる意味がない。
今回のは「近しい人に『これ、あいつが書いたんじゃないの?』と思わせるような作り話を書くことができるだろうか」、「その作り話をバズらせることができるだろうか」という力試し的な意味合いが強いです。
総じて、何点かは「さすがトピシュさん!鋭い!」と舌をまくくだりもありました。特に「創作臭の強さ」や「小説くささ」をあぶり出す辺りは見事でした。元々が「創作である」という事を隠さず、むしろ「創作」と気付いてもらえるよう書いている文章なんで当然ですけど。だから逆にあれを少しでも「実話?」と思った人には、トピシュさんの分析を読んで学んで頂きたい。こんな実話の書き方をする人はいません。
ただ、この思った以上に「実話」と思われたのは僕の失敗でもあって、この語り手を「特定」しようとする人が散見されたので、それを止めさせるために慌てて「作り話宣言」を出したんです。本当はああいう風な形で名乗り出るつもりは無かった。題材選びの時点で僕のミスです。お騒がせして申し訳ない。
で、全体を通して、先程もちらっと申し上げた通り、トピシュさんがこしらえたストーリーに、僕を強引に当てはめようとしているような「え。そんなつもりじゃないのに」感を抱きました。もうちょっと突っ込んだ言い方をすると、キリンジの件や楽器の件のように「おれ本人の目に触れるって分かってるだろうに、そして、おれの事をちょっとブログとTwitterのログを漁った程度だろうに、よくそんな適当な事を堂々と言えるな」と思った事も事実です。特に「締め」のセクションは読んでいてずっと驚きっぱなしでした。「思ってもいないことをカウンセリングされてる!怖い!」と。
でも、そういう感覚を堪能できるのはトピシュさんに分析される側に立った者だけが味わえる特権ですし、わざわざ深く読み込んで頂いて感謝しています。トピシュさん、光栄でした。
2004 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 |
2008 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 11 |
2010 | 02 | 07 | 08 | 11 |
2011 | 01 | 02 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 |