民族学校の国立大学受験資格問題
文部科学省は外国人学校の中でも,アメリカ,イギリス等のWASC,ECIS,ACSIの民間認定団体がアクレディテーションにより一定の教育水準を確保すると認めたインターナショナルスクールのみに大学入学資格を付与する方向で検討していると発表しました。その数,16校だそうです。
今,このことに対して,多くの反対の声が上がっています。先日,3月17日には,国会で日朝学生有志による「民族学校にも受験資格を」院内集会が行われました。私も参加しましたが,その数と参加していた若者の数にびっくりしました。120人は入るであろう会議室には人,人,人で,多分200人を超える人たちが集まりました。それも20歳代を中心に。私も数多くの院内集会に参加していますが,これほど活気のある集会ははじめてです。
集会は経過説明,文科省要請行動報告,外国人学校当事者の発言,国立大学教員の発言,アピールと続きました。民主,共産,社民の国会議員及びその秘書も参加しており,大きな運動のうねりを感じざるを得ませんでした。
今回の文科省の方針通りになれば,朝鮮学校,韓国学校,中華学校,ブラジル人学校など特にアジア系のナショナルスクールの学生は,従前と同じく国立大学の受験は認められず,それらの学生たちは日本の学校にダブルスクールしながら,大検を受け,大学入試ということが強いられます。一方,私立大学に関しては,これも文科省は認めていませんが,各大学の判断で現在半数の大学が受験を認めているようです。
この問題は,国連で,1998年に子どもの権利委員会最終見解,自由権規約人権委員会最終見解,2001年に人種差別撤廃委員会最終見解,社会権規約委員会最終見解で,懸念または保障するようにとの勧告を日本政府は受けています。国内でも1998年に日弁連勧告書をうけており,内外から疑問,是正の声があります。
しかし,今回,文科省は何故このような検討をしているのでしょうか。一説によれば,現在の北朝鮮との関係からという声もあり,政治的な圧力が入った故と言われています。そうであるならば,大変根の深い問題となるでしょう。
この問題は明らかな民族差別の問題です。また,過去の植民地支配ム解放,戦後の民族学校弾圧という歴史を考えれば,まさに日本の歴史性が問われている問題でもあります。
他方,これは受験資格の問題ではなく,1条項ならびに専修学校から排除されているが故に現在置かれている民族学校の包括的な課題でもあります。
集会で聞いた話しでは,現在東京朝鮮学校は年間960万円の補助金が出ているそうですが,お隣の有名私立学校には年間3億円が手当てされているそうです。その格差は驚くべきで,民族学校の行政的支援は都立の1.6%,私立の4.2%でしかなく,このような課題も是正されるべきです。
さて,大学受験ですが,留学生10万人計画があり,日本は多くの留学生を大学に受け入れております。で例えば,韓国の高等学校を終了して,日本の大学に入学はできますが,親の都合で,卒業間近に日本に転居し,最後の1ヶ月だけでも韓国学校に行き,そこでの卒業だと,日本の大学には受験できないのです。これは本当に「いとをかし」の世界です。
閑話休題,現在文科省ではこの問題についてのパブリックコメントを募集しています。FAX03−3592−6864/Email:daikaika@mext.go.jpです。名前,住所,電話,意見を書いて,文科省に私たちの声を届けましょう。
私たちみんとうれんは,団体として文科省に意見を届けます。
その後の共同電によると
共同通信,受験資格認める案を凍結へ インター校問題で文科省
文部科学省は19日、インターナショナルスクールの卒業生に来年度から大学受験を認める資格緩和案を凍結し、保留になっていた朝鮮学校など民族学校の取り扱いも含めて再検討する方針を固めた。
文科省は多くの大学が募集要項を公表する今年夏ごろまでに、最終的な緩和策を決める考えだ。しかし、自民党内などには北朝鮮による拉致問題などを背景に「朝鮮学校だけは認めるべきではない」とする意見も根強く、受験資格を認める基準づくりは難航しそうだ。
インターナショナルスクールの受験資格緩和は、昨年3月に閣議決定した構造改革推進3カ年計画に盛り込まれ、本年度中に具体的な措置を講じることが求められていた。
文科省は緩和策についての意見募集を締め切る27日以降に凍結を正式決定し、首相官邸にも措置の先送りを報告する。
今回の受験緩和策は、米英の学校評価機関の認証を受けているインターナショナルスクール卒業生を対象にしたため、アジア系の民族学校が事実上締め出され、学校関係者や日弁連などが「アジア軽視の差別的な対応だ」と反発していた。
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