こんな不審者を見かけたら110番〜挙動不審な外国人風な者がいる〜(2004/06)



 川崎臨港警察が外国人を犯罪者扱いする交番速報を近隣住民に配付していることが発 覚しました。
 「『サムターン回し』の空巣にご用心」と題した交番速報は川崎区四谷上町付近町会掲示版に掲示されており、「こんな不審者をみたら110番」と呼びかけ、「マンション等の周辺で挙動不審(携帯電話や見張り)な外国人風の者がいる―している。
 近隣の外国人家族の方から「これって差別じゃない」と連絡を頂いた私たちは加盟している神奈川人権センター名で早速神奈川県警察本部に申入れを行った。

 担当者は「そんなつもりはない」といい、付近目撃情報からそうしたとし、署も配慮をし「外国人」を「外国人風」としたと弁明していた。どちらにしても内部検討をし文章で回答を頂くことを約束してくれました。
 それにしても外国人を犯罪者扱いする論調は、警察、マスコミで多く見られる。確かに外国人で犯罪を起こす者もいるが、しかし大半が善良な住民として生活しており、「木をみて、森を見ず」で、安易に外国人=犯罪という偏見を流布することは人種差別撤廃条約でも禁止されていることである。かといえ、流している方も意図的でなく、誤った認識、誤った表現であろう。したがって、このことは気がついた時点で指摘することが大事だ。

2004年6月22日

神奈川県警察本部長 様 神奈川県公安委員長 様

神奈川人権センター
理事長 星野昌子

外国人を犯罪者扱いするよう交番速報についての申入れ

 時下、ご健勝のことと存じます。
 さて、今年6月4日付けで川崎臨港署より近隣に配付された「『サムターン回し』の空巣にご用心」という交番速報において、「マンション等の周辺で挙動不審(携帯電話や見張り)な外国人風の者がいる」とし、「こんな不審者を見かけたら110番」と、通報を呼びかけています。
 この速報の内容は住民に対して不要に外国人に対する警戒心をあおるものです。そして、外国人イコール犯罪者という偏見も助長する可能性があります。
 挙動不審とは、大変あいまいで主観的です。外国人への差別、偏見が多く指摘されている昨今、これでは、住民に空巣の犯人は外国人であり、まちなかで携帯電話で話している外国人は怪しく、通報しなくてはならない対象だという意識が形成されります。 一方、外国籍者にとって、まちなかで携帯電話を使用し、歩いているだけで近隣住民から警戒され、ともすれば通報されてしまう危険に直面します。
 今回の一律に外国人というだけで不審者という見方は外国籍住民への偏見であり、人種差別撤廃条約にも違反します。
 県内には多くの外国籍住民が日本人住民と同じように生活しており、神奈川県は、その県政の柱として、外国籍県民との共生、多文化共生社会の実現を掲げています。
 このような速報は、そういった県政にも反するものです。特に外国籍住民が集住している川崎南部地域でこのような速報が配付されることは大変驚愕することであり誠に心外です。
 既にこのような交番速報等で、外国人を犯罪視するのは問題だという指摘は、全国で何件か見られます。神奈川県警察本部として、ことの重大性を認識し、下記の対応を行うよう申し入れます。

1、今回の速報の内容について神奈川県警察本部としての見解を明らかにすること。

2、今回の指摘を重く受け止め、事実を調査し、配付先住民へ事情説明を行い、この交番速報をすべて回収すること。

3,今後、2度とこのようなことがないよ関係者に人権研修等の実施を徹底すること。

神奈川県警回答

 平成16年6月2日(水)に川崎臨港警察署管内において「サムターン回し」にという方法によるマンションに対する連続空巣事件が発生しました。その被害者の目撃情報から、現場付近で東洋系の外国人が3人目撃されました。
 そこで地域で発生した事件事故な等をタイムリーに地域の方々にお知らせして、犯罪に遭わないよう注意を呼びかけたり、犯人に関する情報の提供をお願いする目的で今回の交番速報の内容を発行させていただきました。
 交番速報の内容ですが、空き巣に入られた被害者が被害に気づく直前に不審な外国人を目撃しておりますので、人権に配慮し外国人とは特定せず、「挙動不審な外国人風」と表現するなどしております。決して善良な生活を送られている外国人の方を示す意図は全くありません。
 このような趣旨のもと発行したものでありますので。配付先住民への事情説明及び回収の件につきましては、現在のところ予定いたしておりません。

 これで当事者は納得できるのか。回答はこの後に「最近の犯罪情勢及び交番速報の趣 旨」と題しての回答があり、外国人犯罪の深刻性と交番速報の効果をあげています。本当ですかね?

トップページへ