9/28の最高裁弁論は延期!集会も延期!(2004/06)
しかし最高裁に私たちの思いを届けよう! 都庁国籍任用差別訴訟への署名活動へのご協力を


 保健師で都職員の鄭香均さんが、管理職選考受験を都に拒否されるという都庁国籍任用差別事件が起こってから、すでに10年余を経過しています。97年11月、東京高裁判決の判決は、「公務員でも、職務内容や権限などにより外国人の任用が許される管理職もある」とした上で「外国籍の職員から受験の機会を奪うことは管理職への昇任の道を閉ざし、法の下の平等や職業選択の自由を定めた憲法に反し、違憲」と画期的なものでした。

 自治体職員採用における国籍条項をめぐっては、70年代から関西の市町村で撤廃運動が取り組まれ、その壁が崩れはじめました。その後、国公立大学教員、郵政外務職、看護3職等の取り組みを経て、焦点は政令指定都市における取り組みとなりました。当時、国から直接指導を受ける政令指定都市においては、その壁は厚いものでしたが、粘り強い取り組みの中で、一部職種での国籍条項が撤廃されはじめ、高知県知事の撤廃宣言が出され、自治省との「攻防」の中、川崎、横浜等で採用後の任用制限を設ける形での国籍条項撤廃がされていきました。

 当時の白川自治大臣からも撤廃を追認する談話がだされ、鄭香均さんの東京高裁の勝判決はそんな状況下で引き出された勝訴判決でした。
 その後、各地で撤廃が進み、現在11府県全政令指定都市、主要都市においても53.8%の割合で撤廃されました。現在、少なくとも700名を越える外国籍の職員が採用され、全国の自治体職場の働いています。

 さて、裁判は最高裁で7年間放置されたままでした。一説によると95年に出された永住外国人の地方参政権を付与することは憲法に違反しないとする最高裁判決後、地方参政権の動向を見守っていた言われていましたが、今秋、第3小法廷で弁論期日がはいりました。弁論がはいるということは高裁判決を見直すことであり、私たちは急きょ最高裁に良識ある判決を出すよう市民の声を集約する署名活動を取り組み始めました。しかし、事態はさらに一転、審理が第3小法廷から大法廷に急きょ回付されることとなり、審理がやり直しされることとなった訳です。

 これには、新たな憲法判断、第3法廷での合意が無理等と様々なことが推測されています。最悪は95年の参政権許容判決の見直し、公務就任権を最小に狭義にとらえての敗訴、最良は外国人の公務就任権を認めての勝訴。どちらにしても最高裁自体が今その判断に大変揺れる状況下と言えます。

 現在、必要なのは、97年に高裁勝訴判決引き出した時流、運動の盛り上がりであり、私たちは署名活動を続行し、最高裁に良識ある判決を出すよう迫っていきたいと考えています。この裁判は日本社会における外国人の人権保障を問う試金石のひとつです。現在既に自治体で働く外国人職員が失職にならさないためにも、長年続く外国人の就職差別をなくし、公務員に外国人が就く職業選択の自由を確立させるためにも、さらに現在デッドロック状態にある永住外国人の地方参政権確立のためにも、この取り組みに最大限のご協力をお願いします。

国籍条項の流れ
1953年  内閣法制局見解「当然の法理」
1973年  阪神6市1町で一般事務職の国籍条項撤廃。74年に尼崎市で3人、西宮市で1人、川西市で1名採用
1977年  司法修習生(司法試験合格者)国籍条項撤廃
1978年  電電公社(現NTT)職員採用
1982年  国公立大学教員任用法。国公立の大学教員の国籍条項撤廃
1984年  郵政省郵便外務員国籍条項撤廃
1985年  東京都多摩区の全市で国籍条項撤廃
1986年  保健婦、助産婦、看護婦の3職種 国籍条項撤廃
1991年  日韓覚書
1991年  逗子市国籍条項撤廃
1991年〜 民闘連が県下政令市と一般市に要望、一般市で国籍条項撤廃。政令市は国際等、一般職から外国人採用できる専門の新職種つくる。
1994年  鄭さん提訴
1995年  高知県知事国籍条項撤廃宣言
1995年  最高裁第三法廷で外国人の選挙権を禁止していないという判決がでる。
1996年  東京高裁敗訴判決
1996年  倉田自治大臣見解表明(否定的)
1996年  川崎市撤廃
1996年  白川自治大臣見解表明(肯定的)
1997年  高知県、神奈川県、横浜市が撤廃
1997年  東京高裁勝訴判決
2001年  岩手県撤廃(1府10県)
2004年  さいたま市撤廃(全政令市撤廃)

撤廃状況
都道府県
岩手、神奈川、愛知、三重、滋賀、大阪、奈良、鳥取、高知、大分、沖縄
政令市
札幌、仙台、さいたま、千葉、横浜、川崎、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡
県庁所在地
福井、静岡、津、大津、奈良、和歌山、鳥取、岡山、高松、高知、大分
中核市
旭川、横須賀、相模原、豊橋、豊田、岡崎、境、高槻、姫路、倉敷、福山
主要都市
35市/65市 53.8%


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