ニュース34号 2000/3/28発行

  ■「不採用にしたいと思っていた」(店長)バーガーキング第2回事実確認会

  ■第2回地域実践に学ぶ連続学習会報告

  ■第4回 民族差別と闘う実践交流集会

  ■第3回共生・共育 多文化フォーラム開催

  ■「新渡日外国人の今」を考える連続学習会 最終第3回「医療と健康」

  ■このままでいいのか!?参政権法案

  ■何のための本人確認  字がかけないのに外国人登録手続きで署名強要

  ■厚木市の人権意識調査は、在日の人権意識の欠如


ニュースのメニューへ

トップページへ

■「不採用にしたいと思っていた」(店長)バーガーキング第2回事実確認会

 バーガーキングによる在日韓国人高校生へのアルバイト採用差別事件に関する第2回事実確認会が、3月2日19時から川崎市労連会館で行われました。バーガーキング側からは、新横浜店をフランチャイズ経営する西武商事の支配人以下4名が、申し入れ団体のかながわみんとうれん・神奈川県高等学校教職員組合側からは約130名が確認会に参加。また、今回は別途に申し入れを行っている当該高校生が通う学校の校長・教頭・人権教育担当者も確認会に出席しました。

 確認会では、まず前回事実確認した内容に関する補足質問が司会者から行われました。「通常のアルバイト採用の手続きはどうなっているのか」に対しては、「面接チェックシートに基づいて、やる気・笑顔・スケジュールなどを基準に採用を行っている」との回答がマネージャーからありました。しかし、それにもかかわずマネージャーが店長に相談した理由としては、「外国人ということで不安なので聞いた」「チェックシート以前の問題として聞いた」との認識が示されました。また、「なぜ本部に問い合わせる前に応募者数をマネージャーから聞いたのか」については、最初、店長は「今の状況を知りたかったので聞いた」と答えていましたが、やりとりがすすむ中で最終的にはその時点で「不採用にしたいと思っていた」との認識が示されました。

 次に本部のDMと店長との電話やりとりについての事実確認が行われました。「在日韓国人3世で永住権もある人がアルバイトに応募してきたんだけど採用できるかな」という問い合わせに対して、DMはビザや言葉の問題を尋ねたうえで問題なしと答えてはいます。しかし、DMに応募対象者が在日3世という認識はなく、一般的な外国人採用に関する問い合わせとして答えていることが明らかとなりました。また、店長が本部に電話をした理由としては、「(不採用にしたいという)自分の判断を補う発言があればよい」という考えが心の中にあったことが確認されました。さらに不採用にした理由については、「採用したことがなかった」「書類などの手続きが大変」「不安があった」「できれば日本人の方がよいと思っていた」などが示されました。これらの事実確認をふまえて、本部としての見解を支配人に求めました。支配人からは「マニュアルどおりでなかった」「深く考えていなかった」「情報不足であった」などの認識しか示さず、差別を行ったという認識は非常に低いものでした。実際マニュアルには、「人種・性別・出身地……」等の質問をしない旨しか明記されておらず不十分なものでした。それにもかかわらず支配人は、そのマニュアルの「人種」の中に「国籍」が含まれることを強く主張し、マニュアルどおりではなかったとしたのです。これに参加者からも厳しい指摘がされ、西武商事の認識が厳しく問われました。

 最後に在日韓国・朝鮮人当事者・高校生などの会場参加者が思いを語りました。そしてその思いと事実確認された内容を再度ふまえて、支配人・店長・マネージャーに認識と見解を明らかにしてもらうことを約束し、確認会を終了しました。(み)

このページの一番上に戻る


■第2回地域実践に学ぶ連続学習会報告
    「川崎市ふれあい館ケナリクラブにかかわって」

 2月17日、川崎のいさご会館で、学習会はおこなわれました。講師として、ケナリクラブ指導員の林慶一(イム・キョンイル)さん、崔江以子(チェ・カンイヂャ)さん、金久高(キム・クゴ)さんの3人にお話を伺いました。

 設立の経緯として、70年代の青丘社子ども会活動の一環として、在日韓国・朝鮮人の子ども達を中心とした民族別クラスから実践ははじまりました。88年ふれあい館の開設から、毎週1回、土曜日の夕方のクラブ活動の実践形態として現在に至っています。95年から講師の3人を中心とした、数名の在日の青年達で実践を担っています。活動内容としては、学年別で学習や話し合い、全体で料理作りや韓国・朝鮮の遊び等を行い、また、年中行事として、夏の合宿や春のウリマダン(私たちの広場)活動を行っています。指導員の思いは「私たちの子どもの頃みたいな思いはさせたくない」「韓国・朝鮮人で良かったな、韓国・朝鮮人だから得なことをいっぱい増やそう」ということを、子ども達と共に作り上げたいという主旨である。

 99年度の子ども達の構成は、名簿登録53人(8学校=近隣6校、地域外2校)、そのうちダブルの子ども達17人、「ニューカマー」の子ども達6人が在籍する。

 話しは、子どもの実態に即して展開された。95年の春、1年生の本名で通学している子ども達が名前をからかわれた事件があった。からかった子供達の中に在日の子どももいた。同じ学校で同じような事件が、99年の冬にもありました。いじめられた子は通名を名のっていました。いじめた側はダブルの子でした。そのいじめられた子の悔しさや哀しさに触れた時、ケナリの子ども達の反応はさまざまであったといいます。過去に本名でいじめにあった子ども達は、率直に怒りを持ち、「ニューカマー」の子ども達は、なんで韓国人であることを隠すのか分らないと言います。そして、ダブルの子ども達の反応は複雑で、韓国・朝鮮名を名のっている子どもと日本名を名のっている子ども、それぞれであったと言います。そして指導員達は当該の学校と話し合いを持ちました。普通の研修で終わらせるのではなく、子どもの実態を中心にして、問題の所在を教師と共に明らかにしようとしました。その結果、3月4日の授業時間に、ケナリの指導員が子ども達の前に立つことになりました。

 林慶一さんは言います。「在日といっても状況は様々である。生きるための武器はいらない。お互いに認めあえばいいのだと思う。」崔江以子さんは言います。「在日の子ども達にとって、まだまだケナリという場は必要。自分に自信をつける場として。」金久高さんは言います。「運動課題として、在日の青年達が学校現場にもっと入っていけないものだろうか。自分達の思いを、すべての子ども達に伝えるために」と。

 後日談として、3月4日の授業風景を報告します。6年生の授業に5人の指導員が入りました。全体会とグループワーク、それぞれの指導員が自分史を語ったり、子ども達が自分を語れる雰囲気作りをしたりしました。子ども達から様々な反応がありました。自分は本当はダブルであるという告白とか、韓国人がいじめられてたら助けてあげたいという日本人の子どもの発言とか。指導員は子ども達に問い続けました。在日って何?ダブルって何?差別することって何、と。(ち)

このページの一番上に戻る


■第4回 民族差別と闘う実践交流集会

 2月26日(土)〜27日(日)に第4回の民族差別と闘う実践交流集会が荒川で開かれました。私たち神奈川からの参加者も少なく、全体でも参加者はトータル約60人でしたが、人数の少なさを感じさせない雰囲気のある集会でした。

 集会の1日目は、「教育」、「参政権」、「福祉」の3分科会が開かれて、各課題に関わる情報交換、議論が行われました。教育では、金泰泳さんの「アイデンティティ・ポリティクスを越えて」という発題のあと、在日の教育、地域での子ども会活動での状況が語られました。参政権では今国会で提案されている参政権法案の中身の問題が共有され、今後の取り組みが語られました。そして、福祉では、李節子(イ・チョルヂャ)さんから在日の自殺率の高さからみえる在日の現状が紹介され、議論されました。

 2日目は岡山の姜博(カン・パク)さん、最近、滋賀県で日本籍の在日も加入できる「渡来人クラブ」を立ちあげた河炳俊(ハ・ピョンヂュン)さんを発題者に、シンポジュウム「在日をどう生きるか。」が行われました。この議論は3年前から継続している議論です。

 全国民闘連解消後、再生の意味でこの集会を行い、今後の在日像を考えたとき、法務官僚の坂中氏より在日は近い将来消滅するとの提起を受けました。それに対して、この集会で今後、在日は何をもって在日とし、何を持って結集するのかという議論を積み上げてきました。が、参加者の具体的な日本国籍を取得しようという提起もあり、議論の中心は日本籍を取得することの是非論に終始しています。しかし、最近の議論の本質的焦点は、在日の中で今一度国籍、民族の価値観を考え直そうということだと思います。在日は長い間、国籍を持って「同胞」としてきました。そして、在日の多様化の流れでその認識も多様化しつつありますが、在日が日本籍を取得している在日を本当に「同胞」として認識しているのでしょうか。在日の中の「私は日本国籍をいらない」という意見が多くありますが、その中にそういった思想があるのではないかとの指摘があります。在日の中に日本籍者への差別感があるという声もあり、問われる在日の国籍観です。

 しかし、一方、民族差別として国籍の壁をなくしてきた在日運動のフィールドに即して、在日の日本籍取得は、結局は国籍の壁を認め、新渡日外国人の人権を無視することとなるのではという意見もあります。

 未だ、まとまらない議論ですが、もう少しの継続と議論の整理の中で、新しい展望となる材料がでてくることの期待感はあります。ともあれ、在日の結集とは何であろうか。はたまた「民族差別とたたかう」テーゼはどうなるのか。多くの人の参加の中で考えていきたいものです。(S)

このページの一番上に戻る


■第3回共生・共育 多文化フォーラム開催

 2月20日、日曜日の午後、「共生・共育 多文化フォーラム」が、川崎市労働会館と市労連会館で開かれました。3回目を迎えた今回の分科会は、そこで出会う人たちの顔を具体的に思い浮かべて、企画されました。

1 「ふるさとの ぶんかと わたし」分科会では、在日コリアン1世のハルモニ・ハラボヂたちから聞いたお話をもとに、「わたしたちの歴史」をつくる交流をすすめました。

2 「ことばと いのちの ぶんかと わたし」分科会では、こどもたちに伝えたい、民族の「ことば」や「ぶんか」について、イランやフィリピンから渡日した人たちのお話をきっかけに交流を深めました。

3 「共生の ぶんかと わたし」分科会では、「ともに生き合う」街づくりについて、さまざまな文化をもつ人たちどうしで、一緒に考える場をもちました。

4 「わかものの ぶんかと わたし」分科会では、こどもたちの出会いの場をつくっている若者たちどうしで、お互いの活動への想いを交流しました。

5 「共生の ぶんかと 子育て PART1」分科会では、親子で絵本づくりをしました。さまざまな文化をもつ人たちで、子育てについて考える場をもうけました。

6 「共生の ぶんかと 子育て PART2」分科会では、ことばや文化をまもる活動にたずさわっている鶴見のママイと川崎のオンマの交流を中心に、子供たちのアイデンティティについて考えて見ました。

 第2部の交流会は、会場を移動したにもかかわらず、100名を越える人たちが集まりました。そこでは、各分科会より参加者からの熱い報告を受けつつ、みなさんで食事を楽しみました。テーブルには、手作りのフィリピン・イラン・ブラジル料理やキムチ・ナムル・サーターアンダーギーなど、さまざまな料理が並びました。そして、その味はとても好評でした。

 その後、中央舞台では、カヤグムの素敵な演奏を皮切りに、フィリピンダンスやサルサ、イランのおどりやサンバ、鶴見の中南米グループの若者たちの歌などが次々に飛び出しました。

 今回のフォーラムには、子どもたちと親と一緒に交流する分科会や若い人たちが自ら企画・運営した分科会など、新しい取り組みもたくさん見られました。これまでの蓄積のもと、それぞれの参加者間で、充実した交流がはかられたようです。

 今後も、このフォーラムが、年1度の出会いの場にとどまらず、継続した交流の場となっていくとうれしいですね。(さ)

このページの一番上に戻る


■「新渡日外国人の今」を考える連続学習会 最終第3回「医療と健康」

 かながわみんとうれんが地域での具体的な民族差別と闘うことを大きな柱としてくる中で、新しく渡日し働く外国人とそのこどもたちとの出会いがあり、私たちの実践の中でどう連携しながら共生社会を築いていくのかの第一歩として始められた連続学習会の最後として、「医療と健康」をテーマとして、港町診療所の早川さんに講義していただきました。

 港町診療所の活動の紹介から始まり、その中で、港湾労働に従事する労働者の命と生活を守る活動を、労働運動の流れの中で進めてきたこと、東北農村出身者などの日本の「出稼ぎ」労働者が近現歴史の矛盾として港湾の重労働につき、彼らの命と健康の課題を追及してきた流れで、自然に近年の外国人労働者の命と医療の問題に対処してきたこと、同じ働くものの連帯と権利の課題の中から、外国人労働者の生活課題を考える手法から見えてくることも大きいということなど、現場の説得力ある報告がありました。さらに、医療をめぐる諸制度については、まだまだ、新渡日外国人が健康保険の加入が保障されていない無権利で命さえ軽んじられる状況は深刻ではありつつも、新渡日外国人に関わる市民活動の進展の中で、とりわけ神奈川では、困ったときに対応できる医療関係の権利擁護の枠は、以前より拡大してきたこと、何よりも、診療拒否が改善され、一般の病院にかかりやすい状況ができてきたことが大きな変化として語られました。

 討議の中では、地域の医療機関で働く立場から、もっとこうした制度利用の情報を、一般医療のケースワーカーが知らないということが問題として指摘されたました。また、大人は国境を超えて困難な中、経済的成功を求めて冒険することは、一つの生き方の選択としてあっていいですが、こどもが無保険のまま、命と健康を削って生きるような状況は、改善されねばならない。子どもの権利条約の絡みで問題提起できないだろうかなど意見が交されました。

 連続講座を通して、地域の実態を土台とする反差別の活動を繰り広げる中で、新渡日外国人との生活上での出会いを作り出し、共感しあえる社会づくりに共にスクラムを組んでいきたいと感じました。(と) 

このページの一番上に戻る


■このままでいいのか!?参政権法案

 3月1日に「このままでいいのか!?参政権法案」と題した集会が韓国YMCAで開催されました。当日は100名以上の人が参加し、久しぶりに熱気があふれた集いでした。

 現在、国会では、継続審議中の民主党、公明党の参政権付与法案が以前から提出されています。そして、今回与党自由党、公明党の法案が提出されたことから、近々国会で審議されることが予想されます。

 今回提案の自公案は@投票権のみ付与A永住者のみに付与。B永住者であっても朝鮮籍が排除。などです。様々な所で不十分という議論がありますが、特に朝鮮籍を排除していることは当事者からの批判も集中しています。この法案に対して、東京の市民団体を中心に「参政権連絡会」[代表:田中宏氏、鄭暎恵(チョン・ヨンヘ)氏]が結成され、今回の集会を開きました。

 集会では、学者として江橋崇さん・田中宏さんが問題点を整理し、当事者として、鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さん、鄭暎恵さん、黄光男(ファン・グヮンナム)さん等の当事者の思いを語りました。特に、朝鮮籍者の金静伊(キム・ヂョンイ)さんの「何故朝鮮籍だけが排除されるのか、理解できない。在日にとっての国籍は日本政府が勝手に決めたもので、それをもって、制限することに腹立たしく思う」という発言に胸があつくなりました。そして、最後に「定住外国人の完全なる地方参政権を求める在日共同声明」(賛同者114人)と同日本人(賛同者421人)を発表しました。

 この法案は時代に逆行したものです。朝鮮籍を除くことは、1965年の日韓協定で韓国籍者のみに「協定永住」権を与えたことと同じです。また永住者のみの付与は、外登法の指紋撤廃のやり方と同じで、双方とも当時かなり反対の声があがりました。今回、また同じことがなされようとしているのです。

 この背景には、朝鮮総連の付与反対論、与党自民党の反対論のためと考察できますが、前者の配慮として、この法案は申請制となっています。申請してはじめての付与であり、いやなら申請しないでいいとなっています。これに加えての朝鮮籍の除外にはやはり意図的なものが介在していることを感じざるを得ません。表面上「国交のないから」とされていますが、では、何故国交のない朝鮮籍の人に特別永住権を与えたのでしょうか。全く論理性に欠けます。このことから、日本政府の在日への処遇のスタンスは全くかわっていないことがわかります。

 私たちは、「さきがけ島根」が以前に発表した定住外国人も含めた幅広い参政権付与をまずはめざしています。その意味で今回の法案にストップをかけたいと思っています。

 今後、14日に国会院内集会を開き、多くの議員にこの問題を働きかけるつもりです。(S)

このページの一番上に戻る


■何のための本人確認  字がかけないのに外国人登録手続きで署名強要

 2月23日、幸区役所で93才の在日1世の高齢者が(娘同行)外国人登録の更新手続きの際、高齢のため字が書けないにも関わらず、窓口で対応職員に署名を強要されるトラブルが発生しました。

 外登法は4月に改正されますが、現行法では永住者などは署名と家族登録が必要で、それ以外は指紋押捺が必要です。今回の当事者は特別永住者で署名と家族登録が更新手続き時必要ですが、高齢のため字が思うようにかけません。一方、在日の高齢者は、植民地支配の結果、教育の機会を奪われ、多くの方々が字の読み書きが困難です。

 今回のケースの経過は以下のようです。
1 高齢で字が書けないのため、職員に代筆を依頼。2 申請書は職員が記入し、署名のみを当事者に依頼。3 娘さんが前回、職員が書いてくれたので再度代筆依頼。4 職員が、娘さんが手を添えて署名するよう依頼。5 娘さんは(試みながら)肩が痛くてできないと言う。韓国語ならかけるという。6 韓国語ではできない旨回答。7 当事者激高。(申請途中で帰る)8 最後は職員が代筆。

 当事者は、自分が窓口まで行ってるのにもかかわらず、本人確認のため法令化された署名ができないだけで、何故手続きができないのか。そんなに私が信用できないかと怒り心頭で、娘さんはハングルの署名が何故ダメなのか。また対応に差別を感じたと憤慨しています。

 問題点をまとめてみると、1 前回は代筆署名しながら、今回は原則論のみの、自筆を強要した対応した。ちなみに自筆ができない人は署名をしなくてもよい。2 法令上、ハングルの署名も可能だが、受け付けなかった。3 今回の対応は、在日の歴史的背景を何ら考慮していない。4 それらが複合し、当事者が差別感を覚えた。5 外登法の問題性。

 このケースは当事者が通う在日高齢者サークル「トラジの会」の関係者からかながわみんとうれんに相談がありました。その日のうちに区政課に報告し、3月1日に当事者間の話し合いを持ちました。この報告は次号に。(S)

このページの一番上に戻る


■厚木市の人権意識調査は、在日の人権意識の欠如

 厚木市1999年3月に出された「人権問題意識調査報告書」を見て唖然となりました。調査目的を「市民の人権意識の鋭化のため」としつつも、その対象から在日外国人市民をはずしているのです。

 厚木市の市民意識調査は、過去同和問題を中心に1989年、1993年と行われてきました。そして、今回、女性、高齢者、こども、障害者、同和、アイヌ、在日外国人など人権問題全般に広げました。この調査により効果的な人権啓発活動推進のための基礎的、科学的な資料を得る目的とされ、今後活用されるようです。

しかし、その対象は、5000名の確立比例抽出と対象者が同じ確立で選ばれるよう工夫されているのにも関わらず、選ばれるのは住民基本台帳からです。したがって、国籍要件により住民基本台帳に記載されない厚木市内に在住する外国人市民は、はじめから対象外なのです。これが厚木市の人権意識調査なのです。調査されるべきは厚木市であり、まったく外国人市民の認識の欠如が露呈しています。

 以前横浜市が同じように、市長選のポスター(「投票してこそ横浜市民」)の件、意識調査対象外の件(今回と同様な調査対象)と行政が外国人市民を認識し、市民として認知し、行政を司るべきです。今後の厚木市の対応に期待したいものです。(S)

このページの一番上に戻る


ニュースのメニューへ

トップページへ