4月26日、川崎市労連会館において、バーガーキングの国籍によるアルバイト不採用差別事件の第3回事実確認会が行われました。
前回の内容をふまえ、再度、店長、マネージャー、支店長に認識と見解を明らかにしてもらいました。
はじめに、小平店長から、外国人の採用について、外国人に対して知識がなく間違った認識を持ち判断してしまった。と話し、どこに差別意識があったのかという問いに対して、いじめがあるかもしれないと思ったこと自体が差別である。就労が認められるかどうか基準がわからなかった。書類の手続きなどに時間がかかると研修を受けた時にそういう印象を持ったので採用したくなかった。と話しました。栗原マネージャーからは、面接時の質問事項をはっきり確認しておらず、国籍にふれたり、間違った聞き方が差別につながった。不安な部分があり、合否に関してわからなかったので店長に聞いた。と話しました。何が問題だったのかという問いには、書類の手続きが面倒であると思い込んでいたこと。と話しました。2人に対して、あなたたちの中に、外国人に対するイメージがあり判断したのでは。の問いには明確な回答は得られず、手続きが面倒な外国人は採用しなくてもよいと思っていたのか。の問いに、意識の中にそういう思い込みがあった。と回答しました。司会から、書類が繁雑ということの先にひそむものは何なのかをまとめてきてほしいとの要望が出されました。
また、前回の確認会で、マニュアルの欄外にある「人種、性別、出身地……」などを質問してはいけない主旨の文章の中に「国籍」が書かれていないのはなぜか。の問いに、窪田支配人は、「国籍」は「人種」の中に含まれると主張しましたが、再度質問したところ、「国籍」と書かれていないのはマニュアルの不備であることを認めました。しかし、その後の支配人とのやり取りは、何が差別だったのか。なぜこのような差別事件が起こったのか。などの問いに、差別が起こるとは思わなかった。外国人に対する認識不足。マニュアル、研修の不徹底。相手の立場に立って考えず、思いやりが足りなかった。差別をしてはならないという意識の徹底がされなかった。ということの繰り返しで、差別の本質に迫った回答は得られませんでした。
司会や会場からも再三発言されましたが、このような確認会の中で、わたしたちが善でバーガーキングが悪であるという立場の違いを明確にしたいのではなく、わたしたち自身がいつ差別をするかもしれないという思いの中から、確認会をとおして何が差別で、何で差別が起こったのかを自問自答しながら、何が問題なのかを突き詰め話しあうことによって、意識の共有化がされていくことが大事だと思います。
今回は、わかりづらい部分が多く話しがかみ合わないところもありましたが、次回は課題の整理をして望みたいと思います。
石原都知事が4月9日に陸上自衛隊練馬駐屯地での創隊記念式典での挨拶で“不法入国した三国人、外国人の凶悪な犯罪が繰り返されており、大きな災害が起こったら騒じょう事件さえ予想される・・・”という発言をし、世間を騒がせています。このことに多くの当事者を含めた団体・個人、多くの人たちが抗議しました。そうしたら、今度は森首相が神道政治連盟国会議員懇談会で「日本は天皇中心の神の国」という発言。はたして世の中はどうなっているのでしょうか。
発言以後、知事は記者会見で遺憾の意を表しましたが、自らの発言の問題性については一切言及しておらず、一部マスコミの責任としています。また都は抗議を行った団体・個人に対しても何の返答もしていません。このことから都ならびに知事は今回の発言について、まったく問題性を認識していないことが明らかです。
石原発言の問題は次のように整理できる。
1 知事の不法入国した外国人が増えた故に悪質な犯罪が増えたという認識の根拠は?。このことが科学的に、合理的に証明されない限りは、この発言は偏見。
2 その認識に立ち、災害時に騒じょう事件が予想できるという発想は、まさに関東大震災時に起こった「朝鮮人虐殺」の思想と何等かわりはない。政治家、公人として、なんら歴史に学んでおらず、自治体の長としてのこの発言は、差別扇動。また、このことから、日本社会の外国人差別の思想が全く変わっていない。
3 文学者として著名な知事が現在使われていない「三国人」という表現をあえて用いることは、ある種の意図を感じざるを得ない。戦後、植民地出身者がこの表現で差別されいたが、テレビで知事は当時これらの人のことを「こわかった」と発言している。
4 現在、その当事者と子孫たちが東京を含め日本に約50万人以上住んでおり、これらの人たちがこれらの発言をどのように受けとめるか、わかっていない。発言以後、釈明のために出演したテレビで「北鮮」という差別発言もしている。
5 日本が批准発効した国際人権法などにも抵触し、違反する(国際人権規約:差別・敵意唱道の禁止/人種差別撤廃条約:人種・民族差別の扇動・流布の禁止)。
自治体ならびにその長が差別ととれる行為・発言をし、そのまま放置することは決して許されません。
私たちは、都知事会見後の4月13日ならびに5月9日に2度に渡り抗議声明を東京都に提出しました。また、辛淑玉さんなどがたちあげた「石原やめろネットワーク」等の抗議集会、行動などに参加してきました。今後、展開されるこのことに対する抗議行動などにも参加していきたいと思います。
知事は議会などの関係で釈明会見を行い、議会筋での沈静化し、このことは終わったという認識のようですが、謝る相手は違います。謝罪は傷ついた当事者にすべきであり、都ならびに知事は、今回の都知事の発言でどれだけの人たちが傷ついたのかを一刻も早く再認識し、即刻関係者に謝罪すべきです。このような危険な思想は早く芽を摘まないといけません。もし放置すると、それが当たり前に通る世論を形成していくからです。その意味で5月の森首相の「神の国」発言も決して見逃せない発言です。ガイドライン法、憲法改正議論と国家を前面にした議論が強まっています。一方自由主義史観など過去の歴史を歪曲する流れが強まり、「在日の人権教育は反日教育」だとする者も現れています。そして、これらの公人の妄言と、時代は確実に逆行しつつあるようです。その中で私たちはまた、厳しい差別の渦中に置かれていくのでしょうか。決してそうならないように私たちのアクションが必要ではないのでしょうか。
在日韓国・朝鮮人が「戦傷病者・戦没者遺族等援護法」を受けられない問題で、今国会にて、余党と民主党提出の二つの法案が提出された。与党案については石成基(ソク・ソンギ)さんら存命の重度戦傷者らには、見舞金200万円、老後生活設計支援特別給付金200万円のいずれも一時金、謝罪については何らの記載もされていない。民主党案は法案成立後については遺族等援護法に相当する年金、しかし、現在までの補償については記載がない。「在日の戦後補償を求める会」では、この時期にぜひ、当事者の意見を世論に表明することが大切と考え、5月9日に声明発表を行ない各党、及び官房長官あてに申し入れ、記者会見をおこなった。
内容は、1.過去の不支給分については適正なる「一時金」を支給すること。2.将来給付については、日本人と同等の「年金」を給付すること。3.長期にわたって、放置したことに対して何らかの謝罪の意を表すること、としている。記者会見にて、当事者らは二つの法案について、あまりにも日本人と格差のある法案に、強く憤慨の意を表した。
5月16日には衆議院内閣委員会にて質議、裁決がおこなわれた。裁決前に委員会で「当事者」の声を聞いてほしい旨、民主党を通じ働き掛けを行なったが認められず、共同代表の田中宏氏が参考人として意見を述べた。
虎島和夫(自民)、山元勉(民主)議員が提出理由説明を行ない、山本孝史(民主)、深田肇(社民)、瀬古由起子(共産)が質問を行なったが余党案が裁決され通過した。
来週(5月第4週)中には、参議院にて民主党案も再提出され、委員会審議される。会としては、引き続き当事者の意見を述べる場の設定をめざし要請を続けていきたい。
最後に、今回の立法については東京高裁、大阪高裁の判決が大きな力となっている。しかし、両判決が「日本人に準じた」補償を要請しているにもかかわらず、国会では「人道上の一時金」に摺り替えられてしまっている。私達は、これまで「平等」を求めて運動をしてきたが、今回の立法案は「平等」の実現には程遠い物といわざるを得ない。今回の立法について結果はまだ出ていないが、当事者の意見を大切にしながら「平等」をめざし粘り強く、運動を続けたい。
4月16日、平塚市旭南公民館において、湘南コリアン文化研究会の公演と、在日韓国・朝鮮人との共生を考える会による報告・討論会がおこなわれました。午前の公演に参加できただけですが、報告します。
公民館の大ホールで、大勢の子どもたちに大人も混ざり、歌に踊り、ゲームに昔話と、盛り沢山の内容を楽しみました。ステージでの舞踊や演奏を視聴するという時間もありましたが、会場に集った人たちが一体となるような工夫も凝らされていて、アッという間に時が過ぎていきました。たとえば、みんなで「コヒャンエポム(故郷の春)」と「春が来た」を同時に歌い、互いに双方の歌を聞きながら、心なごむのを感じたり、「カイバイボ」(ジャンケンゲーム)では、子どもたちも大人たちもニコニコしながら、勝負の結果に一喜一憂していました。「○×ゲーム」では、朝鮮文化のことについて出題され、みんなで会場の右に左にと分かれながら、全問正解した人を拍手でほめたたえ、楽しみながら学べたという感じがしました。
最後に、子どもと大人によるサムルノリの演奏の迫力に圧倒されながら、これまで楽しみながら練習を続けてきたであろうことを感じました。これからもこういった楽しい取り組みが続けられることが、平塚で多文化共生をめざす礎になるのだと思いました。
1 学校や保護者、地域住民、並びに市民の多文化理解を推進する。
1-1 1986年に制定された「在日外国人教育方針−主として在日韓国・朝鮮人教育」は、国際化に伴う状況の変化や、人権尊重教育の視点、外国人市民代表者会議の提言等を踏まえ、1998年4月「外国人教育基本方針−多文化共生の社会をめざして」として改定されました。
1-2 改定された「外国人教育基本方針」に基づき各学校では国際理解教育が推進されています。その一つである民族文化講師ふれあい事業は多くの学校が活用し、子どもたちは様々な民族や国の文化を学んでいます。
この事業には、多くの外国人市民代表者会議のメンバーも積極的に協力し、各学校を訪問し多文化を紹介する一員として活躍しています。代表者の一人は、子どもたちに自国のことを紹介したとき、保護者の人も参加してくれたため、友だちが増えたようでとても嬉しかったと感想を述べています。
1-3 子どもたちは、学校・家庭・地域それぞれの場で多くの人と係わり合いながら学び、成長していきます。従って、学校における多文化理解や国際理解を進めるのみならず、子どもたちや学校を取り巻く保護者や地域、更に多くの市民の人達にも広めていく必要があります。
1-4 子どもの権利条約は、教育も含めた育つ権利を認めています。しかし、日本の教育システムに慣れていない保護者とその子どもたちは、とても不安な気持ちで日々を過ごしています。
誰もが、自国の文化を大切にしながら、互いの文化を理解尊重し合い、多文化共生社会をめざすためにも、「外国人教育基本方針」を更に推進していく必要があります。
以上のことから、次のことを提言します。
1 「川崎市外国人教育基本方針−多文化共生の社会をめざして−」を学校内のみならず広く市全体で推進していくため、保護者や地域の日本人市民並びに外国人市民が共に協議する場を設けること。
2 各PTA団体が、多文化共生社会の実現をめざす視点を取り入れて活動することを期待する。
3 各学校が行う国際理解教育に、保護者や地域住民の参加を呼びかけていくとともに、地域の市民館等でも外国人市民と日本人市民の相互理解を図るような学習事業を、より一層充実していくこと。
2 地域に住む外国人を含む多くの人に、外国人に関する相談窓口があることを広報する。
2-1 川崎市に住む外国人市民は、20,688人(2000年1月1日現在)となり、約60人に一人の割合となっています。
2-2 96年の代表者会議の提言に基づき、各区役所・支所及び市民館・図書館には外国人市民のための「情報コーナー」を設置したり、外国人に関わりの大きい市政だよりの記事にはひらがなのルビをふったりして、情報の提供に努めています。
また、川崎市には、生活全般について外国語で相談できる「国際交流センター」や、教育のことを相談できる「総合教育センター」があります。
2-3 しかし、地域には市政だよりが届かなかったり必要な情報を入手するための方法を知らずにいる外国人市民もいます。
また、日常生活をする上で様々な困っていることや相談したい事を抱えている外国人市民や、地域に住む外国人のことで相談したい日本人もいることでしょう。そのため、身近な情報提供の場があることを、広く多くの人に知らせる必要があります。
以上のことから、次のことを提言します。
その事を実現するため、私達外国人市民代表者会議のメンバーは、相談や通訳のボランティア、知人・地域への紹介等、積極的に協力します。
1 多言語で、外国人に関する、市民生活と教育の相談窓口を紹介するポスターを作成し広く様々な場所(外国人情報コーナー設置個所を始め、学校や公共施設、市や町内の広報掲示板、等)に掲示し、多くの人に広報すること。
3 国籍による就職問題を中心とした差別の解消を図る。
3-1 歴史的な経緯の中で、主として在日韓国・朝鮮の人々は、十分な法制度も適用されず、戦前・戦後も厳しい生活環境におかれました。1982年の難民条約の批准と発効を機に、ほとんどの社会保障制度に関しては、国籍条項が廃止されました。しかし国民年金法では、不十分な経過措置のために特に高齢者には無年金者が多数生じ、2000年4月から開始される介護保険適用の問題も加わって、窮状を訴える声が今日まで続いています。
3-2 1947年に制定された労働基準法、職業安定法では、国籍による労働条件や職業紹介・指導上の差別的な取り扱いが禁じられています。しかし現実には長年の就職差別から、外国人は職業選択の自己規制を余儀なくされ、個性や能力を発揮する機会が奪われてきました。
さらに昨今の不況では、ニューカマーを含む大勢の外国人労働者が、日本人以上に不安定な立場に置かれ、安定した雇用が脅かされています。外国人に対する差別待遇を解消するのみならず、日本の経済発展に寄与してきた外国人労働者の生活を守ることは、憲法(第98条 国際法規の遵守)に基づき、国際人権規約(A規約第6条 労働権利の保障、第7条労働条件等)を批准した日本の国並びに地域社会全体の責任とも言えます。
次世代の日本を担う可能性を持つ子どもたちには、こうした差別とは無縁であってほしいと願っています。
3-3 市が1992年以後、専門の職域で、1996年には他の都道府県・政令指定都市に先駆けて一般職の職員採用における国籍条項を撤廃した経緯については高く評価するものです。ただし、実定法の規定ではない「当然の法理」によって、消防職の採用並びに182職務とラインの局部課長の任用には依然として制限が設けられています。しかし4年が経過し、都道府県・政令指定都市を除く他都市においても国籍条項の完全撤廃が広がりつつあること、地方分権の推進、外国人地方参政権に係わる法案の国会提出、さらに司法の場でも東京都の保健婦の昇級を巡り最高裁判所において訴訟係属中であることなど、この間の状況は様々に変化してきています。
また、地域社会の奉仕者である市行政への外国人市民の参与が、日本人市民との相互理解と交流を深め、一層豊かな共生の街を作ります。
このような状況を踏まえ、より開かれた市行政を実現することにより、一般社会での外国人差別や偏見の解消が推進されると考えます。
こうした観点から、現在の制度に留まらず、将来の市のあり方を見据えたさらなる前進を強く期待します。
以上のことから、次のことを要望として提言します。
1 川崎市の職員任用に係わる国籍条項の完全撤廃に向けた作業に着手すること。
2 民間企業の就労における差別解消や労働条件等の適正化について、啓発を推進すること。
4 外国人市民が安心して生活を送れるよう、出入国管理行政の改善を法務大臣に働きかける(1997年度 提言の補足意見)
1997年度提言を受けて、川崎市長は法務大臣に出入国管理行政の改善について要望書を提出しました。
1999年8月に出入国管理及び難民認定法と外国人登録法の改定案が可決され、在留期間、在留資格、登録の代理申請並びに指紋押捺全廃等の改善が見られました。しかし、なお不十分な点があることから、1997年度提言の補足意見として次のことを再度、法務大臣に働きかけるよう市長に提言します。
1 登録や在留等外国人に関係ある諸手続について、多言語での広報・情報提供を積極的に行うとともに、窓口において外国人市民に接する担当者等の国際理解教育・人権尊重意識の浸透に努めること。
2 国際人権規約並びに子どもの権利条約に基づき、家族再結合の権利を保障し、入国と滞在の条件を緩和すること。
3 再入国許可制度を廃止し、在留期間内の出国及び再入国を保障すること。
4 外国人市民も日本人市民も人権において同等の立場から、外国人登録法の罰則を、住民基本台帳法並にすること。
5 外国人登録証の常時携帯義務を廃止すること。
昨年、介護保険時代の在日高齢者の介護の担い手の育成を川崎市に要望していたことが今年に入り、急遽実現し、2月から3月にかけて、50時間単位のハードなスケジュールでしたが、「在日外国人高齢者の理解と支援のためのホームヘルパー(3級)養成講座」を開催しました。募集期間も短かったにもかかわらず、受講生30名募集の内、半分の15名の在日が研修に参加し、終了証が交付されました。
受講された在日の多くが、2世の、子育ての一段落した方でした。彼女らは、私たちの地域で民族差別と向き合い、わが子を本名で育てようと地域活動の地平を切り開いてきた世代です。彼女らのヘルパー研修受講の動機がたいへんに考えさせられる内容でした。
もちろんそれぞれ少しづつ違った背景を持ちつつも、1世である自分の親に対して、苦労してきた生活史や、体当りで生きてきた人生をこどもとして同時体験したものとして、理屈ではすべてわかっても、どうしても自分の親を、自分の生育史の中できちんと受け止められなかった原罪みたいなものをみな気持ちの底流に持っていられました。そして、自分の親に十分なことができなかった想いの中から、在日一世の世代への熱い想いを心に秘めて受講されていました。
まさしく、「わが子には、もう私のようなみじめな少年期は送らせたくない」とする子を想う親のパワーが地域での民族差別と闘う活動を切り開いたのと同様、その世代が、今度は、2世である自らと1世の間の世代をつなぐ活動として、パワーを発揮しそうな状況の煮つまりを感じさせられました。
最近 一番うれしかったこと
日本の施設を逃げるように出てきて、一人暮しをされているCさん。ふろにはいるのもしんどくなって、デイサーサービスを進めても、気を使う場所には行きたくないとかたくなな姿勢です。在日のヘルパーによるお風呂の送迎を組み込んで、対処しながらも、これから暑くなって、ちょっと心配でした。川崎南部の施設にお話しをし、それぞれのケアマネージャーと連絡を取って、同じ時間帯でハルモニたち数人が、いっしょの時間帯のデイサービスを使えるように手配しました。かたくななCさんも、いっしょならと参加してくれるようになりました。こまやかな援助による、具体的な体験を通じ、社会サービスを使いながら自分らしく生きることを会得して行ってほしいと思います。
今度、そのデイサービスのその時間帯にチャンゴをひっさげ、慰問公演に行きたいと思っています。そうしたらハルモニたちはびっくりして、踊り出すでしょう。今から楽しみです。そして、日本人高齢者とも、自分らしさを表現しながら、暮らす豊かな時と場所ができることを期待しています。
先月号でお伝えした県民ニーズ調査を住民基本台帳からの抽出により外国籍県民をその調査対象から排除していた件は、4月25日と5月24日に広報県民課と話し合った結果、今後、外国籍県民も調査対象にいれる方向での検討するとの方向で話しはまとまりました。
私たちのこの問題の認識は、このようなことを続けていくと、住民は住民基本台帳記載者のみという自治体職員の認識が形成され、結果として外国籍県民を無視した行政施策につながるということです。しかし、問題の背景は思ったより根が深いのです。
県がいうにこの問題は、まず総理府が発行している「月刊世論調査」等で世論調査のやり方を政府が示唆しており、その対象母数を「住民基本台帳、選挙人名簿等から個人を抽出する」としているためです。そのため、行政の調査行為は一般的に住民基本台帳または選挙人名簿からの抽出がされているらしいのです。
また、外国人住民の住民記録となる外国人登録台帳は原則非公開で、目的外利用が禁止とされているため、抽出は困難との認識があります。さらに統計学の専門家が学問上、違う台帳からデーターを抽出することを嫌うという要因もあるようです。
このような考えが行政関係者に強いということが実態です。
しかし、今年3月の法務省の「調査のために利用するのは差し支えない」との通達が出されており、今後このことは解消しました。また、実態は、過去にも外国人住民も対象にした調査実施の実績はあり、必ずしも不可能ではないのです。現場としては困難と認識が強いだけなのです。いずれもにしても、県の総合計画でその方針とされているように、外国籍県民の県政の参画は重要な課題であり、このことは、他市町村においても同様です。したがって、住民の調査対象に外国籍県民が入るのはあたりまえで、行政マンはこれまでの意識を変える必要があるのです。
重要なのは、行政職員が「外国人も住民です」との認識を持ち、業務に携わることと、そういった認識をあたりまえに持てる社会をつくることなのです。
5月23日(火)に衆院政治倫理・公職選挙法改正に関わる特別委員会で永住外国人の地方選挙権付与法案の審議がされ、早速傍聴に行ってきました。(以後の「 」は発言要旨)
現在この法案は、以前に提出された公明・民主党案、共産党案、そして今国会提出の公明・自由党案の3本上程されています。しかし、自民党内に現在でも反対が多く、今国会審議するかしないか、与党内で相当なやりとりがあったようです。冒頭の自民党議員の質問時間の中でも「我が党は未だ調整中である」と述べていました。
さて、23日はこの3案一括の質疑がされました。質疑者は自民党の中谷元議員、民主党の田中慶秋議員、公明党の遠藤和良議員、共産党の東中光雄議員、自由党の達増拓也議員、社民党の中西積介議員でした。この法案は議員立法なので答弁席に座るのは提案者の公明党の冬柴議員はじめ民主党、共産党の議員たちです。
審議のやりとりで保守系の議員からは「今後、地方議会の被選挙権、国政の参政権に拡大していくのでは」、「地方といえども国の一部であり国政に影響かあるのではないか」という警鐘的な質問がされていました。今後の付与の拡大については、提案者の一人の公明党冬柴議員が「被選挙権は今後の問題としてならがらも、国勢は理論上あり得ない」ときっぱり否定していました。一方、地方も国の一部という議論については、自由党の質問に対する共産党の答弁が痛快でした。共産党案は被選挙権付与も盛り込まれており、「日米ガイドライン関係で自治体の協力時に影響があるのではないか」とう質問に対し、「我が党もそうだが、周辺事態法には日本人であろうと外国人であろうと、様々な議論があり、国籍の問題とは関係ない」ときっぱり国籍との関連性を否定しました。
一方、民主党は、法案の中身より、自治大臣に「(法案成立の気運がありながらも、法案が成立しないのは)自民党の検討が進まないからで、所管する自治大臣(政府)としてどうか」と、政府与党自民党の批判的なものが中心でした。
他方、参政権連絡会の東京のメンバーが事前に各党に法案の問題点をレクチャーした結果なのか、唯一、今回の法案の問題性を追求したのは、共産党の東中議員で、朝鮮籍排除の矛盾をついた質問をしてくれました。「91年の入管特例法は国籍により差別なく、同じ歴史的背景をもつ者に永住許可を与えたのに、何故今朝鮮籍を排除するのか」。答弁の冬柴議員は「(最高裁の憲法許容判断、在日の歴史性、地方自治における住民自治という民主主義から)法案成立を進めてきたが、在日のある団体から反対を受け、それをクリアーするために申請主義とした。それでもなお『在日同胞の意に反して』と強い反対を受けたので、当分の間付与しないとの付則をつけた。(納得していただければ)」と総連の反対を前面に出した答弁でした。「汚いなー!総連のせいにして、自民党の配慮からだろう」と一人ぶつぶつとしながら審議を聞いていた私。
しかしながら、この法案の推進者の公明党冬柴議員、民主党中野議員は在日に対してかなり熟知しており、在日の歴史性をひとつの推進の柱にしていました。特に冬柴議員の「20世紀は国家中心の時代、過去、他国を植民地化する、されるという重い歴史がある。戦中日本国籍を持っていた人もいる。その中で現在、日本で生まれ、育ち、社会に貢献している外国人も多くいる。そういう人たちに可能な限り日本人に近い権利・地位を付与するのは成熟した日本社会」「公的差別の根源はこの法案成立から」と、中野議員も含め、とりあえず在日に選挙権を与えたいという熱意は伝わってきました。
そんな両氏だからこそ、じゃ一方で与えられない朝鮮籍の問題はどうするのか、特に「北朝鮮」に対するバッシング強まる社会風潮の中、この法案が成立すればどうなるのか、考えているのだろうかと思ってしまいます。
何にしても、審議には自民党の議員の出席者はごく少数、反対が見え見え。はたして、今後、審議が進むのだろうか。国会解散は目前です。