ニュース37号 2000/7/15発行

  ■会社の差別体質を認める! 在日コリアンのアルバイト採用差別をしたバーガーキング第4回確認会

  ■永住外国人地方参政権法案再提出

  ■横浜市に申し入れ 初の外国籍教員は?

  ■タケちゃんの信愛塾現場レポート


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■会社の差別体質を認める! 在日コリアンのアルバイト採用差別をしたバーガーキング第4回確認会

 6月27日にバーガーキング新横浜店の経営をしている西武商事と第4回目の話し合いを行いました。

 これまでの話し合いの中で、新横浜支店で在日コリアンの高校生のアルバイト応募に際して、外国人ということを理由にアルバイトを断ったこと、その理由が「外国人を採用することが不安だった」こと等が、確認されました。このことから西武商事関係者の外国人への差別意識が明白となりました。

 そして、その背景として、人権に関する社内研修が行われていなく、マニュアルにも国籍に関することが明記されてなく、社内体制が大変不十分なことがわかりました。 しかし、会社側はこれらの問題を社内全体の問題として受けとめず、店長などに「思いやり」が足りなかったという一般論的な見解を繰り返すばかりで、西武商事総体の問題として考えるに至っていませんでした。

 そして、今回何故在日が通称名を名乗るかという問いをきっかけに、会社を代表して出席している支配人の差別に対する認識をただしました。
 その結果、支配人は西武商事に差別があること、これまで何も取り組んでこなかったこと、その様な認識すらも持っていなかったことを認めました。

そして、最終的に以下の3点で大筋の合意に至りました。
1 アルバイト採用において国籍で差別し、在日の高校生に対して本名で生活する生き方を否定した。またその他の在日に対しても不安を広げた。
2 原因については、差別をしてはいけないとしつつも、在日の実態をきちんと捉えてなかった。差別の実態を客観的に見てこなかったため、そのような教育をしてこなかった。
3 今回以外においても、このような差別事件が起こる可能性が社の体質としてあった。それはこの間、社として何も取り組まない中で差別を放置し、差別を助長してきたと言えます。

 今後、当事者も交えて、この差別事件に関する謝罪方法、今後の社内体制の整備(研修等)について話しを行う予定です。

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■永住外国人地方参政権法案再提出

 第148回特別国会が7月6日に閉会したが、衆院では公明・保守両党と民主党が別々に「永住外国人地方選挙権付与法案」を提出しました。

 前国会でこの審議は民主・公明党案、公明・保守党案、共産党案の3案が一括で審議がされはじめましたが、衆院解散に伴い廃案となりました。その時の公明・保守党案に「朝鮮籍を除外する」付則があり、多くの反対が表明され物議をよびました。しかし今回はその条文を削除しての提案となっています。今後、秋の臨時国会で審議される見通しです。

 これに対し自民党は、冬柴公明党幹事長が野中自民党幹事長に働きかけ、いったんは自民党も提案者にはいる方向だったが、「党内手続きを経ていない」との異論が党内であがり、結局公明・保守両党の提案となった模様です。今後、秋に定住外国人の地方参政権の問題の議論が再燃します。
 ちなみに現在この法案で反対しているのは自民党だけで、その他はみな推進しようとしています。

 一方、現在提案されているふたつの法案はいずれもベストといえるものではありません。この法案通り、地方参政権を認めても、投票権のみで被選挙権は認めず、限定された参政権となります。また、その対象も永住権のみで、その他の定住外国人には与えられません。

 ある意味、このような不十分な法案でも自民党は反対し、実現しないでいるのです。本来平等な政治参加の途は未だ険しいのです。

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■横浜市に申し入れ 初の外国籍教員は?

 民族差別撤廃・外登法の改正をめざす神奈川県連絡会議(外登法連絡会:自治労、神教組、神高教、全水道 4単組加盟、神奈川民闘連オブザーバー参加)は、これまで外国人教員の常勤講師任用に対して取り組んできましたが、今年横浜市で初めての在日の教員(常勤講師任用)が誕生したことを受けて、4月26日に横浜市教委に対して平等な取り扱いをするようにと「外国籍常勤講師の待遇について」の要請を行いました。その後、6月13日に横浜市教委からその回答がありました。

横浜市教委回答
(要請事項1)教職員としての身分や待遇、教職員研修等について、「外国人」や「常勤講師」であることを理由に差別的なとりあつかいをしないこと。
(回答1)外国籍の教員につきましても、4月1日より市内の中学校に新採用教員として配属しました。今後とも、他の新人教員同様に指導・育成してまいります。

(要請事項2)「外国人」や「常勤講師」であることを理由に、教育活動に支障をきたさないよう配慮すること。
(回答2)教育委員会としては、本人が新人教員としての職務を支障なく遂行できるよう、校長と連携をとりながら支援してまいります。

 この間のニュアンスとして、横浜市教委は、採用された在日の教員をなるべく日本人「教諭」と同等に扱う考えの様で、職員録にも彼の職名を常勤講師(通常なら常勤講師)とは記載しないとのこと。日常業務においても違う取り扱いをしないようです。

 ではなにが違うのだろうか。それは文部省への報告のみなのです。こんな実態のない、虚構の常勤講師制度は本当に意味のないものだと思いを新たにしてしまいます。 でも、そのことは文部省の方ばっかりをむいている横浜市教委自体が一番わかっていたりして・・・。何にしても今後の取り組みに乞うご期待を。

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■タケちゃんの信愛塾現場レポート

 信愛塾の一日は目が回るほど忙しい。子ども達を中心に追いかけ回される火曜日、木曜日、土曜日。そして色々な国籍の人たちが集まる水曜日の日本語教室。日本語の勉強もさることながら日常生活での相談も多く、就職、結婚、住宅、・・・と彼、彼女らがおかれている現状がいかに厳しいものかが伝わってきます。そんな間をぬって週2回、地域の在日一世、5〜6人の家を自転車でかけ抜けるように訪問しています。

 知り合って15年になるハルモニは識字教室に来ていた頃の信愛塾のことをよく覚えています。当時の指導員の名前が時々出てきたり、カラオケで一緒に歌ったことなど、ハルモニの記憶力のよさにはまったく驚かされます。しかし、数ヶ月前、脳梗塞で病床に伏され心配な毎日が続いています。彼女に限らず在日一世の高齢者を取り巻く現状は日々とても厳しいものがあります。65歳以上の高齢者が10%以上を占める在日がどのような状況にあるのか、彼らの生活実態や介護支援でどのような問題があるのか簡単に述べてみましょう。

 10年ほど前、地域の聞き取り調査をしていた時にハルモニの家でたまたま出会ったのが、在日一世のハラボジCさん88歳。もちろん10年前はまだまだお元気で車の運転もされ「若いもんにはまだ負けん」とおっしゃっていました。ひとり暮らしが長く、料理も洗濯も家事も全て自分一人でやるというハラボジです。結婚してまもなく、強制連行にあい日本に連れてこられ、北海道の炭坑で強制労働をさせられました。過酷な労働に耐えきれずその炭坑から脱走したこと、何度も殺されそうになったことをついこの間のことのように淡々と話してくれます。彼の顔や手に刻み込まれた深いしわは、長い年月の重さを物語っているようでもあります。色々な事情で今まで一度も故郷の韓国に帰ることなく、身よりもなく孤独な一人暮らしをしています。過ぎていく日々をまぎらわすように達筆なハングルで日記を書き、絵を描きます。そんな彼を見ていると、豊かな老いの日々を送れるように今すぐにでも私たちの出来ることをまずやらねばと強く思うのです。

 彼の住む横浜市南区中村町は在日韓国・朝鮮人の多住地域でもあり、市内でも高齢化がひときわ進んだ所でもあります。特に中村町5丁目は1923年9月1日の関東大震災の時の一時避難所として建てられたところで、稲荷山下収容所付近に在日韓国・朝鮮人の集住地域があります。在日一世のハルモニ、ハラボジの家庭訪問をしていると近隣の人たちからもよく声をかけられます。介護保険サービスの様々なお知らせがくるが字がわからない、代わりに読んで書いてほしい、ケアマネージャーに連絡してほしい・・・数えあげたらきりがありません。介護保険が導入されて3ヶ月が過ぎようとしてますが、制度の中身を理解できなかったり、サービスを受けることをためらう人も中にはいます。先日もケアセンターから帰宅したハラボジが「もう行きたくない」と言いだしました。朝10時からのプログラムに疲れたせいもあるのですが、やはり生活習慣や文化の違いからか彼には受け入れられないものがあったらしいのです。食事にしてもホームヘルパーさんの作ってくれる食事は和風の薄味のものが多く、毎日キムチを欠かさず食べているハラボジにしてみれば「これじゃあ元気がでない」と一言言いたくなるのは当たり前のことです。確かにたくわんよりもキムチ、島倉千代子の歌を歌うより「アリラン」のほうがいいというのはうなずけます。

 在日高齢者は地域のディサービスやケアセンターに行ってもなかなかうち解けることが出来ず、自分の居場所を見つけられないことがよくあります。このような在日高齢者のニーズに対して市当局は「在日韓国・朝鮮人も日本人も差別なく対応している」と、言っていますが、民族的配慮にまでは至っていないのが今の現状なのです。

 老いたハルモニやハラボジに少しでも韓国・朝鮮語のわかるホームヘルパーさんがいてほしい、そして「アリラン」や「トラジ」の歌を一緒に歌える職員もケアセンターにいてくれたらと願うのはごく当たり前のことではないでしょうか。もう待てません。今、早急に在日高齢者への介護支援態勢を整えなければならないのではないでしょうか。彼、彼女らには日本で豊かな老いの時を過ごす権利があります。特に歴史的、民族的背景を踏まえたきめ細かい配慮が要求されているのです。

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