10月19日に、学習会「在日1世と介護保険」をふれあい館で行いました。主催は、川崎市職員労働組合、川崎地方自治研究センター、在日高齢者交流サークルトラヂの会、かながわみんとうれんで、参加者は約百人で、決議した内容を23日に川崎市に申し入れました。
介護保険がスタートし、この間、免除されてきた保険料の半額が徴収されはじまりました。(保険料は来年の9月に値上げされる予定)
開始された保険料徴収は、日本人の8割が年金からの手引きですが、制度的無年金である在日高齢者の8割は直接に徴収されます。当事者にとってこれは新たな支出であり、その負担感は大変なものです。
今年の夏頃から保険料の納付書が市から送付されていますが、在日のハルモニたちの多くは非識字であるためその意味も理解できていません。
さらに、戦後一貫して社会保障制度から除外されてきた体験(差別)が日本の社会保険制度への加入する動機を殺ぎ、生活文化が違う中では介護保険サービスに魅力すら感じず、結果的に無保険になってしまうことが容易に想像できます。
私たちは、これらの状況を解消するためこの集会を企画しました。集会では、市の介護保険担当からの制度の説明、ハルモニたちの証言、また飯塚市議も議会でのやりとりを報告をうけ、集会決議を採択しました。
ハルモニたちが語ってくれた実態に、本当に胸が痛みました。「言いたいことは山ほどあります。お金がないからサービスを受けたくとも出来ない」。「日本語もよくわからないし、制度のことはよくわからない」。また、あるハルモニは日本人が多くいる高齢者サービスの場に行きたくないとこぼしているそうです。
23日に4団体の代表で市健康福祉局長にこれらの実態を伝え、市の施策の検討の申し入れを行いました。市も真摯に受けとめてくれるようで、これから市の担当者と話し合いを行う予定です。
社会保障制度の構造改革で「措置」から「契約」、これからは自己決定の老後と美辞麗句でこれからの高齢者福祉のビジョンが語られています。しかし、実態はほど遠いのです。
昨年の12月、本名で生活する在日高校生が、バーガーキング新横浜店のアルバイト募集に応募しました。この際、「外国人は採用できない」と在日高校生に告げました。かながわみんとうれんや神奈川県高等学校教職員組合等関係者がバーガーキング新横浜店を経営する西武商事(株)との話し合いを求め、事実確認会を重ね、今年1月より5回目を数えるに至りました。
4回目までの確認会で、以下の3点で大筋の合意を得ていました。(NEWS no.37既報)
1.アルバイト採用において、国籍で差別し、在日の高校生に対して本名で生活する生き方を否定した。またその他の在日に対しても不安を広げた。2.原因については、差別をしてはいけないとしつつも、在日の生活実態をきちんと捉えてなかった。差別の実態を客観的に見てこなかったため、そのような教育をしてこなかった。3.今回以外においても、このような差別事件が起こる可能性が会社の体質としてあった。それはこの間、会社として何も取り組まない中で差別を放置し、差別を助長してきたといえる。
9/28、川崎市ふれあい館で行われた第5回事実確認会は、上記3点に関する会社としての認識・この差別事件で学んだこと・今後の取り組み等を確認していく事を目標としていました。
冒頭、西武商事はこの間の認識として、「思いやりや人間性を高める店長への指導が必要」「正しい法律に対する知識と理解」「採用マニュアルの不備」等を挙げ、定例の店長会などで再発防止の観点から取り組んでいると表明しました。しかし、「思いやり」を強調する差別に対する認識は、差別の本質から目をそらし、事件を一般的に捉えているにすぎないとの指摘が、会場から多くあがりました。彼らの発言からは、差別を受けた在日高校生の痛みや、差別の壁を実感しながら生活する多くの在日コリアンの存在を積極的に理解しようとする姿勢を感じることはできません。このような認識では、店長会や社内研修会での再発防止の取り組みが有効に機能するとは思えず、いたずらに「気をつけろ」と強調するにすぎないのではないでしょうか。
会社として、あるいは当該店長・面接担当者として「どういう自分があるから差別に至ったのか。」をそれぞれが真摯に自分自身を見つめ直し、その過程で得たものこそ、この問題の本質であるといえます。そしてそれを店長会や社内研修会で伝えていくことこそが、差別に対する認識を会社として深めていく第1歩になると、私たちは考えています。引き続き事実確認会を通じて、差別を見抜き差別を許さない1歩を共に進めたいと考えています。(い)
横浜国大国際社会学科研究科グローバル経済専攻の韓国人留学生に対して、学生課事務職員が「韓国人はウソつきだ」等の差別発言を浴びせ、ウソの暴行容疑で警察通報をし、その留学生にえん罪をきせようとしました。
1995年5月14日にその対応の悪さに韓国人留学生が学生課職員に注意したところ、職員が激怒し、口論となりました。
その際に事務職員はプレートを投げつけ、留学生が驚いてカバンを離した隙にカバンを取り上げ、「カバンで殴られた」とウソの警察通報をしました。その後「韓国人はうそつき」等と、留学生に差別発言を浴びせました。
その後、大学側は事態を重く見て、「遺憾の意」を留学生に伝えましたが、真相は未だ明らかにならず、正式な謝罪、その後の対応も不明確です。そして、1年がたち、その留学生がその後の結果を大学に聞きに行ったところ、「何をいまさら」という態度で真摯に取り上げようとしていません。
怒った留学生が弁護士を仲介に大学側と接触をしてきましたが、大学側の誠意のある対応はありません。
その後、「東京エイリアンズアイズ」(留学生支援グループ)が大学、文部省に申し入れを行いましたが、文部省は大学で対応をしている。大学側は当事者間で話し中という理由で、「東京エイリアンズアイズ」の申し入れの回答すらしません。
このような明らかな差別事件にもかかわらず、大学側は双方のトラブル、暴力事件とし、差別事件が起こった原因すら掘り下げようとしません。そして、外部者の関わりを執拗に嫌います。そればかりか、「横浜国大は留学生の受け入れもよく、理解的とし、この問題は特異な問題であり、留学生にも問題があったといいたげです。
9月22日に京都地裁で行われている在日外国人「障害者」の無年金訴訟の第2回の口頭弁論があり、傍聴に行ってきた。
過去の無年金の裁判は金鉉釣訴訟と塩見訴訟が有名だ。(金鉉釣訴訟は高裁で原告側の勝利、塩見訴訟は最高裁で原告敗訴) 塩見訴訟最高裁判決は、社会保障制度は立法府の広範な裁量権が委ねられており、自国民を外国人より優先的に取り扱うことは憲法違反ではない。とした内容だった。現在の無年金問題を解決しない思想と言える。
さて、今回の裁判は、今年3月15日、金洙栄さん含め7名の在日韓国・朝鮮人「障害者」が提訴した。提訴後、国側の主張はまさに塩見判決の立法裁量論であった。私が傍聴した2回目はその主張に対する求釈明を原告がしていた。その内容は1.国籍要件を定めた制定経緯。2.社会保障は国籍国が保障するというが、在外邦人をなぜ年金に入れないのか。3.85年時の改正に老齢基礎年金において合算対象期間で在日の高齢者の一部にその途を開いたが、外国人障害者はなぜ行わなかったのか。4.沖縄返還時、中国帰国者に経過措置をとったのに、なぜ82年にはとらなかったのか。というもの。このようにして回答を引き出し、国の論拠を崩すようだ。閉廷後の報告会で代理人は、今後もう少し書面をやりとりがあり、来年には証人尋問を予定しているとのこと。それもそのはず、口頭弁論は10分程度で終了したのだから。それにしても難民条約以後、内外人平等とされているが、そんな論拠はここにはない。(S)
神奈川県が主催していた「就職差別問題啓発セミナー」(企業、教員向け研修)の継続が危ぶまれている。これは今年から国直轄の地方労働局ができ、労働行政がすべて県から移管されたのが理由だ。労働局、神奈川県の中で押しつけ合いをし、人権研修「企業トップセミナー」に統合しようというのが、現在の流れですが、このままでは、やっと実施させた研修がなくなってしまいます。
東京新聞(10月17日)の「キョンナムのこんにちはこころの旅人さん」によると、在日の青年が大手運送会社Y運輸(東京)のアルバイト面接で「韓国(外国)人はだめ」と履歴書を突き返されるという差別事件がおきた模様。当の朴慶南さんからもお話しがあり、事情を調べ、現在私たちが出来ること検討しています。
4.3:8.5。95年の国勢調査の結果からの日本人と韓国・朝鮮人の失業率の格差であるが、まさにこの数字の実態である。