バーガーキング新横浜店のアルバイト募集に応募した、本名で生活する在日高校生が、「外国人は採用できない」と民族差別を受けました。かながわみんとうれんや神奈川県高等学校教職員組合等関係者が、バーガーキング新横浜店を経営する西武商事(株)との話し合いを求め、事実確認会を重ね、今年1月より6回目を数えるに至りました。しかし確認会では、会社や個人の建前のレベルで差別を振り返るのでは不十分です。なぜ差別がおこったのかを率直に見つめ、参加している支配人・店長・面接担当者それぞれが、個々のあり方を振り返る中で差別の萌芽を探すことが必要です。
10/26川崎市ふれあい館で行われた第6回事実確認会では、冒頭に西武商事側から3人の方に、この間の認識について話をしてもらいました。支配人は、「誠意を持って取り組む。研修体制を見直し、採用に当たっては店長の責任で公正採用につとめる。現在働いている12名の外国人に対し、個々を生かせる環境づくりに取り組む。外部講師を含めた研究に取り組み意識改革を進めたい。」としました。また、店長は「外国人と日本人は別」という間違った意識があった。今後、確認会・研修会等で学び認識を深めたい。」としました。さらに、面接担当者は「確認会・研修会に積極的に参加し、2度と差別を起こさないよう、自分を向上させたい。」としました。
またしても、会社や個人としての建前の発言に会場からは、「会話をしよう。」「本当の気持ちを聞きたい。」という発言が続き、参加者それぞれが自分自身が差別をした体験やそれをどう克服してきたかなど「語り」の中から私たちの求めていることを伝えていきました。
これに対し、店長は、「外国人=悪役プロレスラーという感覚があったかもしれない。東京に出てきて、白人や黒人の外国人に会って、大きくて怖いと感じたことも覚えている。在日韓国人の存在も知らなかった。」面接担当者は、「在日という言葉も知らなかった。外国人といえば、テレビの報道などに出てくる密入国など悪いイメージがあった。」等と率直な自分の思いを発言し、そのような認識が今回の差別につながったことが明らかになりました。
一方、支配人は一貫して「差別をしてはいけないし、マニュアルに沿った運用をしていれば差別がおこるとは思っていなかった。危機管理が不十分だった。」として、「確認会で話し合いを重ねてきた中で、自分自身が変化したところはあまりない。」と発言し、いまだ差別に対する認識を深める姿勢をもてず、私たちと共感しあう関係からは距離があると思われます。
今回の話し合いは、店長および面接担当者との話し合いは、一定の前進が見られましたが、支配人とはまだまだ時間が必要です。支配人に、この間の確認会で何が変わったかを考えることを宿題として会を閉じました。(い)
11月19日、「在日韓国・朝鮮人をはじめ外国籍住民の地方参政権を求める連絡会」主催のシンポジュウムが、東京の韓国YMCAで行われた。島根大学教授の岡崎勝彦氏、龍谷大学教授の富野暉一朗氏、在日韓国人問題研究所の佐藤信行氏がパネラーとして、発言された。そして、当事者の意見として、東京都や神奈川県、川崎市などの外国人県民市民のかたがたが、率直な意見を述べられた。議論としては、在日韓国・朝鮮人の歴史的経緯を踏まえて、外国人住民としての地方参政権獲得の有無に焦点が絞られた。在日韓国人の獲得に向けての積極的な運動経緯や、一般永住者も対象となるべきである、というさまざまな意見が出て、会場は白熱した雰囲気となる。
今臨時国会では、衆議院特別委員会において、すでに3回の審議が行われている。政局が不安定な中、今国会では法案成立は無理であると思われるが、11月22日には龍谷大学教授の田中宏氏を含めた、3人の参考人質疑が行われた。公明党、保守党提出の法案が自民党の反対派によって、与党3党の中でも激しい議論を呼び起こしているようだ。政局の流れを追いながら、この重要法案の推移をしっかりと見守っていき、今後、神奈川の地でも議論を活発化していきたい。(ち)
11月10日(金)川崎市いさご会館において、川崎市職労外国人交流会と川崎交際化を考える会の主催による「公権力の行使・公の意思形成とはなにか?」をテーマに、講師に青山学院大学の神長勲教授を招いて講演会が開催されました。
はじめに、神長教授は自分の基本的立場として、自治体は住民の福祉推進のため有為な人材を積極的に任用すべき。非法的な包括的概括的概念の操作に基づく人事政策は無用。政策問題を法律問題であるかのように扱うべきでない。と話しました。
「公権力の行使」について、行政事件訴訟法3条、行政手続法2条、国家賠償法1条、に「公権力の行使」の文言がある。それぞれは各法制度の目的にそくした概念であり、法的には、公務就任に関してなんらかの基準をもたらすものではない。また、非法的な概念で法的行為である任用区分を法的に画するわけにはいかない。と述べました。
「公の意思形成」については、具体的態様は一様ではないが、少なくとも法的には、一義的に公務員の地位・職についてそれに関わる範囲をなんらかの段階的区分により画することは不可能。最終的に意思形成を行うのは行政庁(市長)、あるいは市議会。(その場合、市長および市議会議員については、公職選挙法が制限を設けている。)と話しました。
人事政策の具体策について、法的には採用・昇進における制限の撤廃と、残るのは法意識の問題。こうしたことを様々なところで議論をしていただきたいと話し、講演会は閉会しました。(P)
11月12日(日)に、県外連第2回セミナーが神奈川県高等学校教育会館で開かれた。この日のテーマは「学校から消える子どもたち」。親が強制退去されるときにその子どもも一緒に強制退去される問題を学習した。
リレー形式の報告で、はじめに県立高校教員の高橋徹さんから「滞日外国人の現状」が話された。特に、入国管理局に収容された人たちがどのような取り扱いを受けているか。収容者に対する管理局職員による暴行などの事例について報告された。次いで、APFS(アジアン・ピープルズ・フレンドシップ・ソササエティ)の筑波君枝さんから「超過滞在者の子どもたちの現状」が話された。筑波さんからは、今年の在留特別許可を求める一斉行動の話。それから、日本の学校で学ぶ外国人生徒が、日本の学校に望んでいることについて話された。
一方的に悪いイメージをもたれていること。それを変えるには、もっと自分たちのことを日本人教員・生徒に知ってもらいたい。日本で学んだことを将来に生かすためには日本で最後まで学びたい。そういう筑波さんの話を受けて、とよなか国際交流協会の榎井縁さんから大阪府豊中市の取り組みについて話された。榎井縁さんは、親と一緒に強制退去される子どもたちの問題を、もっと学校の教員に、「子どもの権利条約」の観点から考えてもらいたいということを強調された。また、文部省通知の中にも、強制退去される子どもたちの教育を受ける権利を保障するために適用できるものがあるのに、教員が知らないために権利が損なわれていることも話された。 リレー報告のあと、質疑の中で、県立高校定時制の教員から、親と一緒に強制退去された生徒の事例が報告された。そして、どのような対応がその生徒のためとなりえたのか、という観点から有意義な情報交流がおこなわれた。(ま)
労基法等労働3法は、日本の法制度の中で唯一国籍による差別を禁止していますが、在日の就職差別は量の減少は見受けられても、その実態の基本構造はなんらかわりません。
先月号でもお伝えしたように、私たちは10月27日の東京新聞「キョンナムのこんにちはこころの旅人さん」11で、ヤマト運輸のアルバイト差別事件を知りました。求人募集でヤマト運輸新東京主管支店のスタッフ募集が載り、9月28日に、東京在住の在日3世(23才)の青年が履歴書等の必要書類を持ち面接を受けました。40代くらいの女性の担当者に履歴書を渡したとたん、「韓国人(外国人)はダメ!」とすぐさま突っ返されたそうです。
その後、10月3日に当事者の両親、友人の朴慶南さんとヤマト運輸新東京主管支店管理担当職員が話し合いを行いました。その中で、担当者は3年半ほど前、働いていた一人の韓国人留学生が問題を起こしたと説明、そして「ヤマト運輸は、外国人差別をしてない会社です」と問題の本質を認識しない様なのです。実際、その営業所にはこの3年半、一人も外国籍の人は働いていないようです。
当事者の青年の気持ちを思うと胸がいたみます。話しによると、普段は親にこぼしたりしない青年が「つらいよ」とポツリとこぼしたそうだ。これまでも10件近いバイトを断られ、イベント会社では3日間働いたあと、「韓国籍では保険が作れないから(そんなことはない)、明日から来ないで」と言われたこともあったそうです。
早急にヤマト運輸に真相を尋ねてみたい思います。