新年あけましておめでとうございます。
新世紀の幕開けですが、新世紀は私たちにとってどのような社会なのでしょうか。
時流は、決して私たちにとっていい方向にはむいていない様な気がします。自由主義史観による歴史歪曲の声は、県外国人基本方針にまで「ケチ」をつけはじめました。参政権議論では保守系陣営よりはじまった反対の声は、「欲しいなら帰化」と、戦後一環した排外主義そのものです。
さて、昨年の私たちに寄せられた差別事件では、役所での差別的な窓口対応とアルバイト(就職)差別が印象的でした。前者は、字の書けない1世に自筆を要求したり、本名申請をしている外国人に日本名を聞いたり、また唐突に参政権のない外国人に議員はあなた達の代表といったり、差別されてきた歴史を無視して、平等に扱っているといったり等、行政担当者の無知が明らかです。それは、在日の差別されてきた故の心の痛みに対して、日本社会ならびに日本人があまりにも無関心・無頓着だということが露呈しています。後者は、常に背負う私たちの課題であり、何年たってもこの問題と闘うことを強いられる日本社会は本当に深刻です。そんな中、身元調査差別に関する資料を見ました。その資料によると職安法の改正で、求職者の個人情報の取り扱いが厳密な規定が設けられたようで、労働省は原則として、人種、民族、社会身分、門地、本籍、出生地等の差別のおそれのある事項の個人情報を収集してはならないとしています。
しかし、なぜ「国籍」が入ってないのでしょうか、疑問に思いました。とりわけ外国人の就職差別がどのように行われているか、わかっていないのでしょうか。外国人の就職差別は、よしんばそれが本音だとしても、人種でも民族でもなく国籍なのです。だから差別する方の関心事は外国人か日本人なのかです。それとも「国籍」を聞いても何ら問題はないのかしら?。それとも外国人の問題はどうでもいいのでしょうか。
一方、読売新聞(2000.12.20)によると、与党は「国籍等に関するプロジェクト」をたちあげ、特別永住者の帰化要件の緩和を検討するらしいとのこと。これはもちろん、外国人のまま参政権を与えないための方策のためだと容易に推察できます。
本当に日本社会は国籍にこだわっています。日本社会は戦後、外国人との共存社会でしたし、今もそうですが、今なお、日本社会の国籍至上主義的な思想はかわっていないようです。
国籍あろうがなかろうが、誰もがあたりまえに生きていける価値観が21世紀には必要ですね。(S)
バーガーキングをフランチャイズ経営する西武商事のアルバイト採用差別に関する第7回事実確認会が、11月24日19時から川崎市ふれあい館で行われました。この事件は、1999年12月にバーガーキング新横浜店のアルバイト面接で、在日韓国人高校生が韓国籍であることを理由に採用を拒否されたものです。確認会には、西武商事からは窪田支配人他2名、申し入れ団体の神奈川県高等学校教職員組合、かながわみんとうれんからは約30名が参加しました。
前回の確認会では、「日本人の方がいい」と思った店長とマネージャーの意識の中に、「外国人は犯罪が多い」「外国人は怖い」といった偏見があったことが明らかとされました。今回は、「なぜ差別が起こったのか」という認識を責任者である窪田支配人に問う形で話し合いが進められました。その中で、窪田支配人は相変わらず、「社会や職場の中で何が起こっているのか認識がなかった」「自分の中に人権、差別に対するしっかりした意識を持っていなかった」という建前的な見解をくり返しました。
また、小さい頃から在日との日常的なつきあいはあったが、表札の名前が2つあることに疑問を持たなかったことに象徴されるように、今回の差別事件が起こるまで在日韓国・朝鮮人に対する認識が全くなかったことが明らかになりました。さらに差別はあってはならないという発言の中で、いっしょにチャリティーを行った障害者を「恵まれない人たち」と表現し、どのような立場から障害者を見ているのかを参加者から鋭く問われる場面もありました。
最後に、かつて差別事件を起こしたある企業の責任者から次のような発言がありました。「同じ企業人として恥ずかしい。『差別には原因がある。差別された人がいる』という現実を直視してほしい。自分の心の奥底に差別するものがあったのかなかったのか。無意識のものは何だのかを考えてほしい。何を守ろうとしているのか。会社の評判か、個人の立場か。経営トップとしての認識を持ってほしい・・・」。次回確認会で再度、窪田支配人の認識を問うていきます。(み)
昨年10月、政治的理由から延期されていた第1号被保険者(65才以上)の介護保険の保険料の半額徴収が始まりました。通知が来て、在日一世の方から、「毎年保険料を払うのは厳しい」「どうせ利用したくないのだから払いたくない」「来年から2倍払うのは無理だ」など、さまざまな動揺が表明されました。緊急に「かながわみんとうれん」として在日高齢者交流クラブ「トラヂの会」と連携し、川崎市職員労働組合、川崎地方自治研究センターに呼びかけて、「在日一世と介護保険」の学習会を開催しました。(既報)
介護保険時代を支えあうため、無年金、非識字に代表される在日一世の社会的背景と民族的背景を見据えたサービスの充実と、何よりも納付書による保険料納入をにらんで滞納を防ぎ、特別な手だてを講ずることによって「共同連帯」の仲間の輪に在日高齢者がきちんと位置付けられる取り組みが求められています。
10月、川崎市への申し入れを行ない、昨年末回答が寄せられました。
在日一世をめぐる状況はさらに厳しいものがあります。1月健康保険料の改訂もあり、無年金で一人暮しの在日一世が、少しの仕送りや、わずかな貯金を切り崩して生活している人も多くいらっしゃいます。医療費も多くなり、介護保険料もとられ、それで1割負担してサービスを受けることなど考えられないとおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。「生活保護の人はいいよね、生活が安定していて」「年金もらっている人と私たちがなぜいっしょに負担させられるの」「サービスなんて使えないし、日本人の年寄りが集まる場所には字も知らないし、恥じかくからいきたくないよ」こうした本当に厳しい状況にある在日一世が、これからますます厳しくなっていきます。生活の実態を見据え、在日高齢者のこれまでの労苦を思い、豊かな老いを保障するよう日本社会全体で取り組みを強化して行くよう今後、行政との話し合いもすすめていきたいと思います。(と)
先月号でお伝えした、ヤマト運輸新東京主管支店でのアルバイト差別の件で、年末、同支店の管理担当プロジェクトマネージャーの塚本氏に連絡をしてみました。しかし、塚本氏の対応はそっけなく、( 当事者Aさんからの相談を受けており、話を伺いたいに対して)「Aさんと話をしているので、(私たちと)話し合うつもりはない」。(差別であり、社会的な問題だが、に対して)「差別とは思っていない」と豪語しました。大変傲慢な対応です。
したがって、12月21日付けでヤマト運輸(本社 東京都中央区銀座2ー16ー10)有冨慶二社長宛てに、話し合い、謝罪、社内体制の見直しの3項目の申入書を送付しました。
この事件を軽視し、事実を隠ぺいしようとするヤマト運輸に、みなさんも抗議の声をあげていただきと思います。
今年度から労働行政が国に一本化され、地方労働局が設置されたのに伴い、今年
度、就職差別問題啓発セミナーが実施されなくなりました。
私たちは、いのくら(県民のいのちと健康を守る共同行動委員会)の県交渉でセミナーの実施を訴えてきました。その結果、県は来年度から県地方労働局と連携して、県教委とともに就職差別問題啓発セミナーを再開することとなりました。でも、この間の差別事件を考えれば、当たり前のことですが・・・。