ニュース42号 2001/2発行

  ■3/2の参政権神奈川集会にご参集を!

  ■1500円アップ! 川崎市外国人高齢者、障害者福祉手当増額

  ■県介護保険課との話し合い

  ■川崎市役所での二つの出来事 〜問われる外国人市民施策〜


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■3/2の参政権神奈川集会にご参集を!

 地方参政権法案が架橋に入っています。
 参政権の地方決議は昨年8月31日時点での自治省受理分だけでも1171自治体で上がっており、現在、国会で参政権付与の法案が公明党・保守党、民主党、共産党と3本上程されています。もちろんこの法案は、対象を永住外国人に、選挙権のみを認めると当事者からすれば不十分なものです。

 しかし、この不十分な法案すらも自民党を中心とする保守系及び右翼系の反対勢力により十分な審議すらされず法制化されていません。反対派の意見は、当初の相互主義から憲法違反と変化し、現在「日本の将来と心中しない者に参政権を与えるべきでない」、帰化しろと、感情的になりつつあります。

 一方、現在、反対派が帰化制度の見直しをはじめ、参政権法案に対抗させようとしているようです。法案の骨格は既に完成しているようで、新聞報道によれば、簡易帰化、申請帰化、時限的自動帰化と、その手法が現在の懸案事項で、今国会で議員立法で上程される可能性があるのです。
 他方、参政権問題は、国会にその結論が委ねられたこともあり、市民レベルでは今一つ盛り上がりにかけています。

 私たちはそんな意味もこめて神奈川の地で市民一人一人の議論の活性化のために3月2日にかながわ県民センター(サポートセンター下:横浜駅前三越横)で元逗子市長の富野氏を招き、当事者の問題提起も含めた集会を計画しました。

 本来、参政権問題は、与えるか否かという法制定の問題でなく、日本に住む外国人市民と日本人市民の共生の試金石であり、戦後一貫とした日本社会が抱える国籍による外国人差別という差別社会のシステムの変換の問題です。人権の世紀といわれた21世紀が幕開けをしました。人権の一つのメッセージである「共生」は「平等な権利」であり、「違いを認めあう」ことです。決して、同化、均一化と日本国籍を求めるものではありません。

 また外国人市民はやっと「受け手」として除外されることが少なくなりましたが、自らがその「担い手」となることは未だ不十分です。社会は「受け手」の対象で「平等」と錯覚しているようですが、そうではなく、政治参加さることながら、地方公務員、行政委員、教員への任用一つ考えても、外国人市民はその「担い手」ではないのです。よって参政権問題は今後の外国人市民と日本人市民の共生のキーポイントなのです。この集会を機にこの議論を活性化していきましょう。

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■1500円アップ! 川崎市外国人高齢者、障害者福祉手当増額

 川崎市の来年度予算案が発表されましたが、どうやら川崎市外国人高齢者、障害者福祉手当の両方とも4月1日から1500円増額される(もちろん議会承認後)ようです。これはもちろん民族団体をはじめ、私たちの要望の成果だろうと思います。

 昨年10月から介護保険料が徴収されましたが、私たちは、在日高齢者が保険料徴収を機に介護保険の枠外においやられてしまうことを危惧し、川崎市職労、川崎市自治研究センター、在日高齢者交流クラブトラヂの会と10月19日に「在日1世と介護保険」集会を行いました。そして在日と介護保険の問題点を、
1 無年金のために在日高齢者の8割が直接の保険料徴収となり、無年金在日高齢者には負担増である。
2 在日の社会的・文化的背景を考慮した介護保健サービスが行われていなく、在日高齢者には魅力がない。
3 その他介護保険の「共同連帯」の理念にたち様々な施策(相談機能の強化、制度周知徹底等)が必要。
 などに整理し、10月23日に市に要望しました。その回答で市は特に福祉手当の点について「手当額の保険料分の加算につきましては、他都市のとの動向を勘案しながら、努力してまいりたいと存じます」としました。

 その後、朝鮮総連、韓国民団が共同で同内容を含めた在日高齢者福祉に関する要望を川崎市に行いました。また、2月4日の川崎市外国人市民代表者会議でも介護保険料徴収に伴う福祉手当の増額の意見が出され、その主旨の決議がなされたとのことです。
 それらあらゆるチャンネルでの要望と川崎市の担当部局のご苦労が今回の増額を実現させたのでしょう。「この財政難の中…」と思いがちですが、その心配はありません。福祉手当の対象者は、高齢者は年齢で、障害者は障害を負った時期と、年限があるので毎年減少していくのです。だから福祉手当の予算総額は年々減少であまり問題はないのです。

 さて今後、議会でこの質疑がされるでしょうが、市はどのような理由でこの増額を説明するのかが焦点です。私たちは、市が介護保険制度について、その保険料徴収だけでも無年金者を前提に制度化されていない不備を認知し、無年金の在日高齢者には保険料について、すべての在日高齢者にはサービス内容等ついて、必要な措置を行うと姿勢を明らかにすることが必要と考えます。その意味で、今回の増額は保険料基準額に相当する1500円を増額すると明言して欲しいのです。

 在日高齢者は、日本人が多く集まる高齢者事業には積極的に参加していないのが現状です。それは圧倒的な差別の歴史、現状がそうさせています。したがって確実に高齢者福祉からこぼれ落ちているのです。だから市のそういう姿勢が必要なのです。その中で在日高齢者の「恨(ハン)」は解き放たれ、在日高齢者の参加が促され、高齢者同士の共生がはじまるのでないでしょうか。何にしても、市の増額の理由説明が楽しみです。

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■県介護保険課との話し合い

 在日韓国・朝鮮人高齢者が介護保険のもとで、社会サービスを使って豊かに暮らすことができるよう、県の担当課との意見交換をしました。まずは、在日高齢者の実態を学んでいただこうと、川崎市ふれあい館相談窓口の担当者から報告をうけ、その後、話し合いの時間をとりました。

 まず、具体的な受け付け窓口や相談窓口、介護保険の事業者などが、在日高齢者の生活を考える上で最低限理解すべき課題も、全く理解していない事例を指摘しました。在日高齢者の歴史的、社会的、民族的背景を全く顧みることなく、本名で申請しても、外国人登録上の通名のまま保険証が送られてくる実態、在日高齢者の女性らの多くが非識字であるにもかかわらず、難しい文字契約書を強要する実態、制度的無年金であるにもかかわらず、年金がないことをいぶかしがる職員の実態、そもそも初めの相談窓口で、在日であるかどうかさえ把握されることなく、問題にもされない中で、在日高齢者の多くが「介護保険は日本人の制度」という区分けをし、保険料もただ、日本人のための新しい税金を私たちも払わされている位にしか認識していない実態を訴えました。

 そんなに多くのことでなくても、在日の後期高齢者であれば、無年金であることを予想する感性、特に女性は学校にいく機会がなかったと想像してみる歴史社会認識をもつこと、民族的な配慮として、同じ同胞ヘルパーの派遣を希望しているかどうかなどの要望を引き出す働きかけの必要など、最低限の理解を関係者に持っていただくよう、啓発、研修に努めてほしいと要望しました。そのためには、市民運動の側も協力を惜しまないから、火急の対応を要望したいと切に訴えました。

 また、無年金、非識字に代表されるように、在日高齢者は、介護保険下、契約の時代にきちんと権利が保全されねばならない社会的弱者としての位置付けが必要だと指摘しました。在日韓国・朝鮮人高齢者権利擁護活動があって初めて、契約時代の在日高齢者の個人の尊厳が尊重されることを指摘しました。

 また、住民の福利厚生を考える上で、未だに管理のための外国人登録にたよった住民把握システムしかないことが、本名や民族文化を大切にする行政システムの創造につながっていない原因であり、住民福利厚生の基本となるような外国人住民を含めた住民登録システムの確立と、福祉指針を策定し、外国人住民が、基本的生活権を保障され、民族的、社会的背景が尊重される指針を明らかにする必要性を指摘しました。

 そして、来年10月から介護保険料が今の2倍になることをふまえ、県としても、介護保険の共同連帯の仲間として、在日高齢者がきちんと迎え入れられるよう、在日高齢者への共に支えあうメッセージの情報発信の必要性を訴えました。そのためには日本で働きづめに働いた在日一世に対して敬意を表わし、日本社会で豊かに暮らすことができるよう自治体としても取り組んでいきたいという内容が伝わるような敬老会やパンフレットなど、考えられるパフォーマンスを行政としても取り組めたら素敵だと話しました。

 今後も情報交換を密にし、予算がなくても少なくてもできること、より緊急な課題で、迅速な対応が可能なものなどの具体的な実現に向けて情報交換することを約束しました。

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■川崎市役所での二つの出来事 〜問われる外国人市民施策〜

 県内において外国市民施策が先進的である川崎市で以下の二つのことが発覚しました。
 一つは、昨年区役所で印鑑登録時の本人確認の際に、申請者の在日が免許証を出しているのにも関わらず、窓口職員が外登証の提示を求めたものです。どこが問題なのって思ってしまいがちですが、果たしてそうでしょうか。外登証は当事者にとっては以前から「犬の鑑札」と揶揄されたほど、外国人自身を縛りつけたきたシンボルでした。その外登法が改正され、悪質と言われた常時携帯義務が永住権者だけですが、刑事罰からはずれました。これで警察が在日コリアンに外登証の提示を求める「いやがらせ」が容易にできなくなりました。さて、今回の問題ですが、役所の職員にもそのような慣習があるのか、外国人に外登証の提示をいとも簡単にさせるようです。今回の手続きは本人確認であり、身分証の提示でOKだったのですが・・・。早速、口頭で役所に申し入れを行いました。今後職員の研修を深めてもらいたいものです。

 二つめは、市民意識実態調査のことで、この調査は「今後の施策の企画立案のため」に1975年から毎年行われています。しかし、この調査対象は住民基本台帳からの抽出で、外国人市民が排除されていました。いうまでもなく住民基本台帳は国籍要件によりに外国人市民は記載されていません。したがって市民意識実態調査は日本人のみの大変かたよりのある結果です。実を言うと、この問題は外国人市民施策の検討課題24項目の中で「市民意識実態調査への参加」と、あげられており、この調査はまったくこのことが無視されているのです。ちなみにこの調査も外国人市民施策も主管部局は市民局であり、一方で外国人市民の人権を、他方で外国人市民を排除なんて、まさにギャグとしか考えられません。近々、市民意識実態調査については文章で申し入れを行う予定です。乞うご期待。それにしても川崎市の外国人市民施策の中身がとわれる事件でした。

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