ニュース44号 2001/7発行

  ■かながわみんとうれん第14回総会報告

  ■川崎市人事課交渉報告

  ■バーガーキング新横浜店における在日韓国・朝鮮人アルバイト不採用差別事件 第11回事実確認会報告

  ■地方参政権問題と「国籍取得特例法案」に関して

  ■子どもたちが未来を切り開かれる社会と学校を

  ■無年金におかれた在日韓国・朝鮮人高齢者の介護保険保険料、利用料の減免を!


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■かながわみんとうれん第14回総会報告

 7月14日(土)午後7時から、川崎市ふれあい館にて第14回かながわみんとうれんの総会が約30名の参加で行われました。総会事務として、2000年度の活動報告、2001年活動方針、決算報告、予算案の提起、役員改選が行われました。

 活動報告においては、バーガーキングのアルバイト採用差別、入居差別事件、不必要な外登証提示問題、ヤマト運輸アルバイト採用差別等の差別事件に対する取り組みが報告されました。また、地方参政権、歴史教科書問題等、他団体と共闘しての取り組みや、各対策部での取り組み、川崎市外国人福祉手当の増額を勝ち取った成果等が報告されました。

 活動方針においては、歴史教科書問題に代表される昨今の排外的なナショナリズムが蔓延している現状に対し、様々なNGOとの連携による人権ネットワークの確立、人権を守るシステムの確立を目指し、地域から社会(世界)を変えようという目標を掲げ、今年の活動を行うことを確認しました。

 総会事務の終了後、特別報告として「神奈川県外国籍住民生活実態調査」に携わった、竹ノ下弘久さん、山本すみ子さん、鈴木健さんから、調査についての報告を頂きました。
 竹ノ下さんからは、実態調査のうち、アンケート調査の統計的分析から見えてくる在日コリアンの実態が報告されました。山本さんからは、訪問調査から得られた在日一世の実態が報告され、調査を通じて今後求められる取り組みについて提言が出されました。鈴木さんからは、自らの体験を通しての滞日外国人の実態、今後必要とされる取り組みが報告されました。

 参加者が例年より少なく、こじんまりとした感はありましたが、今後も力強く取り組みをすすめていこうと、心を新たにした総会でした。(M)

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■川崎市人事課交渉報告

 川崎市は消防職を除く市職員の採用における国籍条項を撤廃しましたが、採用後の任用に関しては国籍による制限を設けています。採用における国籍条項撤廃後、何度か川崎市と接触を重ねてきましたが、未だに任用制限が残っています。その後、川崎市外国人市民代表者会議でこの制限を撤廃するための提言が出され、川崎市の動向が注目されており、私たちも話し合いを行っています。

 5月23日に川崎市人事課と話し合いを持ちました。この話し合いは、主要には、外国人市民代表者会議の提言以降、市人事課の今後の動向を明らかにするために行っており、3月23日に続いて、今回の話し合いとなりました。
 以下、かなりコンパクトにしたやりとりの要旨ですが、市人事課の担当主幹は、頑なで話しをする姿勢でなく、途中で話しを切り上げました。(み:かながわみんとうれん、市:川崎市人事課)

み:組合とどんなやりとりをしているのか?
市:就職差別の撤廃として(国籍条項撤廃の)検討委員会を立ち上げるようにという要求を受けている。
み:市外国人代表者会議決議、組合要求等が上がる中、今後の予定はどうなるのか。外部検討委員会を立ち上げるのか?
市:関係課とともに、他都市状況や最高裁判断などを参考にしながら方向付けを行っていきたい。一度情報共有の会議をしたが、今後の予定は具体的には決めていない。
 平成8年に考えた枠組み,「当然の法理」の中でどういう風にいじれるか。
 あの定義の中で業務を分析し、変更する余地はない。したがって、やっていきたいが完全撤廃を明示して動き出す方向にはない。高裁判例も出ており、司法を否定してやることはできない。(この発言を連発)
み:高裁判決などでも言っているように国家の直接統治に関する職に限定すればいい。実際地方自治体でそうしたものがあるのか。消防職など公権力の行使と言うが、それが国家の直接統治に関わるのか。新聞などでも(公権力の行使で排除するのは)おかしいと言っている。「公権力行使とは市民に強制力が及ぶ云々」と(解釈の)規程を作ったが、それが逆に縛ってしまっている。税金の仕事にしても法律や条令に基づいて行うものであり,それを乗り越えてやったら日本人であれ外国人であれ犯罪になってしまう。国籍は関係ない。
市:これまでの枠組みの中でやってきているので・・・。
 まだ踏み越える状況ではないと判断している。例えば、参政権法案についても、公務就任権については(参政権法案出だしている)共産党案のような被選挙権を含めてのものでないと・・・。
み:これは就職差別なのかどうなのか、このことで誰が苦しんでいるのか。その前提が川崎市にはあるのかどうなのか。あまりに認識のギャップがあり、これまでの話し合いの積み重ねが生かされてないため、次回に持ち越すことにする!

 今の規定を死守したい人事課と、見直しをさせたい私たちとの間には、「フルマラソン」よりも大きな距離感があり、話の進展が全くありません。今後、もう少し実質的な議論を積み上げられるよう工夫したいと思っています。(S)

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■バーガーキング新横浜店における在日韓国・朝鮮人アルバイト不採用差別事件 第11回事実確認会報告

 バーガーキングアルバイト採用差別事件に関する第11回事実確認会が、5月31日に川崎市ふれあい館で開かれました。今回は、これまでの10回の確認会の中で明らかになった、事実、差別行為の原因および今後について等、確認書の内容について具体的な詰めの話し合いを行いました。
 今回の「差別行為の原因」および「今後について」は、以下のような案を互いに持ち帰りました。

 <差別行為の原因(案)>
 新横浜店には「外国人の採用はめんどうくさい」という意識が存在した。不採用理由を「書類等の手続きに時間がかかるため」とし当事者に伝えた。これは、外国人の実態に対する全くの無知の結果である。と同時に、外国人を排除するための「合理化」に他ならない。まさに、差別意識の本質的問題を示している。

 一方、西武商事は、運用されていた採用マニュアルにおいて「国籍」に関する記述もなくその問題性を認識していなかった。また、雇用関係法令及び外国人使用に関わる関係法令を採用担当者が知らず、外国人採用についての研修は、担当者に「外国人の採用は面倒くさい」というイメージを定着させ、新横浜店の意識を補強した。同時に、外国人に関する人権研修を全く行っておらず、必要な取り組みがなかった。さらに、管理責任を持つ本部担当者は、「自分は差別していない」との考えから、差別の実態を認識していなかった。

 以上から、バーガーキング新横浜店においては、採用を担当する個々の意識の中に外国人を排除しても良いという差別意識が存在しており、他店舗にも同様の状況があったことを否定できない。
 西武商事はこの事実を放置し、適切な研修やマニュアルの整備の必要性に気づくことなく、バーガーキング事業の運営を続けていた。このことは、会社として差別に対する認識が不十分であり、さらに、日本社会に根強く残る在日韓国・朝鮮人に対する差別を助長していたものである。 

 <今後について(案)>
1 当事者への謝罪
2 事実を公表し、会社としての認識を明らかにすること
3 採用マニュアルの見直しと必要な改善
4 外国人採用に関する研修および外国人の権に関する研修の実施
5 差別に対する認識を深めるための学習の 継続
6 人権担当部署の設置など、会社として「差別をしない、許さない、見すごさない」ための取り組みをすすめる
7 上の取り組みをすすめる際に、「かながわみんとうれん」と相談の上実施する事

 以上の案を踏まえて、次回以降確認書を交わし、差別に対する認識を深める学習を相互の努力によってすすめていく予定です。今後も積極的な参加をお願いします。(す)

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■地方参政権問題と「国籍取得特例法案」に関して

 参議院選挙戦のまっただ中、連日、選挙戦の模様がマスコミをにぎわしている。
 前回の国会で「永住外国人地方参政権付与法案」(公明・保守党案と民主党案)は、また継続審議となった。その一方、自民・公明・保守の与党3党のプロジェクトチームによる、「国籍取得特例法案」がまとめられた。法案提出には至らなかったが、確実に地方参政権法案くずしの傾向が見らる。
 この法案の特徴は、
1 特別永住者に限ること。
2 届け出制により、届け出時に国籍を取得できる。
3 (これまで使用していた)氏及び名の漢字を用いることができる。
というものである。

 かながわみんとうれんが参加している「地方参政権を求める連絡会」は、この間、国籍法案に反対をしてきた。5月30日には「拝外主義と歴史歪曲にNO!多民族・多文化共生社会にYES!5.30行動」の集会を行い、「在日大韓民国民団」、「フオーラム平和・人権・環境」と共闘した。この法案は、一方的に当事者抜きで作成し、党利党略の色彩が濃く、これまでの帰化制度の延長線上にあるからに他ならない。

 本来、参政権問題と国籍問題とは質が違う問題である。地方参政権は、すべての外国籍住民が、居住している地域をより良くするために、地方政治に参画する権利である。国籍取得権は、当事者の意志の選択であり、同時平行的にマイノリテイとしての地位と権利が保障されなければ、本来的な権利にはならない。与党プロジェクトチームは、次期国会には確実に法案提出をするであろう。反対の表明をするのは易しい。けれどもすでに、これまでの反差別運動を継承しながら、本質的な国籍取得権の議論をする時期にきているのではないだろうか。(ち)

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■子どもたちが未来を切り開かれる社会と学校を

 「過去を変えるな!未来を変えよう!〜多文化共生ニッポンと教科書問題を考える市民集会」が6月29日夜、川崎市労連会館で開かれました。今回の集会に向けては、市職労・川教組・市民団体などが実行委員会を作り、かながわみんとうれんも市民団体の一つとして企画・運営に積極的に関わってきました。
 当日は330名の参加者が講堂を埋めつくし、会場に入りきれない人も数多くいました。私の経験で、市労連会館に、これだけ多くの市民が集まったのは、指紋押捺を拒否して逮捕された李相鎬さんの1985年5月の釈放集会以来です。

 集会は開会あいさつ、基調報告に続き、今回の教科書問題についての自らの思いを語るリレートークが行われました。「なぜ在日が日本にいるのかを知らない。戦争が『痛み』をともなうものとして語られていない」「保育園を卒園した子どもに対して『外人はこわい』という言葉があびせられた。子どもたちの未来が切り開けるような学校と社会にしたい」「ドイツでは1968年、子ども世代が親にナチを問うことから動きが始まった。歴史を忘れると過ちをくり返す」「家庭科で慰安婦問題を取り上げた教員が事情を聞かれた。つくる会の教科書で女性は男性や国家を支える役割しかない」。

 その後、教科書問題についてのマダン劇、川崎市の友好都市である富川市の市議会関係者からのアピール、集会声明の採択、行動提起が行われ、集会は閉会しました。その中でも、富川市からのアピールでは、市民同士が直接に対話し結びついていくことの必要性、行動提起では、確かな歴史認識を育てていくための親の役割の重要性を強く感じました。

 私たちの30年にわたる実践と運動は、生活の中にある一つひとつの民族差別と向き合うところを出発点としています。そして、その営みの中で指紋押捺制度や公務員の国籍条項といった壁を打ち砕いてきました。
 「共生へのメッセージ」は確実に日本社会の底流を作り上げてきました。このことは自信を持ちましょう。しかし、その一方で侵略戦争・植民地支配を否定し、多文化共生を否定する動きに対しては、結びつくことで大きな声を上げていく必要があります。新しい歴史をつくるとは何か。その答えはもう私たちの運動や実践が証明していることです。(み)

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■無年金におかれた在日韓国・朝鮮人高齢者の介護保険保険料、利用料の減免を!

 新年度になり、川崎市の市政だよりにも、減免制度の利用案内が掲載された。今年10月に第1号被保険者(65歳以上の高齢者)の保険料が今の2倍になることを前に、なんとか、負担をおさえ、無年金でがんばってぎりぎり生活している在日高齢者の減免を勝ち取っていきたいと考えていた私たちは、あるハルモニの車椅子を押して減免申請に出かけた。
 そのハルモニは、一人暮らしで、足が痛く、移動に困難をかかえ、介護申請をすれば必ず要介護度が出る方だが、今はまだ、這ってでも何とか自分でやっていけるし、利用料もあるので、我慢している。息子、娘も近くにいて、こずかいをもってきてくれるが、娘、息子も所帯をもち、子どもも学校に行っているので一番お金のかかる時期だし、自分から生活費を要求することはないし、今までだって我慢生活は慣れている。
 だいたい月5万円くらいで生活している。これからのことはわからないが、今はまだ、自分だけでがんばりたい。生活保護は全く考えていない。そのハルモニの決意に連なり、健康保険料の減免申請して、その足で、介護保険の、窓口へ行った。

 窓口の職員は、介護保険の減免の生活困窮者とは、生活保護基準以下で生活されている人のことであり、介護保険の窓口では、調査権がないので、制度の公正を記するため、生活保護の窓口で生活相談を受けてもらうことになっていると言い放った。もちろんそのハルモニは、貯金を調べてもらっても良いし、家に来るのも良いが、息子に知られるのは困ると訴えましたが、生活保護の申請をすれば、ご家族に連絡が行くのはしょうがないとのこと。息子たちに心配はかけられない、とハルモニはあきらめました。

 後日、こんな使えない制度なら、利用案内にしっかり書きなさいと抗議すると、事実経過をわび、職員の応対のミスを認め謝罪しました。
 生活保護基準以下で生活している人は、無年金にさせられたハルモニたちに本当にたくさんいる。貯金を切り崩したり、健康保険だけ扶養扱いにしてもらったりとか、無年金なりの生活防衛に必死である。
 無年金のための基本的施策が全くないのが根本の問題だと思う。川崎市も、制度的な無年金者で所得のない人には、減免制度を適用するという原則くらいは確立して欲しいものである。(と)

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