ニュース61号 2003/11発行
■このままでいいのか!常勤講師問題!
横浜市教委と外国籍教員任用についての話し合い
■首長が相次いで差別発言 どうかしているよ!この社会!
■若者がつくる日朝の和平、そして共生
日朝平和ミサンガ祭典に参加して
■日・韓・在日の中での南北を越え、今立ち上がろう
〜「日ー韓ー在日」共同市民集会
■在日一世が厚生労働省に提訴
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■このままでいいのか!常勤講師問題!
横浜市教委と外国籍教員任用についての話し合い
10月2日に横浜市教育委員会と、外国籍教員の常勤講師任用についての話し合いを持ちました。出席したのは教職員人事課から課長ほか1人、人権同和教育担当から課長ほか2人の計5人が出席でした。
これまで、私たちは横浜市が常勤講師任用制度を導入した97年に抗議申し入れをし、その後、数回に渡り、話し合いを行ってきましたが、2000年を最後に話し合いが行えないでいました。
そして、今年、新たに仕切り直し、この間の経過についての情報交換という形でやっと話し合いが実現しました。話はそれますが、この間、横浜市は、私たちが要望する内容、それに関する話し合いをことごとく拒否してきました。
さて、話し合いは、この間の任用状況、この問題の認識という2点で行いました。
まず、横浜市教育委員会は、2000年、2001年、2002年と在日の教員を採用し、常勤講師として任用しているそうです。いずれも韓国籍で、うち一人は任用後、日本籍を取得しており、現在、外国籍教員は2人です。
勤務先の校長には同じ業務をするようにと指導しており、教職員名簿においても国籍に関係なく、「教員」と同じように対応しているとのことでした。しかし、今後、主任、管理職となると待遇は異なり、国籍の壁が存在します。
私たちは、この制度の問題性を説きました。そして、第1のステップとして、文部科学省の通知が壁となるのであれば、まずはその見直しを要望するべきと主張しました。出席した担当者は、私たちの主張を否定することなく、「まったく問題がないとは思っていない」といっているようでした。
横浜市教育委員会は、教育方針の精神を鑑み、学校現場の差別を見抜き、それを排除するのであれ、この問題は見直す方向性で庁内検討をしてほしいものです。子どもたちのためにも。
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■首長が相次いで差別発言 どうかしているよ!この社会!
ご存知の様に、石原都知事が「日韓合併はどちらかといえば彼らの先祖の責任」との言い、松沢知事が「外国人はみなこそ泥」と発言し、このところ首長が相次いで問題発言をしています。これに対して、私たちは、両行政に申し入れをしました。特に松沢知事は、謝罪と撤回のコメントを出しました。しかしもう一方は相変わらずで、この時流に私たちは最大の懸念を表明します。
以下、申し入れ内容です。
2003年11月12日
神奈川県知事 松沢成文 様
松沢県知事の差別発言に関する申し入れ
時下、ご健勝のことと存じます。
さて、新聞報道によれば、11月2日の松沢県知事の「みんなこそ泥」発言について、松沢県知事は11月6日の定例会見で「言葉が足りなかったことによって誤解を与えたことにおわびを申し上げたい」、「私の治安に対する強い思いが、今回、誤った不適切な表現となってしまい、外国籍の方々に不愉快な思いをさせてしまった」(11/6 読売新聞)と陳謝した。また、「外国籍県民とともに生きる地域づくりに今後も全力を挙げて取り組み、すべての人々の人権を尊重するという人類共通の普遍的な課題を将来にわたって県政の基本としていく」(11/7 朝日新聞)と語ったという。
しかし、松沢知事は、今回の「みんなこそ泥」発言については「不適切な表現」「不愉快な思いを」「誤解を与えた」といいつつも、朝日新聞によれば、「文脈をみれば」「理解していただける」と、その発言そのものを撤回していない。
一方、県広報県民課によれば、この発言に対して、108通のメールのうち45通が松沢県知事の発言に理解を示している内容だったらしい。この県民の意識に大きな影響を与えたことだけでも、ただ単に松沢県知事が誤解、不適切だったという釈明だけでは不十分である。
2001年、人種差別撤廃委員会は日本政府に対し最終所見で、「高い地位にある公務員による差別的な性格を有する発言」は人種差別の扇動、助長であり、人種差別撤廃条約4条(C)に違反するとした。今回の松沢県知事発言は、まさに人種差別であり、人種差別撤廃条約違反であることは明らかである。
また関東大震災時における朝鮮人虐殺の発端となったのが、軍及び警察によるデマの流布であったという事実を松沢県知事においてはなおのこと厳しく省察しなければならないところである。
「外国籍県民とともに生きる地域を」と言い、「人権を尊重する」県政を推し進めていくのであれば、松沢県知事自らが率先して研修などを行い、人権意識を高め、今回の発言の問題性を説き、撤回と謝罪をするべきである。そうしなければ、松沢県知事の意見に賛同した人の意識は変わらないことは明白である。そして、それはマスコミ媒体だけでなく、県のすべての広報を通じて、県民に広く伝えていく必要がある。また、庁内通知等で職員にも周知徹底させるべきである。
さらに今後、今回の発言を教訓化し、人権施策、特に外国籍県民施策をまい進させることが今の松沢県知事ならびに県行政に課せられた課題である。以下、申し入れる。
記
1,外国籍県民をはじめすべての県民ならびに県職員に今回の発言の問題点を明らかにして、明確な撤回と謝罪をすること。
2、知事ならびに特別職など、「高い地位」にある県職員の人権研修システムを構築すること。
3、人権施策、特に外国籍県民施策をさらに充実させるための具体的な施策を明らかにすること。
申し入れ団体(代表者名は編集上、割愛)
社団法人神奈川人権センター、県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会、反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)、移住労働者と連帯する全国ネットワーク、カラバオの会、草の根援助運動、民族差別撤廃・外登法改正をめざす神奈川県連絡会議、神奈川県在日外国人(多民族・多文化共生)教育連絡協議会、かながわみんとうれん、横浜の民族差別と闘う会、横浜市国籍条項撤廃連絡会、カラカサン〜移住女性のためのエンパワメンントセンター〜、かながわ平和憲法を守る会、海老名平和憲法を守る会、海老名解放教育研究協議会、外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会、在日韓国人問題研究所、NPO法人東京エイリアンアイズ
知事コメント
去る11月2日、私が選挙応援演説を行った際の、外国人の皆さんに関する発言について、新聞報道が行われ、また私あてにさまざまなご意見がメ−ルや電話で寄せられており'ますので、改めて、私の真意をお伝えするとともに言葉がたらなかったことによって誤解を与えたことにお詫びを申し上げたいと思います。
県内の刑法犯の認知件数は、ここ8年連続して増加しており、昨年は19万件を超え、戦後最悪を記録しました。そうした中で、留学や就学などを目的とした資格で入国した来日外国人の中の一部の方が、不法滞在となって犯罪に走るという事件も見られますし、また青少年犯罪が相次いで発生しております。こうした状況に警察力の増強が追いつかないこともあって、検挙率が低下するなど、誠にと憂慮すべき状況でありまして、多くの県民の皆様が治安に対する不安を抱いております。
そこで、県民の皆様の不安を払拭するために、私は、安全で安心して暮らせるとまちづくりの対策を県政の最重要課題に掲げて、全庁を挙げた取組みの体制を整備し、警察力の増強や犯罪の未然防止から犯罪後の更正保護に至るまで多面的な対策について、全カで取り組むこと決意したところであります。
こうした私の治安に対する強い思いが、今回の誤った不適切な表現となってしまったものであり、誠に申し訳なく、これを撤回し、お詫びしたいと思います。
本県には、155の国・地域の約14万人の外国籍の方々が暮らしておられます。そのうちの、約65%の方々が永住、定住などの資格を持って、本県に生活の基盤を築き、地域住民、つまり神奈川県民として、暮らしておられます。本県では、かねてより、国籍や文化、民族による差別や偏見をなくすために、それぞれの文化や歴史を理解し、外国籍県民の人権問題ついての理解を得られるように、また、外国籍県民が生き生きと暮らしていけるようにとの思いを込めながら「外国籍県民とともに生きる地域社会づくり」に取り組んできたところですし、今後も、全カを挙げて取り組んでまいります。また、すべての人々の「人権を守る」・「人権を尊重する」ということは、人類共通の普遍的な課題でありますので、将来にわたっても県政の基本としてまいりますことを併せて申し上げます。
今回の発言が、地域で一生懸命暮らしておれる外国籍県民の方々をはじめ、外国籍県民の方々のためにボランティア活動を行っている県民や関係団体の方々に、大変不愉快な思いをさせてしまったことにつきまして、重ねてお詫びを申し上げます。
2003年11月6日
東京都知事 石原慎太郎 様
かながわみんとうれん
(民族差別と闘う神奈川連絡協議会)
共同代表 大石文雄/金秀一
抗 議 文
新聞報道によれば、10月28日、「救う会東京」主催の「同胞を奪還するぞ!全都決起集会」において、あなたは、韓国併合に触れ、「100%正当化するつもりはない」としつつも、「決して武力で侵犯したんじゃない。彼らの総意で、同じ顔をした日本人の手助けを得ようと、世界中の国が合意した中で合併が行われた。どちらかといえば彼らの先祖の責任」と述べたという。
もういい加減にしてほしい。
武力を背景にした日本による朝鮮半島の植民地化は、歴史学上の定説であり、現代世界の常識である。義兵闘争や独立運動の存在一つとってみても、韓国併合が(朝鮮人の)「総意」だったと帰結するのはまったくナンセンスである。あなたは、だから前もって「100%正当化するつもりはない」と主張しているではないかと弁明するかもしれないが、だからといって、史実をわい曲することは許されるものではない。史実の歪曲は「過去」を勝手に作り変える行為であり、ましてそれが加害事実の歪曲であれば、被害を受けた人々との友好的な関係を成り立たなくさせる危険な行為となる。実際、あなたの主張に対して、既に韓国をはじめ、在日の民族団体、それにいくつもの市民団体から抗議の声が上がっている。
あなたは、以前、「第三国人」発言をして世間の批判を浴びた。その発言について、2001年の第58期の人種差別撤廃委員会が、その最終所見で、懸念事項としてあげ、ならびに勧告を日本政府にした経緯がある。その時、あなたは「物事を正確に承知せずに、そういう発言を軽々しくしないほうがいい」とコメントなさったそうだが、これは天に向かって唾を吐くようなもので、まさにあなた自身にあてはまる言葉である。都知事としての公職につかれているあなたこそ、軽々しい発言は控えるべきある。そして、もっと正確に歴史をとらえるように努力すべきである。
あなたの無知蒙昧な発言がアジアの人々に対する偏見を生み、多くの市民に誤解を与え、またあなたの傲慢な発言が多くの当事者の心を痛め、腑を煮えたぎらせていることを知ってほしい。
あなたは、この発言の意味および社会への影響を真摯にとらえなおし、発言の撤回を早急に行い、関係者に謝罪をすべきである。
以上、抗議し、要求する。
石原都知事に対しては、11/4に東京のグループを中心に抗議のロウソク行進が行われ、私たちも参加しました。急きょの呼びかけでしたが、約350人が集まり、新宿公園から都庁まで石原都知事の発言に対して、撤回、謝罪、辞任を呼びかけ行進をしました。主催者によると多くの在日青年が集まったとのことでした。
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■若者がつくる日朝の和平、そして共生
日朝平和ミサンガ祭典に参加して
11月8日(土)横浜の朝鮮初中高級学校で行われた日朝青年友情プロジェクトにふれあい館の中高生部の子ども達と行きました。そもそもこの運動のきっかけは2002年9月17日のピョンヤン宣言以降、日本人拉致問題や核疑惑等、反朝的で排外的な報道が高まる中、在日に対する差別が助長されるという懸念からでした。そうした中で、今回の日朝青年友情プロジェクトは、在日の青年や多くの日本人の青年達によって作り出されました。北は北海道からと南は九州の福岡県からのフレンドリーウォークを行い、その各地域で出会った人たちにミサンガ(青と白の糸を編みこんだもの)を着けてもらうといった運動を展開してきました。その間署名運動も同時並行で行い11月22日現在で約6万人の署名を集めたそうです。
今回の日朝友情プロジェクトは日本に住む多くの青年達による心の叫びや願いのもとに作り上げられたものだと私は思っています。今の世の中で友情や願いを大きな声で叫ぶ事が出来る場所がどこにあるというのでしょうか?私達の周りには今なお多くの差別と遭遇する人達がいます。いつの日か差別と向き合うこと、闘うことから解放され、自由や平等を叫ぶ事や願う事が無くなる日を胸に今後も様々な活動に積極的に取り組んでいくつもりです。
ミサンガとはブラジルのボンフィン教会が発祥だと聞いています。ポルトガル語ではフィタ(リボン)といい、日本では1993年頃にJリーグ開幕のときにブラジルの選手がつけていたのがきっかけとなり浸透しました。また、ミサンガという名称はなく正式にはフィタ・ボンフィンといい、古くは髪の毛を編んだものを手首や足首に巻いて想いや願い事などを込め切れたら成就するといったお守りとして使われていました。(他にも色々な説があるみたいです)今回の日朝友情プロジェクトのミサンガ・フィタが本当に意味で早く切れることを心から祈っています。
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■日・韓・在日の中での南北を越え、今立ち上がろう
〜「日ー韓ー在日」共同市民集会
日韓のNGOがネットワーク化され、「第2回日本人による在日コリアンへの嫌がらせ問題対策会議」が11月19日〜20日で日本で開催されました。
第1回の会議は、今年の10月24日に韓国ソウル市内で開かれ、今回は、日本での石原発言等の差別発言問題、また朝鮮学校の国立大学入学資格問題、朝鮮学校生徒への嫌がらせなどの問題が顕在化される中での開催となりました。
反差別国際運動、反差別国際運動日本委員会、経済正義実践市民連合を中心に、日本側は、在日韓国人問題研究所、在日コリアン青年連合、ピースボート、<日本−在日−韓国>ユースフォーラム・ジャパン、日韓市民スクエア、外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会(外キ協)、日本キリスト教協議会在日外国人の人権委員会、在日大韓基督教会関東地方会社会部、I女性会議、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会、(社)大阪国際理解教育研究センター、民族学校出身者の一橋大への受験資格を求める連絡協議会、部落解放同盟中央本部、社団法人ひょうご部落解放・人権研究所、東京エイリアンアイズ、長野県御代田町人権啓発センター、日本教職員組合、『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議/移住労働者と連帯する全国ネットワーク、在日本韓国YMCA、かながわみんとうれん、フォーラム平和・人権・環境、ARC等が、韓国側は、ウリ民族助け合い運動、 地球村ナヌム運動、ソウルYMCA、韓国挺身隊問題対策協議会、地球村同胞青年連帯、ナワウリ、韓国青年連合会、韓国−在日−日本 ユースフォーラム韓国委員会、(社)平和の友、(社)東北アジア平和連帯、(社)良き仲間たち、大韓仏教_渓宗民族共同体推進本部、経済正義実践仏教連合、東北アジア平和センターなどの団体が連携しました。
11/19は日ー韓ー在日の共同市民集会が、11/20は共同会議が、そして11/21には19日の共同声明を都庁に申し入れが行われました。
11/19は韓国YMCAのホールがいっぱいになる100名以上の関係者が集まり、在日コリアンへの嫌がらせの実態、大学入学資格問題が報告され、その後、在日の青年から「9.17から1年、これから私たちは」と題した思いが語られました。その後、韓国側の代表からアピールがあり、石原発言への抗議声明を採択しました。
この集会で草の根のNGOと一緒に民団系、総連系の青年組織が参加したことは、意義深く、韓国NGOとも今後、このような連携が期待できることは興味深いです。今後に期待したいものです。
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■在日一世が厚生労働省に提訴
11月13日、大阪地裁に在日無年金高齢者6人が年金支給を求めて提訴を行いました。ご存知のとおり、国民年金法は1982年まで国籍要件があり、難民条約以後、国籍要件が撤廃された以後も経過措置がとられなかったために、現在、1926年4月1日以前生の在日は制度的な無年金状態です。また82年時、20歳をこえていた在日の障害者も無年金で、既に京都地裁で裁判行われていたが、高齢者が裁判を起こすのは久しいです。
この裁判に伴い、大阪を事務局を置く、「旧植民地出身高齢者の年金補償を裁判を支える全国連絡会」(以下支える全国連)が発足されました。
原告は79歳〜84歳。私たちの回りにも在日の高齢者は多くおり、この間、福祉給付金制度実施等の取り組みをしてきました。しかし、国は頑なであり、この闘いで在日高齢者の無年金問題に活路が開けることを期待します。
今後、活動等の援助等、私たちに託していただければ必ず事務局に届けますので少しでも援助を戴けるとありがたく思います。
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