国民健康保険(以下、国保)の最高裁判決を受け、3月15日に「外国籍市民の在留資格と国保加入」〜最高裁判決の意味と今後〜と題した学習会を行いました。講師は国保弁護団の三木恵美子弁護士で約70人が参加してくれました。
以下、三木さんの講演要旨です。
これまでの国保裁判は3件起こされた。1990年に生活保護に関してオーバースティの方の受給を打ち切るという通達がだされ、生活保護における在留資格の有無を問題にした。これは、日本にきて、夜の仕事をせずに、子どもを育てて頑張っている母子家庭を直撃した。憲法には、日本に生活しているすべての人の人間的最低限度の身体、生命の安全を守るんだという26条があり、外国人にも適用されるが、こと個別になると歯切れが悪く、在留資格がないと帰らずを得ない運命にあるからその人が利益享受できなくともしょうがないという考えが当時主流でした。
国保に関しては92年に通知がでた。これは、当時、就学生、日本人との結婚で6ヶ月の在留資格、その後1年という在留資格が主流だったので、その合法在留を年頭において1年以上または期待できるものを基準とした。この92年通知は90年指導より圧倒的多くの外国人の生活を直撃した。在日外国人はその就労状況から国保加入率は高い。それらの層をカバーするのが国保であるが、このような通知が出てしまった。
最初の依頼者は、日本人夫との死別により、母子家庭、オーバースティになった。しかし、この人は子どもが日本国籍だから国保に加し保険料を払っているが、本人だけ被保険者資格がない。理不尽ということで裁判を起こした。結果、判決がひどかったが、在留特別許可(以下、在特)がでて、訴えの利益なしで裁判は終了した。
二番目は日本人との配偶者で、在特申請中の方。この裁判は住所(5条の要件)というのが争点。住所というのは(日本の法律では210個ある)民法でいうと生活の本拠であり、国保上の「住所」概念解釈が争点でだった。この判決は、住所とは生活の本拠。本拠とは居住の事実と意志。それには在留資格の有無や内容も検討の要素とした。だが、裁判所は原告の住所を認め違法とした。
そして、本件は、原告の息子さんが重症で医療を必要したケースだった。原告は、韓国生まれで韓国の永住権をもつ中華民国籍で、再入国許可を得ず、出国で永住権を喪失。現在の台湾では彼の中華民国の国籍は確認できず、日本に留学。その後、日本で結婚し子どもをもうける。子どもの在留資格のために日本と台湾を10余年行き来するが、力つき、結局日本でのオーバースティ状態になる。しかし、長い間、大きな中華料理で働いていたので、長期間、社会保険に入り、長年、保険、年金、税金等を払ってきた。しかし、仕事がかわり、社会保険のない仕事についた時、息子が病気になった。裁判を起こして、98年に在特がおりたので、それ以前の保険料と損害賠償請求を求めた地裁判決は、厚生省通知は違法でない。したがって、それに従った横浜市にも過失はないというものだった。2審は2002年2月3日に全く逆の判決で大変ひどいものだった。
そして、今回の最高裁判決は、5条とは何かとしっかりいている。6条が適用除外で、以前規定していた国籍条項が現在ないのだから5条で除外するのは適当でないと言っている。一方、国の方で別途法令で定めればとふざけたことを言ってはいるが、総合的考慮で基準にしているのは、生活があること。外国人登録をしていること。在留特別申請をしていること。居住に意志にからめている。では、何故負けたのかというと、当時の法的判断が加入を認めないとした東京判決だけだったので違法とはいえないというものだった。これまでの厚生省に従うのは当然というものでなく、その意味で前進をしている。
現在、横浜市は、この最高裁判決をうけ、是正しないといけないと誠実な姿勢を見せており、保険料をだすようだ。これまで、県下市町村においても、在留特別許可申請がおりそうな人に国保加入を認めている実態があり、これは他都道府県でもあるようだ。
判決では、「法律や規則でなく、ただの通知をもってというのは」というのがあり、これを逆読みすれば、法律があればとなり、私たちはこれを恐れている。厚労省には法律をつくらせない、これが焦点だ。そのために市町村でどれくらい加入の実績を積むのが大事。ではどんな人かというと、外国人登録をし、在特申請をしている人。日本籍の子どもをもつ外国籍の親で、そのような人は申請してみる価値がある。外国籍のみの家族は約15年の日本での生活、日本で生まれた子どもが中学生以上というのが基準となるようだ。
その後、大変具体的な質問と大変実態的な応答がなされました。どちらにしても、今後、市町村がこれまでの方針を見直し、国保加入の途を開かざるを得ない状況です。また、厚労省にも声をあげ、新たな法律で排除させないようにしなければならなりません。聞くところによれば、弁護団で民主党、公明党に働きかけ、厚労省担当課へ働きかけてもらっているようです。しかし、厚労省の認識は良くなく、動きも鈍いとのことです。
一方、横浜市には何件かのケースで申請をしており、今後、焦点となります。私たちも近いうち、申入れをする予定です。
今年で11回目となるアリラン祭が、3月21日(日)午後1時より、川崎市立桜本小学校の体育館で開催されました。
今年のアリラン祭は、会場を在日韓国・朝鮮人の多住地域に移し、より地域に密着した開催となりました。
参加団体も、これまでの高校生と桜本の小中学校に加え、新たに地域の川崎朝鮮初中級学校やふれあい館に集うクラブ・サークルのみなさんに参加いただき、地域に広がりを持つことができました。
当日は観客や出演者を含め約350人の人たちが集い、会場が熱気につつまれました。
演目は、桜本中学校の美しいプチェチュム(扇の舞)から始まりました。鮮やかな民族衣装の生徒たちが見事な扇の波を見せてくれました。続いて、桜本小学校6年生の代表児童たちは「在日って何だろう」と、学校での学習成果を発表しました。トラジの会との交流などを通じて子ども達が自分達で考え感じた差別問題などをしっかりとまとめて伝えてくれました。この後、高校生たちによる川崎・富川高校生フォ−ラム・HANAの活動報告を受けました。夏に韓国を訪れ冬に日本に迎える交流も、着実に発展してきているようでした。
そして、桜本小学校3年生は、劇「三年峠」を民族楽器の演奏も加えて熱演しました。会場からは、子ども達の発表に、笑い声も含め押しみない声援があがりました。
後半は、川崎朝鮮初中級学校のすばらしい吹奏楽合奏から始まりました。観客は、総勢30名を越える子ども達による美しいハーモニーに魅了されました。続いて、桜本中学校の農楽が発表されました。その躍動感あふれる動きは会場に熱気を運んでくれました。そして、ふれあい館こども舞踊クラブの三面太鼓では、小学生とは思えない技が披露されました。それはそれはスピード感あふれる熱演でした。また、同じふれあい館から、コリア文化サークル「パランセク」がサムルノリで登場しました。一糸乱れず、なおかつ熱く叩きあう好演に、会場は圧倒されました。
最後に、高校生による、サムルノリと体験発表となりました。今回の高校生参加は例年にない少人数でしたが、在日コリアンの1人の高校生を中心に、高校生同士が思いをぶつつけあって交流を深めることができたようです。韓国、日本、フィリピンをルーツに持つ高校生たちの、自分達の差別体験とともに今後に向けた前向きで真摯な発表に、観客は熱い拍手を送りました。「アリラン祭に参加してよかった」という高校生たちの感想が、最後に心に残るアリラン祭でした。
3月25日の学生無年金訴訟判決で、無年金障害者問題の議論がヒートアップしています。
ご存知の様に、政府の無年金障害者への対応は、厚労省自体は鈍いのですが、坂口大臣が福祉的救済を打ち出し、昨年度、無年金障害者への実態調査を行いました。そして、今後、坂口私案の検討を行う予定でしたが、学生無年金の違憲判決で政府は急きょの検討を強いられることになりました。
3/27には、与党で学生無年金障害者に月3万円(老齢福祉年金同額程度)の手当を支給される方向性で検討がなされたようで、対象者の学生無年金者4千人と推計されいます。
3月末から4月の初旬にかけて、学生無年金障害者訴訟弁護団全国連絡会、年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会、在日外国人障害者の年金訴訟を支える会、旧植民地出身者高齢者の年金補償裁判を支える全国連絡会が連名、または単独で与党を中心に対象者を学生、主婦、在日外国人、在外邦人にし、障害基礎年金を支給すること等の申入れを行っています。一方、超党派でつくる無年金障害者問題を考える議員連盟は、対象を在日外国人、在外邦人、学生、主婦にすること。年金制度での解決。支給金額は障害基礎年金と同額にすること。控訴しないことを決議しています。
さて、しかし、自民党与党年金制度改革協議会の大野議員は、学生無年金と未加入、外国人の無年金は別問題だといい、公明党桝屋議員は、坂口私案がいい、自民党は福祉で学生、主婦だけにするといい、今後の協議で決定するらしいのです。
4月6日に合意された与党年金制度改革協議会では、1.年金を受給していない障害者の方々への対応については、これまでも議論が重ねられてきており、本協議会の本年の2月4日の合意の中でも、速やかに結論を得ることとする旨の姿勢を明記したところである。2.本件については、学生等の国民年金制度の発展過程で生じた特別な事情を考慮して、福祉的な観点から適切な措置を講ずる方向で、立法措置を含めた具体的な検討を行い、速やかに成案を得ることとする。3.なお、国民年金法などの一部を改正する法律案の今国会での速やかな成立を図るため全力を尽くす。との合意がなされ、結論は形の上では持ち越しとなっています。
しかし、伝わるところでは、学生と主婦だけを月額3万円程度福祉金の支給でとのようです。特に自民党は制度の狭間の学生、主婦と外国人を一緒にするのに大変難色を示しているようです。大変ひどい話しです。
4団体は今後国会に働きかけを強める予定ですが、前途は容易ではありません。
何とか救済の方向にしたいものです。それにより高齢者の解決も可能性が出てくるかもしれませんから、頑張りましょう。
去る3月25日に、東京港区にある愛宕山弁護士ビルにおいて、「田中宏先生の東弁人権賞を祝う会」が催されました。田中先生は40年以上にもわたって、在日外国人の人権問題に貢献されてきました。そのことが高く評価され、今回の受賞に至りました。
かながわみんとうれんとの関わりは長く、1980年代の指紋問題から深くなった経緯があります。また李仁夏先生と共に、「在日の戦後補償を求める会」の共同代表でもあります。時には最先端に立ち、時には縁の下の力持ちとなり、常に在日外国人の人権問題に関わりながら、日本人との共生を模索してきた方であります。それを反映してか出席者の顔ぶれは多彩で、市民運動関係者をはじめ、民団関係者、総連関係者、弁護士グループ、研究者グループなど田中先生を慕う人々が集まりました。ご本人意向もあり、立食での和気あいあいとしたムードの、質素なパーテイーでありました。けれども、それぞれのスピーチの暖かさに心がなごみ、取りも直さず、ご本人が顔をクシャクシャしながら喜んでおられたのが、とても印象的な「祝う会」でした。
制作「花ハンメ」製作・上映委員会/ヒポコミュニケーションズ/監督:金聖雄
6月20日(日)15時〜 川崎桜本小学校上映会
7月10日(土)15時〜 19時〜 横浜西公会堂上映会
7月31日(土)15時〜 19時〜 韓国YMCA
9月 4日(土)15時〜 19時〜 武蔵野公会堂
10月2日(土) 中原市民館
各共通 前売り1300円/当日1500円
問い合わせ 花ハンメ上映委員会/ヒポコミュニケーション
TEL03-3355-8702 FAX03-3355-8622
上映会実行委員、お手伝いして下さる方募集
「強制連行は無かった」論と戦時下の朝鮮
講 演:樋口雄一(朝鮮史研究家)
日 時:2004年5月23日(日) 午後2時30分〜5時
場 所:横浜市開港記念会館(中区本町1-6 TEL045-201--708)
資料代:700円
主 催:梶村秀樹記念講座実行委員会
3/18 平和開発O氏とあう。前回の話し合い以後、今一度在日のことを学習し、再度真剣に考えてみたいとのことで、何冊かの本など読んだ様子だ。こちらの方も次回の話し合いまで、大西氏が理解できるようにと研修的に何人かの人とあう場を作りたいと思っている。これで変って欲しいものだ。
3/25 学生無年金の訴訟地裁判決で「差別を放置した点は憲法に違反する」との勝訴判決がでた。これで国は救済措置をせざるを得なくなった。しかし、国側は控訴した。それにしても、在日の無年金障害者の地裁判決は負けたばっかりで、日本人は違憲で、外国人は違憲ではないとは、少し心が晴れない私だけだろうか。
4/01 連合神奈川会長が自治労県大会で差別発言したことで会長にあってきた。本人は一応謝罪をしたが、どこまでわかっているのだろか。ただ、会長曰く、連合の人権施策推進への取り組みは積極的だそうで、今後連携で担保したい。
4/01 参政権連絡会の緊急の会議があったが、参加できなかった。その情報に因れば、今回、公明党が単独で提出している永住外国人地方参政権付与法案は、なんと朝鮮籍をまたもや除外しようとのものらしい。もうこうなると声も出ない。朝鮮人への迫害である。