横浜市
前号で掲載した昨年7/5提出の要望回答について、3/28に横浜市と話し合いを行いました。参加したのは、教育委員会、健康福祉局、人権部、国際室でざっくばらんにという担当窓口の音頭取りで何年かぶりに担当者との話し合いの場が実現しました。
収入が安定しないがために給食費が滞納してしまっている外国人家庭が超過滞在のため生活保護申請ができない。就学援助申請も職場が不安定なため所得証明をだしてくれなく申請できない。様々な手続きでも保障人が見つからない。学習言語がの習得が不十分なため、学校での学習についていけず、半ばドロップアウトしてしまう子どもたちと・・・。信愛塾で特にニューカマーの子どもたちが抱える問題が話され、外国人の背景を考慮した総合的な外国人施策の必要性が提起されました。
これに対して、教育委員会においては、様々なケースにおいて相談をすればのってくれるとの心強づよい反応がありました。またこどものバックグランドが理解できる職員研修を行なってもらうよう要望しました。
健康福祉局は、制度の狭間に置かれている実態が存在することは共感できるとし、特に在日1世の居場所について、モデルケースも含めて今後相談していきたいとのことでした。
国際室担当施策に関する話しは時間のためできませんでしたが、人権部所管の職員人権研修、企業啓発については今後深めていくとの回答でした。
今後も具体の話しを通して、担当者と煮詰めていきたいと思います。
川崎市
川崎市との話し合いは、昨年5/10に要望書を提出し、11/9に回答があり、今年1/20に再質問書を提出し、2/7に教育委員会と、2/14に健康福祉局と再交渉を行ないました。
教育(要旨)
要望1:市立小中高学校の在日外国人児童・生徒の在籍状況、進路調査について
回答:在日外国人児童・生徒の在籍状況は「外国人生徒の国籍別の在籍実数」のとおり。進路調査は個人が特定されやすい状況から公表できない。
再質問:進路調査の公表。また進路実態から高校への調査数が少すくない。
再回答:実態がつかみづらい。県立高校の調査が今後の課題。今後公表。
要望3:民族文化講師派遣事業の成果。予算増額。実践推進組織の整備
回答:民族文化講師ふれあい事業の成果は、様々な国の文化を知ることで理解が深まり関心が高まった。子どもだけでなく保護者も一緒に参加し交流に発展した。この事業をきっかけに継続的に活動している。課題は教員側の理解。そのため教員への不信感が生まれたりする場合があり、学校や教員の対応に課題を残している。増額は財政的に苦しく予算確保に努める。実践組織整備はより機能的な組織確立が必要と認識、今後検討。
再質問:多文化教育研究センター(仮称)の設立
再回答:ハードをつくることは厳しいが、ソフトで研究。多文化共生推進指針に基づいて前向きに研究。
要望4:いじめの把握。本名使用の環境整備、教職員研修。
回答:在日コリアン児童・生徒へのいじめの実態は、校長会などと連携し、根絶に努めてまいりたいと考えております。本名使用の環境整備は、学校での人権教育のみならず、社会教育・PTA等との連携による取組について検討。教職員においては人権研修や実践研究の充実に努める。
再質問:いじめの実態調査。また今後の具体的対策。
再質問:教職員研修、および実践研究の充実。
再回答:市内学校200校の調査は難しい。職員研修を強化していく。具体例など実態的な研修を進める。
再回答:F小の事例は学校に確認。大変申し訳ない。2/7に関係校、前校長をよんで指導した。具体的なプログラムをつくり、きちんとやろうとしている。また校長会などを通じて提案もしていきたい。
要望5:日本語学習、母語の相談体制。母語での受験、在県特別枠の緩和。
回答:母語での受検につきましては難しいものと考えております。また、在県特別枠の来日年数は現行通りの3年と考えております。しかしながら、課題と考えておりますので県教育委員会と研究。
再質問:日本語習得3年の科学的な根拠
再回答:科学的な根拠なし。特別枠は川崎市はやっていない。前期選抜でと考えている。定時制ではポルトガル語、中国語の非常勤対応で日本語指導。来年度も定時制で非常勤の時間数を優先的にまわすとの確認。
要望6:就学相談における幼稚園・保育園との連携
回答:幼稚園・保育園との連携は不充分と認識。教育委員会だけではなく、関係部局と連携・調整。今後、多文化共生社会推進指針をふまえ総合的検討。
再質問:当事者の意見を聞く場を。
再回答:多文化共生推進の中で安心して相談できる体制をつくることが大事。市民局、区役所などと総合的に調整。
要望7:外国人教諭の積極採用。外国人教員の補助的教員としての配置。
回答:今後とも公正公平の原則にたって教員採用を行なう。外国籍児童生徒や日本語指導が必要な児童生徒がー定数以上いる学校には担当教員を加配、日本語指導等協力者派遣事業で対応。今後とも支援に努とめる。
再質問:外国人教職員調査。
再回答:データーはない。2000人位が任用職員がいるので時間がかかる。
再回答:日本語指導講師、民族文化講師の形で現場に入っている。子どもたちにとって必要。
要望8:保険のない外国籍児童生徒が学校等のケガで学校保険制度の適応で保険分の医療保険差額を補すること。
回答:日本交通振興センター災害共済より医療費の4割相当がかえってくる。
顛末:進路調査はデーター等は後日まとめたものを頂くことになりました。日本語指導の件は総合教育センターと別途協議することになり、その他はすべて、今後、検討することとなりました。
福祉(要旨)
要望1:福祉手当の増額
回答:今後とも検討。御理解を。
再質問:無年金者の生活実態の認識
再回答:当然、所得の低い方たちは非常に厳しい状況。対応はいろんな面ではかることが必要だろうと思うが、財政状況が大変厳しい。
要望2:介護サービスの充実。「ひとり暮ぐらし高齢者実態調査」事情説明。無年金者への介護保険、サービス料の減免措置。
回答:介護保険には国籍条項を設けていない。国籍による差異は生じない。ひとり暮ぐらし高齢者実態調査の外国人の調査につきましても検討をいたしました。ひとり暮ぐらしの方や高齢者のみ世帯の抽出が困難で調査できなかった。外国人の調査は、外国人登録の情報により、郵送等などによる調査を検討。介護保険料・サービス利用料の減免措置は無年金を理由としたものではありません。所得が低額で保険料やサービス利用負担が困難な場合は、減免申請を受けつけている。
再質問1:ひとり暮ぐらし高齢者実態調査について再回答。
再質問2:ひとり暮ぐらし高齢者実態調査の具体的計画、手法。
再質問3:介護保険料の第1段階は老齢福祉年金受給者も対象とされておりこのことは。
再質問4:所得のない79歳の在日高齢者の国民健康保険料、介護保険料、平均的な介護サービスの総額。
再回答1、2:外国人のデーターに制約があり、調整ができませんでした。なので、これだと思われる方に郵送での段取りで進める。
再回答3:第1段階は生活保護を受けている方と老齢福祉年金受給者で、無年金者はそうならないわけで認識不足だった。
再回答4:79歳、単身者で平均的なケースで、国民健康保険料3350円、介護保険料2410円、在宅で平均的なサービス料で8497円です、計14257円えん。福祉手当21500円で、残りは7243円。
要望4:在留資格要件の有無の調査
回答:特にございません。
再回答:できればケースのようなものをだして頂いて、そこから調査をかけていきたい。小児医療助成金は国籍要件はない。しかし、助成をうけられるのは国保被保険者などの被保険者とする。つまり保険に加入していないでないよということになる。結果として受けられないケースもある。
顛末:福祉手当増額&対象年齢引き下げは、今後の検討となりました。ひとり暮ぐらし高齢者実態調査は今年度中に調査することとなりました。在留資格要件は調査をすることとなり、世帯把握、世帯台帳の要求を別途しました。
2月21日(月)午後7時からふれあい館にて平和開発との第18回目の話し合いが持たれました。平和開発側からは大西氏・長倉氏の2名が参加し、川崎市から4名、みんとうれんからは当事者を含め10名の参加がありました。
前回の1月の話し合いでは、大西氏が初めて「自分が差別をしていた」ということを話し始めました。しかし、当事者からの問いかけに大西氏が答えられずに終わってしまい、もう一度、差別について考えてきてもらうことになりました。
今回は最初に、大西氏から、「当事者の負った理不尽な差別に気づこうとしなかった。」「当初は悪くないと思って逃ていた。この事件を重く受け止めていきたい」「本当にすまないと思っている」と語りました。しかし、こちらの様子を伺うように言葉を選んでしまっているため、当事者とのやりとりの中では、コミニケーションが深まらず、距離が埋らない状況が続いてしまいます。
当事者側からの「差別の本質とは」というテーマで一問一答のやりとりがなされました。その中で導かれるように大西氏は「差別とは人を殺してしまうこと」であり「何故そうなったのか」を知ることが「大事」という答にたどりつき、私たち在日のおかれている状況について前回より理解をましたと思われました。
しかし、このやりとりは当事者以外とのやりとりであり、当事者本人と向き合うことが未だできていません。休憩後、参加者にこの問題についての思いを語ってもらいました。これらの思いを大西氏が咀嚼し、この問題について再度総括し、それをもって当事者と向き合い誠意ある回答を期待します。次回は4月13日です。(FAKSA)
「留学生は入学を許可されていない」と在日の高校生の資料請求を断った窪田理容美容専門学校(以下、窪田)と当事者の高校生が2/15に話し合い、窪田は当事者に謝罪し、今後このような対応をしないとしました。また、県教委は、都教委とも連携をし、所管する専門学校を指導するということで解決をしました。
昨年の10月、窪田の学校説明の資料をもらおうとした在日ダブルの高校生(民族名使用)がインターネットを通じて請求しましたが、窪田よりハガキで「留学生は入学できない」という資料郵送拒否のハガキが届きました。すぐさま、高校生は自分の通う県立高校に報告し、相手側に問題点を伝える様に要請しました。高校より留学生ではないという報告を受けた窪田は、すぐさま高校に資料を郵送してきましたが、その後何もありませんでした。
昨年末に高校生の保護者が県教委にこの問題の解決を要請しました。県教委は高校が速やかな対応ができていないことと当該生徒への働きかけ高校を指導し、窪田へはこの問題の本質を伝つたえ、学事振興課から県内の専門学校へ通知し、都とも連携し、同趣旨の働きかけを都内の専門学校にするようになりました。
そして、高校が仲介し、窪田と当事者親子の話し合いの場がもたれました。
窪田は、想田理事はじめ総務部長、入学相談室主任が来校し、当事者に謝罪をし、外国籍者の入学については問題ないとしました。またハガキは今後使用しないことにし、外国人問題等を含めて職員に周知徹底するとことを約束しました。当事者側は、このことでの本人が外国人だから差別されたと認識し、大変なショックを受けたことを表明し、ことの経緯を聞きました。
窪田は過去に留学生を受け入れたが、授業での指導と国家試験の学科試験が合格しないため、それ以来留学生の入学を断っていたとのこと。8年前くらいからハガキでの対応をしており、今回名前で判断して断ってしまった。しかし、問題は日本語のみで現在、学校にはアメリカ国籍、韓国籍の学生が在籍している。文科省から選考料目的で受け入れ不可能な学生の受験はさせないようにとの指導を受けており、倍率1倍以下は全入なので、こうなったと釈明していました。担当職員に周知徹底して相手の状況をよく把握し対応すると改善を約束しました。
話し合いの中で当事者の高校生が“昔名前でいじめられたことがあり心を痛めた。今回もそうで差別されたと思った。友人にも在日がたくさんいるのでしっかりわかって欲しい。”と訴えました。窪田は謝罪するのみ、ちょっと頼しい光景でした。(SOOIL)
3/30、弁護士会館でシンポジュウム「外国人の社会参画のこれから」が開催され、原告の鄭香均さん、代理人の金敬得弁護士に加えて、法政大の江橋教授、日弁連人権擁護委員会第6部会長の丹羽弁護士の4名のパネラーで最高裁判決の検証と今後についてが語られました。
総じて判決の評価については、憲法が外国人の公務就任権を許容したと評価できる点もあるが、外国人の公務就任権は憲法の想定外とするという判決に司法放棄という批判であり、江橋氏がいう「ジャスティス」(正義)でない、金敬得氏のいう人権の砦としての最高裁でなく、国家権力としての最高裁判断と悪評です。また、判決で規定した公権力行使等地方公務員、国家主権においての合理的基準という理屈は大変後退した広義で抽象的な制約基準といえるようです。特に公権力行使等地方公務員はすべての公務員にあてはまるものでそれこそ許容できない判決です。また特別永住者の歴史性などの背景をまったく無視していると丹羽氏は強調していました。
金敬得氏はこれまでの在日の裁判では明記した国籍条項の争いだったが、この訴訟はなんら明記されていない国籍条項の争いで勝機ある裁判だったとふりかえっていましたが、自治体裁量権を認めた判決から、これからは自治体と運動の勝負で決まる”と言っているとおり、現状追認型のこの判決は今後の行政対応に温度差を生むに違いないはずです。
鄭香均さんは、行政裁量で決まる人権と何なのかと問い、法を無視し、憲法を軽んじ、司法が差別をしてもいいということが今の日本のあり様で、今一度、戦後外国人政策を考える必要があるとし、日本人の問題でもあるとしました。また現在、自分と同じ職務につけない川崎市の任用制限はおかしいと「川崎方式」の批判もし、見直しをうながしました。そして、今後も闘かっていく決意を表明しました。
僕がみんとうれんの活動に関わって2年になろうとしています。その中で初めて裁判というものを体験しました。皆さんも良く知っている鄭香均さんの都庁管理職任用の裁判です。最高裁弁論の日には残念ながら中には入れませんでしたが、判決は傍聴することができました。緊張した空気の中、内心ドキドキしていましたが、裁判が始まると裁判長が一言二言話して終わってしまいました。かなりあっけにとられてしまいました。正直それだけ?という感じでした。鄭さんの長い闘かいの判決がものの1分かかるかかからない時間で法廷は閉廷されました。そういうものなのかもしれませんが、初めての僕にはかなりの驚きでした。しかも内容は喜べるものではありませんでした。その後の報告集会で、鄭さんが「怒りも涙もでないあきれはてた判決で、もう笑いが先にでてしまった」というお話しと表情を見みて、詳しい判決内容がわからない僕でも本当に悪い判決だなあということが伝わってきました。
僕は、川崎市職員です。現業ですが、同じ地方自治体職員として、すぐには影響がないかもしれませんが、少し不安になりました。それより、今回のこの判決を聞いて僕より若い世代の在日の子どもたちは何を思うのかなあと思いました。きっと、僕以上に不安な気持ちになったと思います。夢を持つ前からその夢が断たれてしまっているというのは本当に悲しいことで、こんな状態をいつまでも放置しておく日本社会は改めておかしいと思いました。
僕は今、地域の子どもたちに関わるボランティアをしています。もちろん外国籍の子どもたちがたくさんいます。今回の判決を聞いて、僕は、今僕の目の前にいる子どもたちに鄭さんと同じ思いをさせたくないと思っています。制度によってなりたいものになれないのは本当に悲しいことです。そんな思いをさせないためにもこれからできることをかながわみんとうれんの運動を通じて一生懸命やっていきたいと思っています。(KOOYON)
2005.2.18、川崎市立桜本中学校にて第18回在日の想いに語る会が参加者61名のもと行なわれました。
全体会では、鶴見潮田中の加藤治先生から「外国人の子どもに出会って」というテーマで潮田中の取り組みの話しがありました。潮田中にはたくさんの外国にルーツがある生徒がいて、ある在日の生徒との出会いをきっかけに様々な外国にルーツがあるたちに深く関わっていったことや、潮田中の生徒たちによる地域との交流を映したビデオ制作などの話しがありました。
その後、「言葉」「文化」「保護者との関わり」という3つのテーマで分科会に分かれて話し合いました。その中で私が参加したのは「言葉」というテーマの分科会でしたが、もっとも印象に受けたのは、桜本中の校長先生の話しです。日本に来て間もない生徒の気持ちを知ろうという数学の授業で、ある日本人生徒を日本に来て間もない外国人生徒の役になってもらい、先生の質問に答えられないときの気持ちや、同級生にバカにされたときの気持もちなどを感じてもらって、どう思ったかなどをみんなと話し合うというものです。外国人生徒役の生徒は「みんなに笑われたりバカにされたりしてすごくつらかった。」と、その当時の生徒たちは授業を通して、外国人生徒のつらい気持ちやしんどい気持ちを知ることができたと言っていました。
私は日本で生まれあたりまえのように日本語を使い今まで何不自由なく生活を送ってきましたが、言葉が分からない人たちの気持が果たして理解していたのかというと疑問が残ります。校長先生の話しを踏まえてもう一度今までの自分自身を見つめなおして、今後の活動に生かしていきたいと思います。(POMDO)