11月22日(火)午後、川崎市第3庁舎にて、かながわみんとうれんが9月30日付けで提出していた「在日外国人市民施策に関する要望書」のうち、外国人市民施策全般と労働に関する課題について、意見交換会形式で回答交渉が持たれました。
まず、「3.労働に関する課題」のうち、外国人職員の在職状況については、14名の在日コリアンの在職が確認されました。これは2003年4月の21名より減少しています。その理由としては外国人医師の退職や、日本国籍取得者が数名いたこととともに、外国人職員の新規採用者がいなかったことが明らかになりました。この新採ゼロについては、大きな問題といえます。
また、昨年の任用差別に関する不当な最高裁判決の影響については、基本的に市の方針としては変わらないことが確認されました。施策が後退するような影響が無かった点では評価できますが、相変わらず「公務員の公権力行使に外国人は関れない」との見解から抜けられない問題は残されたままといえます。採用後の任用差別についても、運用規定の見直しはするものの、撤廃までの動きにはなっていません。
ということで、消防職員の国籍条項についても、他の自治体ではOKの所があるのにどうして川崎市は「子どもの夢」を奪うのか、という問いには依然として答えてもらえませんでした。
民間企業における就職差別の実態把握については、労働相談の窓口を開いているものの、市としては把握できていないことが明らかになりました。そこで、こちらからは、労働相談の多言語対応や差別の実態把握のためにも、さまざまな団体との連携を提言しました。
「1.外国人市民施策全般」についての回答のうち、外国人市民施策の推進条例制定については、具体策は提示されませんでした。このため、まず、他自治体の動向を調べることを確認しました。
韓国での永住外国人の地方参政権認定への対応については、政令指定都市会議へ議題提案など、具体的動きはこれからでした。
在日外国人の住民投票条例などの新たな市政参加システムの設置については、今年度、検討委員会を作る予定だそうです。
入居差別については、最近差別の相談はなかったということ。居住支援制度の利用者を増やすためにも、情報の多言語化などへの取り組みを要請しました。
試行中の区民会議での外国人市民の参画状況は、現在2名。中原と多摩にしかおりません。そこは問題であるとの指摘を行いました。
以上さまざまな面で、川崎市としての独自の取り組みを求め、交渉をしてまいりました。ひとまず第1回の交渉は終わりましたが、最新の国勢調査のデータ提示等の宿題を川崎市と確認しました。
とうことで、今後も、今回答えられなかった「2.教育に関する課題」「4.福祉に関する課題」について、それぞれ川崎市との回答交渉を持つ予定です。現状の課題を整理すると共に、外国人市民施策が推進するような交渉にしていきたいです。(H)
日本教育会館で2005年12月8日(木)午後3時30分から「外国人人権法連絡会」結成総会が、午後6時30分から「外国人人権法連絡会」結成記念集会が行われました。
連絡会は、これまで在日コリアンや移住労働者・移住者・難民など在日外国人の人権獲得と、共生社会の実現に向けて、さまざまな取り組みをさらに発展させ、「共生社会」を阻害してきた「外国人登録法」「出入国管理及び難民認定法」「国籍条項」、根深い排外主義・人種主義に対峙し、いま日本に住む200万人以上の「外国人」と、50万人以上の外国にルーツを持つ日本国籍の「民族的少数者」など、すべての人びとが、今こそ「共生」と「平和」のビジョンの中で生きれるため、「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定、「国内人権機関」の実現をめざすために設立されました。
田中宏龍谷大学教員、丹羽雅雄弁護士、渡辺英俊移住連共同代表を共同代表とし、事務局をみどり共同法律事務所 、移住連、RAIKの3個所に置き、市民団体・労組・教会関係団体など人権NGОと、弁護士・研究者・市民の広範なネットワークを構築し、日本人と、在日コリアンなど旧植民地出身者および移住労働者・移住者・難民との共同の取り組みを推進し、日本社会、国および自治体に対して、その法制定と条例制定の必要性を訴え、市民法案・市民条例案を提案していきます。具体的には、年1回の「外国人・民族的少数者に関する人権白書」の発行。国会および各地域での「外国人・民族的マイノリティ市民公聴会」を開催。地方自治体において、「人権基本条例」「差別撤廃条例」の実現。国際シンポジウムの開催等を行っていきます。
設立総会後に行われた記念集会には予想をはるかに越える200人弱の参加があり、「なぜ外国人人権基本法か、なぜ連絡会か」という基調報告の後、武者小路公秀さんより粉飾的多文化共生のみが進み、移住先の平和的な生存が保障されていないと「いま日本に求められているもの」という特別報告をしました。
その後、当時者によるリレートークが行われ、在日コリアンの郭辰雄さんは在日から移住労働者と差別状況がなんら変化していないことを指摘し、イスラム・ヒムさんは、アルカイダの誤認逮捕から受けた不条理から外国人への偏見を指摘し、タピル・ロサさんはフィリピン人が抱える状況を報告し、ヒサール・タジスティンさんは難民への教育サポートの誤りを訴えました。
そして、部落解放同盟谷本書記次長が、人権は法律論でなく、人間の尊厳から考えられるべきとNGOの共同を訴えました。最後に共同代表の丹羽さんの「共同の力で外国人人権法を」というまとめの言葉で終了しました。
今後の取り組に期待し、私たちも積極的に担っていきたいと思っています。(S)
永住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日シンポジウムが12月10日(土)
大阪の天満研修センターで開かれた。
会場は300人の参加者でいっぱいでした。これは今年の6月に韓国で実現した在韓定住外国人の地方参政権の実現を受けて、今度は日本でも一日も早く実現させていくために韓国から国会議員を招き、また日本の国会議員をも交えて議論をしていこうという趣旨で行われました。
韓国からはヨルリンウリ党の趙培淑国会議員とハンナラ党の金淇春国会議員。日本からは自民党が欠席で、公明党から冬柴鐵三幹事長、民主党から山本孝史国会議員の参加でした。自民党議員の参加を期待していただけに、その欠席には怒りしか湧いてきませんでしたが、同時通訳を交え韓国と日本の国会議員が永住外国人の参政権問題で真剣に議論ができたことは大きな成果でした。
特に興味を引いたのは冬柴議員と山本議員のやりとりであった。「6年間政権の中にいながらなぜ実現しないのか。法案の内容が後退していくのは何故なのか」という山本議員の問いかけに「私は反対する自民党の全議員に呼びかけてでも(永住外国人の地方参政権)実現に向けて訴えかけていく」という冬柴議員の発言に会場は大いに湧きました。
また山本議員の発言からは民主党が党の基本政策では(参政権の実現を)明確にしつつも「拉致問題」や中心的に取り組んできた議員の落選などで内部でもまとまりきらない状況にあることなど率直な内部事情も伝えられました。
韓日議員連盟副会長でハンナラ党の金淇春議員は「日本が経済的先進国だけでなく政治的にも先進国を目指すなら、(外国人の参政権問題を)人権問題と考えて早急に付与すべきだ」と厳しい注文を日本社会に突きつけました。
韓国での地方参政権実現によって、相互主義が「参政権を実現させないための方便」にすぎなかったことが明らかとなった今、在日外国人の地方参政権実現は、地域社会を構成する仲間の、当たり前の人権問題として再度私たちの重要課題として浮上しました。
最後に「何年住んでるからそろそろ参政権が得られてもいいというのではない。自分たちがよりよい地域社会を作っていくためにぜひとも必要な権利なのだ」と語った在日青年の訴えはこの運動の未来を示しているようにも思えました。問われているのはまさに日本社会なのです。(O)
差別落書き
「金正日は○○(名前)を引き取れ。朝鮮人、○○地獄に行け。日本から出て行け!」
このところある一人の在日と推測される人の名前の方を攻撃する差別落書きが相次いでいます。字体、その文言から犯人は同一人物です。
これは8/6、9/25、12/6に第3者によって発見され、私たちに通報してきたものです。私たちは、早急に川崎市に報告し、それを市が調査し、法務局に報告しています。
私たちも民族団体に協力を要請し、当事者を探してみましたが、不明で、もちろん犯人も皆無で、これ以上何もできずにいました。しかしながら、3回と執ような犯行に、川崎市でなんらかできることを取り組んで欲しいと要望しました。
深刻な入居差別
大阪で入居差別訴訟が起こされました。入居差別は依然深刻で先日次の様なメールが寄せられました。
匿名希望さんから(本文は部分的に匿名にしました)
私の主人は、○○人です。結婚して約2年、主人は、日本人の配偶者としての在留資格を持っています。結婚前及び、今月、新居を探すため、さまざまな不動産をまわりました。その度に、「外国人はダメです」とか「外国人お断りです」とか「外国人は困る」とか下手をすると、手で犬でも追い払うような仕草をされました。
川崎市の条例に、高齢者、身体障害者、外国人であるという理由だけで、入居を拒んではいけない、といった趣旨のものがありますよね。だから私は、「それは差別ですよ」と何回も言いました。しかし、大手の不動産でも地元の小さな不動産でも、「外国人」っていう理由だけで断られます。
先日は、E不動産に行きました。そこでも、「ご主人、色が黒いですよねぇ?日本の風習、知ってますか?」とバカにしたような質問をされました。M不動産では、「外国人は困るんですよね!」と私達が中に一歩入ったとたんに、怒鳴られました。主人が「外国人は人間じゃないですか?!」っていうと、「そんなことは言ってないじゃないですか!ただ、外国人だと部屋は貸せないっていってるだけです」と言われました。
主人は来日4年半で、日本語も日常会話は理解できます。でも、アフリカ出身っていうだけで、「くつ、ぬいで生活できます?」とか「色が黒いのはちょっと・・・・」とか差別されます。
ほとんどの大家は、「外国人」という理由だけで、入居を拒否しているのが現状です。
川崎市には、何万という外国の方が住んでいるはずです。もっともっと、条例があるということを周知し、外国人であること、高齢者であること、身体障害者であること、だけで、差別されることのない社会になるよう祈るばかりです。
今後、もし、「外国人」である、という理由だけで入居を断られたら、弁護士に相談
し、訴訟も辞さないつもりです。