ドコモのスマートフォン向けキャリアメールサービスといえば鬼も泣いて逃げ出す SP モードメールが高名であり、動かない、データが消えるといった根本的な問題が偏在するのはもちろん、バッググラウンドで謎の動作を繰り返すため利用しない人にまで疎まれるという境地に到達。不安定ぶりから最近は LINE などメッセンジャーアプリ台頭の立役者と言われる始末です。

この SP モードメールに見切りをつけるべく、昨年10月に冬モデルと共に発表されたのが、その名もドコモクラウド「ドコモメール」。メールは常にサーバー側に存在するので端末間で共有でき、ストレージ容量はたっぷり 1GB という、2004年の Gmail 誕生を今に蘇えらせた野心的なプロジェクトですが、当初1月にも提供予定だったものが3月に延期、そのあと無期限延期となり、けっきょくは1年越しの今年10月開始ということになりました。正確には10月下旬。理由は「一部開発内容における抜本的な見直しの必要があることが判明したため」。

もっとも Gmail 世代には不思議かもしれませんが、公平に言えばキャリアメールの抜本的改革というのはそう簡単なものではなく、ドコモの各種サービスを WiFi 経由で利用するときの複雑怪奇な設定などにもキャリアの苦労が読みとれます。問題はむしろ、そもそも数か月で提供できると思っていた点、そうこうするうちに人々がキャリアメールなしでも平気になってきた点でしょうか。

他社に目を向ければ、KDDI も「一生つきあえる」au one メールを今年9月に終了の予定。そういえば EZweb メールが繋がらない不具合も近頃あったところでした。Google やアップルが主導権を握るスマートフォン時代、各国キャリアはどのようなビジネスを展開するか難しい状況に直面していますが、なんであれ最低限のサービスには安定を求めたいものです。

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