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記事 朴槿恵

朴槿惠大統領「親日幻想」に騙されるな―呉善花(拓殖大学教授) 1/3

2013年04月18日 07:09
韓国大統領選での朴槿惠氏勝利は、日本では好意的に捉えられている。 だが彼女の“本質”をみれば、日韓関係改善などけっして期待できない――。

父・朴正熙大統領は本当に「親日」だったのか?


 2013年2月、韓国において朴槿惠政権が発足した。韓国が今後、どのような政策運営を行なうかはまだ不明だが、日本のメディアのほとんどは朴槿惠氏の大統領就任を好意的にみている。「日韓関係は改善が期待できるに違いない」と。

 だが私は、そのような風潮に違和感を抱いている。なぜ多くの日本人は、朴槿惠大統領下で日韓関係は改善すると考えるのだろうか。

 その大きな要因は、父親の朴正熙大統領であろう。彼は日本の陸軍士官学校を卒業(57期相当)しており、1963年に大統領に就任後、65年には日韓基本条約を締結して日本との国交回復を果たした。このように父親に「親日的」とのイメージがあるため、娘の朴槿惠氏にも同じイメージがもたれているのだ。朴槿惠氏が女性であることも、ソフトな印象につながっているのであろう。

 だが、これは大きな勘違いだ。朴正熙大統領は16年ものあいだ政権を握り、いわば独裁主義を採ってきたのである。じつは韓国では、この時代にもっとも強烈な反日教育が行なわれていた。

 たしかに朴正熙大統領は、個人的には日本好きだったのかもしれない。先述したように日本の陸軍士官学校の出身であるし、軍事クーデターを起こして軍事政権を敷くわけだが、韓国の軍事システムに日本的なものを随所に導入している。だが国内では反日教育を徹底させ、それによって、韓国人の反日感情が確固たるものとなり、現在に至っているのである。

 李承晩大統領が採った反日政策を、朴正熙大統領は踏襲したのだ、とよくいわれるが、李承晩大統領時代の韓国国民の教育レベルはそれほど高いものではなかった。つまり「反日」は、国民のあいだでそれほど強く固まってはいなかったのである。国民の教育レベルが上がり、徹底した反日教育が敷かれ、「反日」という思想基盤がつくられていったのは、朴大統領時代からである。

 その反日教育とはどういうものか。「とにかく日本人は韓国人に対してひどいことをした」ということを学校教育で徹底的に教えただけでなく、マスメディアも一貫してそのような報道を行なった。私が韓国で学校に通っていたのもちょうど朴正熙大統領時代だったが、そこでは日本人を「ウェノム」と言った。「ウェ」とは倭国の「倭」、つまり「倭の奴」という意味である。そして日本人を「血も涙もない人間だ」と悪魔のような存在として教わったのである。いま60歳前後以下の教育を受けた韓国国民はだいたい、このような侮日の感覚をもっている。韓国で何かあるたびに日の丸を燃やしたり踏みにじったりするのは、そのためである。

 朴槿惠大統領は現在、61歳。つまり、彼女も一般の韓国人同様、朴政権が敷いた反日教育を受けてきた。たとえ朴大統領が個人的に親日だったとしても、家で娘に対して親日的なことをいうような矛盾を犯すはずはない。実際、朴槿惠氏は、一般の韓国国民がもっているレベル以上の対日認識はないと思う。あらゆる発言内容をみても、一般の学生レベルの歴史認識しか持ち合わせていないことがよくわかる。

 たとえば大統領就任前、「竹島問題をどうしますか」と問われ、「それは簡単です。日本があきらめることさえすれば問題は解決できますよ」というように答えている。また「日韓歴史問題について、どのように解決しますか」という問いに対しては、「日本の知識人はまともな歴史認識をもってほしい」としか言っていない。「日本人の歴史認識はまともではない。これを直さないかぎり日韓関係の未来はない」と言いたいのである。日本人のなかには「きっと韓国内ではそんなことを言わざるをえないムードなのだろう」と慮る人もいるだろうが、そうではない。朴槿惠大統領であれ李明博前大統領であれ、政治家としての本音と建前があるのではなく、これが本音であり建前なのである。

 これが、朴正熙政権時代に強烈な反日イデオロギーという、精神性まで組み込んだ反日教育を行なった結果である。朴正熙政権時代にほぼ全国民が教育を受けるようになり、その結果、大多数の韓国人の日本に対する認識は、以後の教育で植え付けられた認識以外のものではなくなってしまった。

 朴槿惠氏は、昨年12月の大統領選で文在寅氏に勝利したが、本当に接戦だった。朴氏は絶対多数の国民に望まれて大統領になったわけではない。仮に文氏が大統領になっていれば、その思想なり政策は反日的かつ親北朝鮮であることは明確で、日本がどのように向き合っていけばいいのかもわかりやすい。だが朴槿惠大統領のもとでは、これが非常にみえにくい。

 もともと日本人は韓国に対して、どこか「悪く思いたくない」という気持ちがある。可能なかぎり日韓関係改善の糸口を探したい、という思いがある。今回、朴槿惠氏が大統領に決まり、「日韓関係がよくなるかもしれない。なぜなら父親時代に……」となっているが、実際に日本のメディアが何をもって彼女を好意的に報じているのかをみれば、何もないことに気づく。父親の時代に反日教育が徹底されてきたという事実を、日本はきちんと認識しておく必要がある。

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