息子を名乗って現金をだまし取るオレオレ詐欺を中心に、今年に入って神奈川県内で振り込め詐欺の被害が急増している。
１〜３月の被害額は計約４億８２００万円で、前年同時期の被害額より２億円以上増えている。一方、金融機関の窓口での声掛けや「だまされたふり作戦」など被害阻止の動きも広がっており、犯行グループとの“攻防”が激しさを増している。
県警によると、今年１月の被害は４７件、約１億２００万円（前年同月比３０件増、約４５００万円増）▽２月は３８件、約８９００万円（同増減なし、約３４００万円増）▽３月は６８件、約２億９１００万円（同５件増、約１億３６００万円増）。
オレオレ詐欺が全体の約９割を占め、３月１２日には川崎市川崎区の会社役員の７０代女性が、おいを装った男に現金４５００万円をだまし取られるなど、１千万円以上の高額被害も相次いで６件発生した。
犯行グループが現金を要求する手口では、「現金や小切手が入ったバッグをなくした」と装うケースが目立つ。捜査幹部は「今年は全国的にも被害が増加している」と指摘しており、犯行グループの活動が活発化しているとみられる。
一方、振り込め詐欺の被害を未然に防ぐ取り組みも奏功している。県警によると、振り込みや引き出しのために窓口を訪れた人に金融機関の窓口で行員らが声を掛け、被害を阻止した金融機関などに対し、１〜３月の間に計４５件で県警から感謝状が贈られた。
今月１０日にも港南署が、現金５００万円を引き出そうとした７０代男性に声を掛けて被害を食い止めたとして、横浜丸山台郵便局と同局の宇山豊美さん（２９）に感謝状を贈呈した。
また、犯人からの電話にだまされたように装って県警に通報する「だまされたふり作戦」で、現金を受け取りに来た「受け子」を捜査員が逮捕するなど、県警は１〜３月までの間に犯行グループの２５人を摘発。県警は「『代わりの者にお金を渡して』『必ずもうかる』は詐欺」と強調し、注意を呼びかけている。