ワースト第1位 阪神1507ほか6連 千船 10年3月21日 |
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関西私鉄ワースト1(最悪車両)は、なんば線開業と近鉄奈良線乗り入れに備えて新造された阪神1000系である。
運転台部分(前頭部)は近鉄シリーズ21の、客室部分は標準設計を流用した安易な車体、近鉄の4扉車の中で注意を喚起するために採用された扉から屋根にかけてのオレンジと扉横の白色シール、これも警戒塗装としか思えない前面のオレンジなど、実用本位としか思えない最悪の車両である.。オレンジの色合いは、9300系や8000系リニューアル車と少し異なり、ビバーチェオレンジとされているが、いずれにしてもジャイアンツのマスコットを思わせる塗色であるため、沿線のタイガースファンの怒りを買っている。
なお、近鉄奈良線の21m4扉という車両規格に合わせず、阪神在来車の19m3扉車を採用したことは、混雑時の輸送力不足や乗降時の混乱などの点で、許されることではなく、早急に21m級4扉車に置き換えるべきであろう。 |
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ワースト第2位 南海50702以下6連 鶴原〜井原里 09年10月31日 |
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南海電鉄が、満を持して(?)関空連絡特急用に新造した車両であるが、球形の運転台部分や円形の窓など、従来の鉄道車両に用いられないデザインを採用して見事に失敗した。前面形状の無骨さから、「鉄人28号」と呼ばれているが、決して賞め言葉ではなく、神鉄「ウルトラマン」同様、皮肉っぽい表現であろう。
関空の需要落ち込みから、空気を運んでいる状況にあり、おそらく次の特急車は、サザン同様指定・自由席併結となろう。 |
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ワースト第3位 近鉄22955ほか4連 恩智〜法善寺 10年6月11日 |
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近鉄特急車も、22000系以降、前面形状の大幅なモデルチェンジを行い、12600系までの端正な顔立ちを失ってしまった。所謂「昆虫顔」で、22000系はバッタ顔、最新の22600系はスズメバチ顔である。上下に伸びた前面窓のブラックマスクと幅の広すぎる貫通扉、中途半端な位置にある貫通扉窓など、よくここまで不細工にデザインしたかと思えるほどである。丸まった前頭部はどうしようもないが、ハチの目玉のようなブラックマスクだけでも何とかならないものだろうか? |
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ワースト第4位 京阪3053以下8連 大和田 08年10月19日 |
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京阪も、新車と塗装変更でイメージダウンである。中之島線開業用に鳴り物入りでデビューした新3000系であるが、一体化したスカートのため上下に長い馬面の前面、三つ目の前照灯、変な位置にある斜めの標識灯、半円状に下がった前掛けのようなブラック塗装もいただけない。面積の多い上半部がエレガントブルーで、下半部がアーバンホワイトであるのも不自然である。前掛けを止めて、上下の塗装を入れ替えれば、少しはましになるだろうが、それでも「変顔」であるのは仕方ない。 |
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ワースト第5位 阪神8220以下6連 大物 10年7月21日 |
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阪神の悪名高きオレンジ塗装は、失敗作の9300系に始まるが、いまだに、この塗色(上半プレストオレンジ、下半シルキーベージュ)を選んだ理由がわからない。一番面白い解釈は、阪神電鉄内部の「隠れジャイアンツファン」が選定したというのであろうが、それは冗談にしても、ジャイアンツのマスコットやダイエー(流通業界の競争相手であり、以前はホークスのオーナーでもあった)が採用しているオレンジ色を選択したというのは、阪神電鉄という会社自体の問題の表われであるように思われる。そうした経営陣の体質が、村上ファンドによる株買い占めを生み(当初、好調タイガースに対するご祝儀相場だと思いこんでいたという脳天気な経営陣が阪急の子会社になっても馘首されなかったのは信じられない)、阪急との経営統合の原因となったのである。その意味では、当時の阪神電鉄の体たらくを後世に残す記念碑的な塗装と言えるかも知れない。
なお、以前にも指摘したことがあるが、9300系。8000系リニューアル車のクロスシートが窓割りと合っていない(特にリニューアル車は、きっちり位相がずれている)のは、乗客の事を考えていない表われであるし、シートの堅さも問題である。 |
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ワースト第6位 阪急5050以下8連 王子公園11年10月8日 |
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阪急5000系リニューアル車は、誰が見ても疑問の多い改造である。前面はすでに改造されているにもかかわらず、標識灯の更新と貫通扉窓の拡大を施工し、どう考えても不細工な面構えとなった。特に、貫通扉窓の拡大により窓の高さが不揃いとなったことと、屋根の白塗装は、端正な阪急タイプの車両に全く似合っていない。車椅子利用者のための側扉窓の拡大は仕方ないかも知れないが、貫通扉窓の拡大は何が目的なのか判らないし、デザイン上の配慮とするなら、鉄道車両の統一美が全く判っていない輩の設計であるとしか思えない。さらに問題なのは、無意味な車体改造(改悪)に費用をかけておきながら、抵抗制御を更新しなかったことで、理想的にはVVVF化、最低回生制動化はするべきであったと思う。
5000系より整った7000系リニューアルの車体改造が中止になったようだが、5000系のリニューアル時にそうした配慮があれば良かったのにと思う。 |
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ワースト第7位 南海12102ほか8連 粉浜 11年10月3日 |
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南海本線にも、新型特急車サザンプレミアムが登場したが、デザインは平凡なものの、塗装はまるでお子様ランチだ。最近流行の人の顔を意識した(と思われる)前面は、子供には喜ばれるかも知れないが、車体の大部分を占めるシルバーも相まって重厚さに欠け、内装の豪華さが伝わってこない。そもそも、和歌山〜難波間にこうした特急車両が必要とは思えないので、陳腐化したラピートの置き換えも視野に入れているのかも知れない。いずれにしろ、2連で十分なところを4連にしているのは、併結の通勤車を混雑させ、特別料金の取れるサザンに誘導するためとしか思えない。塗装ばかりでなく、南海本線の特急のあり方自体も考え直すべきであろう。 |
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ワースト第8位 京阪1555以下7連 野江 10年7月24日 |
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京阪の塗装変更車は、普通系・特急系ともに以前の塗装より評判が悪い。特に、普通系の場合、下半部のアーバンホワイトに対し、面積の多い上半部のレストグリーンは濃度が高いため特に重苦しく感じる。せめて上下を逆にするか、帯に使用しているフレッシュグリーンにすれば良かったと思う。関西私鉄の塗装変更車を、全てワースト10に入れたのは、車体下半部を白色系にし、上半部に濃い色を持ってきているからである。電気ブレーキ車の比率が高まり、鉄粉等による車体下部の汚れが少なくなったのが、カラーリング変更の一つの要因であると思われるが、色の占める面積から考えても、下半部を濃い色にする方が落ち着くのではないだろうか。従来のセオリーを無視した塗装が、いつから始まったのか判らないが、JR西日本の中間色を多用した塗装やJR九州の奇をてらったデザインとともに、鉄道車両専門家でないデザイナーや色彩専門家を起用したのが原因であろう。関係者は、旧国鉄色のリバイバル車が絶大な人気を得ていることを、正しく受け止めるべきであろう。 |
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ワースト第9位 近鉄5351以下6連 桜井〜大福 10年3月22日 |
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近鉄の通勤車両は、マルーン一色から塗り分けに変わり(それも評判が悪いが)、シリーズ21に至って完全に塗装を変更した。車体下半部をクリスタルホワイトにし、上半部をアースブラウンという淡い色とした塗り分けであるが、JR西日本の塗装をまねたようで好きになれない。また、霧の多く発生する奈良盆地では、こうした淡い塗装は霧にとけ込んでしまい、運転保安上も問題であろう。さらに、ロングシート車とLC(ロング・クロス転換車)車との区別が行われていないことも問題で、閑散時だけにしろ、せっかくのクロスシート車が生かされていないことである。宣伝効果のためにも塗装は変更すべきであるし、もし現行通りなら、運用上区別をしないLC車はロング改造すべきであろう。
なお、近鉄一般車では、3扉転換クロスシートの5200系も、運用上区別をしていない点(本来は長距離急行専用に運用すべきであろう)や安易にJR西日本のデザインを流用した点など、問題の多い形式である。 |
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ワースト第10位 阪急6354以下6連 西京極 11年10月16日 |
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ワースト車最後の10位は、阪急6300系「京とれいん」である。阪急6300系は、2010年3月まで8連で京都線特急に運用された車両で、ファンも多いようだが、側扉の位置に問題があり、2800系には及ばないと思う。その6300系も6351〜53Fが4連化されて嵐山線に都落ち(外観がほとんど変更されていないのが幸いだが)し、本線用に残存するのが6350Fと6354Fの6連2本となってしまった。6354F「京とれいん」は、内装を変更すると共に、派手な装飾を施した観光用車両で、土休日の快速特急に使用されているが、その装飾は端正な阪急車に似合っておらず、せっかくのマルーン塗装を台無しにしている。扇形のHMを取付けるのなら、車体装飾は一切行わず、内装変更のみにして欲しかった。その方が、改装された車両に乗車した時の感動は大きかったと思えるだけに残念だ。 |
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