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ビーストテイマーズ By A.I. (24)
(24)
「下駄もご用意しましたので、お試しください」
女将が差し出したのは、木製の履物だ。見たことがない種類で、コウにとっては新鮮だった。
「これだとうまく歩けないな」
「鼻緒の位置を調整する必要がありますね」
先端にある紐を指で挟んで用いる履物のようだが、コウの足は四本指だ。人間用の鼻緒の位置では、ずれてしまってうまく履けない。
「裸足で構わないから」
履物がなくても肉球の備わった足裏には問題がない。
「いえいえ、明朝までにご用意します」
「私一人の為に悪いよ」
「お客様に不便な思いをさせるわけには参りません」
コウは遠慮をしようとしたのだが、女将は頑なだった。温泉協会の理事長がわざわざ指名したのだ。老舗旅館の女将としての誇りがあるのだろう。
「では、お願いします」
「お任せください。職人に腕を振るわせます」
女将はコウの足のサイズを測ると、部屋から退室した。
「私たちも頑張ろう」
「そうですね。頑張りましょう」
狼少女になったコウは敬遠されて当然だと思っているので、人の気遣いが嬉しかった。依頼を何としても成功させたいと心から思った。
外にある露天風呂は複数の旅館が合同で管理しているらしい。その中には美人の湯や子宝の湯もあるらしかった。コウは興味津々だったが、レイに知られるのは悔しい気がする。あまり女々しい部分を見せたくないという気持ちもコウには存在するのだ。
それに露天風呂は混浴が多いという話だった。コウとしてはレイ以外の男性にはあまり肌を見せたくはない。早朝か深夜を狙おうとコウは考えていた。
「そろそろ夕飯が近いから、今日は旅館にある温泉で済まそうか」
「夕飯に遅れたくはないですしね」
美味しい料理を振舞ってくれるという女将の話だった。
旅館にある温泉は男女が別になっている。
「それじゃあとで」
さすがに男湯に向かうような過ちをコウは犯さなかった。二度目ともなれば、冷静を装えるものだ。脱衣所で浴衣を脱ぐと、手拭い一つで浴室の扉を開ける。もうもうとした湯気が溢れてきて、刺激臭がコウの鼻を突いた。
「慣れるまできついかな」
コウは咳きこみそうになった。鼻が敏感なのも考え物だ。
「まずは体を洗ってからか」
先客に習ってコウは洗い場で体を洗い始めた。準備をしてこなくても、石鹸が用意されている。湯量が豊富なようで、好きなようにお湯を使えるらしい。
女性客の姿はそれなりにいた。コウは自分の姿を気にしていたが、煙たがられることはない。誰もがのんびりとした表情で湯船に浸かっている。
「気の回しすぎか」
コウはさっさと体を洗ってしまうと、湯船に向かった。長方形の浴槽は木材で作られていて、趣のある琥珀色の艶が出ていた。湯船には白色に濁った湯が並々と満たされていて、縁から湯が溢れている。贅沢な湯の使い方だ。
「あちっ、あちちっ」
恐る恐る爪先を入れて熱に慣らしながら徐々に体を沈めていく。悠々と肩にまで浸かれるくらいの深さがあった。
「ふぅ、これは極楽だな」
体を弛緩させてコウは目を閉じていた。温泉の熱が体の奥まで浸透して、何ともいえず気持ちがいい。温泉に浸かっているだけで、小さな悩みなど消えてしまう。この温泉を堪能していたら、女性客はコウの姿など気にしないだろう。
「これならレイの体にも良さそうだ」
魔獣との戦いでの疲労もこれなら癒えるだろう。動物用の温泉もあるとかで、エルの怪我も治りが早くなりそうだ。
「いい湯だなぁ」
温泉で身も心も蕩けるようで、女湯にいるというのに他人の裸が気にならない。湯治に来ている客は中年から老年が多いということもある。コウの興味の対象外なので、目を向ける必要はない。
コウが温泉に幸せを感じていると、二人組の女性が浴場に入ってきた。若い女性ではあるが、体のあちこちには傷跡がある。
「今日の戦果は三匹だったな」
「姉貴の弓の腕はさすがですよ」
二人の顔は似ている。きっと姉妹なのだろう。騒がしい声で話している内容からして、猟師のようだ。
「あたしらに任せておけばいいのに」
「猛獣使いを呼ぶ必要はないですよね」
体を洗いながら二人は愚痴を呟いていた。どうやら猿の駆除を任されていた猟師らしい。
二人組には悪いが、大した腕ではないようだ。猿が素早いといっても、コウならもっと射ち殺す自信がある。鞭と弓の腕前ならそれなりだという自負があった。
体を洗い終わった姉妹は温泉に入ってきたが、わざわざコウに近寄ってきた。広い湯船だ。場所はいくらでもある。姉妹の方の姉は、鋭い視線をコウに向けていた。
「やけに獣臭いと思ったんだ」
温泉は硫黄の臭いが立ち込めていて、人間に他の臭いが感じ取れるはずがない。
「動物用の温泉があるってのに、どうして人間用に入れるんだか」
「飼い主はどうしたんでしょうね」
姉妹はコウの存在が気に食わないらしい。大きく尖った獣耳は、人とは違うと丸わかりだ。コウが猛獣使いだと目をつけたのだろう。
誰にも迷惑をかけたつもりはないコウは、かなりむっとしていた。言い返そうと口を開いた時だ。
「あんたみたいのに入られるとお湯が毛だらけになるんだよ」
罵倒の言葉にコウは口を噤んだ。こげ茶色の抜け毛がぷかぷかと浮いている。体を丹念に洗っていても、獣人のコウには毛が多いので抜け毛は避けられない。
温泉で気が緩んでいたコウはうまく頭が回らない。侮蔑に気が高ぶって、暴力に訴えたくなる。コウは奥歯を噛み締めた。旅館には、女将には迷惑をかけられない。
「くっ……」
コウは湯船から飛び出すと、小走りで浴場から出た。悔し涙が目の端からこぼれかかっている。
「あんなんで本当に大丈夫か」
姉妹の嘲笑がコウに追い討ちをかけた。戯言だと聞き流してしまえばいいのに。女になってからは感情の浮き沈みが激しい。天国から一転、地獄に叩き落された気分だった。
「あんなことで動揺するなんて情けない……」
客室に戻ってもレイはまだ戻ってなかった。コウはほっと息を吐いた。みっともない顔は見せられない。深い呼吸を何度か繰り返していると、不快感は消えないが気持ちは落ち着いてきた。
「いいお湯でしたね」
「そうだな。温泉がこんなにいいとは知らなかったよ」
湯上りで血色の良くなったレイとは普通に会話のやり取りをしたはずだ。だが、レイには思うところがあったらしい。
「どうしたよ、そんなにくっつくな」
背後からレイが抱きついてきて暑苦しくなった。
「湯上りにしては冷めているように見えまして」
「体はほっかほっかしてるぞ」
「心が凍えているように見えたのですよ」
「……お前の言葉の方が寒いわ。まったく、寒くしたんだから、しばらくこうしてろよ」
暑苦しくはあったが、不快ではなかった。
夕飯は山の幸をふんだんに使った料理だった。
「ちょっと苦いけど美味しいな」
山菜の天ぷらはしゃくしゃくとした歯ごたえで、からっと揚げられている。竹串に刺さった川魚は皮が香ばしく焼かれて、身がほろほろと崩れた。
「料理が美味しいと、ついつい酒も進むよ」
ハイペースでコウはシードルを飲んでいた。空き瓶がごろごろしている。
「ワインも美味しいですよ」
ルビーのように赤く透き通った液体が入ったグラスをレイは傾けていた。
「……少しくれ」
酔っ払ったコウの目は据わっていた。ワインを口に含んで味わっているレイの頭を両手で掴むと、唇にいきなり吸いつく。レイの頭を傾けると、口移しでコウはワインを啜っていた。
「ぷあぁ、悪くはないけど私の舌には少し渋いかな。シードルの方が合っている」
口直しにコウは瓶から直接シードルを飲んだ。すらりとした首が艶かしく震えている。
「……僕もシードルも飲みたくなってきました。甘いもので喉を潤したくなりますね」
「ふぅん」
ニヤリと笑うと、コウはシードルを口に含んだ。レイを押し倒して唇を重ねると、酒を男の喉に流し込んだ。シードルをレイが飲み干しても、コウは唇を交えたままだった。
「美味しいですけど、ちょっと甘かったですね」
「はは、甘すぎたか」
コウは熱くなった息を吐いた。この温泉街の名産であるシードルのお陰で、コウの憂鬱は和らげられていた。明らかに飲みすぎではあるが。
最後の締めに出されたキノコの炊き込みご飯は、独特の香りが食欲をそそった。華やかな香気が鼻腔から脳髄に抜けていく。しこしことした食感も絶妙だった。
「どんなキノコなのかな?」
「マツタケといいますね。収穫量が少ないので、この辺りでも珍しいですよ」
コウは食べられる野草については詳しいが、マツタケは聞いたことがない。希少なのだろう。実物を女将に見せてもらうと、まるで男根のような形をしている。思わずレイの股間を連想してしまって、上と下の口から涎が出そうになった。
「下駄もご用意しましたので、お試しください」
女将が差し出したのは、木製の履物だ。見たことがない種類で、コウにとっては新鮮だった。
「これだとうまく歩けないな」
「鼻緒の位置を調整する必要がありますね」
先端にある紐を指で挟んで用いる履物のようだが、コウの足は四本指だ。人間用の鼻緒の位置では、ずれてしまってうまく履けない。
「裸足で構わないから」
履物がなくても肉球の備わった足裏には問題がない。
「いえいえ、明朝までにご用意します」
「私一人の為に悪いよ」
「お客様に不便な思いをさせるわけには参りません」
コウは遠慮をしようとしたのだが、女将は頑なだった。温泉協会の理事長がわざわざ指名したのだ。老舗旅館の女将としての誇りがあるのだろう。
「では、お願いします」
「お任せください。職人に腕を振るわせます」
女将はコウの足のサイズを測ると、部屋から退室した。
「私たちも頑張ろう」
「そうですね。頑張りましょう」
狼少女になったコウは敬遠されて当然だと思っているので、人の気遣いが嬉しかった。依頼を何としても成功させたいと心から思った。
外にある露天風呂は複数の旅館が合同で管理しているらしい。その中には美人の湯や子宝の湯もあるらしかった。コウは興味津々だったが、レイに知られるのは悔しい気がする。あまり女々しい部分を見せたくないという気持ちもコウには存在するのだ。
それに露天風呂は混浴が多いという話だった。コウとしてはレイ以外の男性にはあまり肌を見せたくはない。早朝か深夜を狙おうとコウは考えていた。
「そろそろ夕飯が近いから、今日は旅館にある温泉で済まそうか」
「夕飯に遅れたくはないですしね」
美味しい料理を振舞ってくれるという女将の話だった。
旅館にある温泉は男女が別になっている。
「それじゃあとで」
さすがに男湯に向かうような過ちをコウは犯さなかった。二度目ともなれば、冷静を装えるものだ。脱衣所で浴衣を脱ぐと、手拭い一つで浴室の扉を開ける。もうもうとした湯気が溢れてきて、刺激臭がコウの鼻を突いた。
「慣れるまできついかな」
コウは咳きこみそうになった。鼻が敏感なのも考え物だ。
「まずは体を洗ってからか」
先客に習ってコウは洗い場で体を洗い始めた。準備をしてこなくても、石鹸が用意されている。湯量が豊富なようで、好きなようにお湯を使えるらしい。
女性客の姿はそれなりにいた。コウは自分の姿を気にしていたが、煙たがられることはない。誰もがのんびりとした表情で湯船に浸かっている。
「気の回しすぎか」
コウはさっさと体を洗ってしまうと、湯船に向かった。長方形の浴槽は木材で作られていて、趣のある琥珀色の艶が出ていた。湯船には白色に濁った湯が並々と満たされていて、縁から湯が溢れている。贅沢な湯の使い方だ。
「あちっ、あちちっ」
恐る恐る爪先を入れて熱に慣らしながら徐々に体を沈めていく。悠々と肩にまで浸かれるくらいの深さがあった。
「ふぅ、これは極楽だな」
体を弛緩させてコウは目を閉じていた。温泉の熱が体の奥まで浸透して、何ともいえず気持ちがいい。温泉に浸かっているだけで、小さな悩みなど消えてしまう。この温泉を堪能していたら、女性客はコウの姿など気にしないだろう。
「これならレイの体にも良さそうだ」
魔獣との戦いでの疲労もこれなら癒えるだろう。動物用の温泉もあるとかで、エルの怪我も治りが早くなりそうだ。
「いい湯だなぁ」
温泉で身も心も蕩けるようで、女湯にいるというのに他人の裸が気にならない。湯治に来ている客は中年から老年が多いということもある。コウの興味の対象外なので、目を向ける必要はない。
コウが温泉に幸せを感じていると、二人組の女性が浴場に入ってきた。若い女性ではあるが、体のあちこちには傷跡がある。
「今日の戦果は三匹だったな」
「姉貴の弓の腕はさすがですよ」
二人の顔は似ている。きっと姉妹なのだろう。騒がしい声で話している内容からして、猟師のようだ。
「あたしらに任せておけばいいのに」
「猛獣使いを呼ぶ必要はないですよね」
体を洗いながら二人は愚痴を呟いていた。どうやら猿の駆除を任されていた猟師らしい。
二人組には悪いが、大した腕ではないようだ。猿が素早いといっても、コウならもっと射ち殺す自信がある。鞭と弓の腕前ならそれなりだという自負があった。
体を洗い終わった姉妹は温泉に入ってきたが、わざわざコウに近寄ってきた。広い湯船だ。場所はいくらでもある。姉妹の方の姉は、鋭い視線をコウに向けていた。
「やけに獣臭いと思ったんだ」
温泉は硫黄の臭いが立ち込めていて、人間に他の臭いが感じ取れるはずがない。
「動物用の温泉があるってのに、どうして人間用に入れるんだか」
「飼い主はどうしたんでしょうね」
姉妹はコウの存在が気に食わないらしい。大きく尖った獣耳は、人とは違うと丸わかりだ。コウが猛獣使いだと目をつけたのだろう。
誰にも迷惑をかけたつもりはないコウは、かなりむっとしていた。言い返そうと口を開いた時だ。
「あんたみたいのに入られるとお湯が毛だらけになるんだよ」
罵倒の言葉にコウは口を噤んだ。こげ茶色の抜け毛がぷかぷかと浮いている。体を丹念に洗っていても、獣人のコウには毛が多いので抜け毛は避けられない。
温泉で気が緩んでいたコウはうまく頭が回らない。侮蔑に気が高ぶって、暴力に訴えたくなる。コウは奥歯を噛み締めた。旅館には、女将には迷惑をかけられない。
「くっ……」
コウは湯船から飛び出すと、小走りで浴場から出た。悔し涙が目の端からこぼれかかっている。
「あんなんで本当に大丈夫か」
姉妹の嘲笑がコウに追い討ちをかけた。戯言だと聞き流してしまえばいいのに。女になってからは感情の浮き沈みが激しい。天国から一転、地獄に叩き落された気分だった。
「あんなことで動揺するなんて情けない……」
客室に戻ってもレイはまだ戻ってなかった。コウはほっと息を吐いた。みっともない顔は見せられない。深い呼吸を何度か繰り返していると、不快感は消えないが気持ちは落ち着いてきた。
「いいお湯でしたね」
「そうだな。温泉がこんなにいいとは知らなかったよ」
湯上りで血色の良くなったレイとは普通に会話のやり取りをしたはずだ。だが、レイには思うところがあったらしい。
「どうしたよ、そんなにくっつくな」
背後からレイが抱きついてきて暑苦しくなった。
「湯上りにしては冷めているように見えまして」
「体はほっかほっかしてるぞ」
「心が凍えているように見えたのですよ」
「……お前の言葉の方が寒いわ。まったく、寒くしたんだから、しばらくこうしてろよ」
暑苦しくはあったが、不快ではなかった。
夕飯は山の幸をふんだんに使った料理だった。
「ちょっと苦いけど美味しいな」
山菜の天ぷらはしゃくしゃくとした歯ごたえで、からっと揚げられている。竹串に刺さった川魚は皮が香ばしく焼かれて、身がほろほろと崩れた。
「料理が美味しいと、ついつい酒も進むよ」
ハイペースでコウはシードルを飲んでいた。空き瓶がごろごろしている。
「ワインも美味しいですよ」
ルビーのように赤く透き通った液体が入ったグラスをレイは傾けていた。
「……少しくれ」
酔っ払ったコウの目は据わっていた。ワインを口に含んで味わっているレイの頭を両手で掴むと、唇にいきなり吸いつく。レイの頭を傾けると、口移しでコウはワインを啜っていた。
「ぷあぁ、悪くはないけど私の舌には少し渋いかな。シードルの方が合っている」
口直しにコウは瓶から直接シードルを飲んだ。すらりとした首が艶かしく震えている。
「……僕もシードルも飲みたくなってきました。甘いもので喉を潤したくなりますね」
「ふぅん」
ニヤリと笑うと、コウはシードルを口に含んだ。レイを押し倒して唇を重ねると、酒を男の喉に流し込んだ。シードルをレイが飲み干しても、コウは唇を交えたままだった。
「美味しいですけど、ちょっと甘かったですね」
「はは、甘すぎたか」
コウは熱くなった息を吐いた。この温泉街の名産であるシードルのお陰で、コウの憂鬱は和らげられていた。明らかに飲みすぎではあるが。
最後の締めに出されたキノコの炊き込みご飯は、独特の香りが食欲をそそった。華やかな香気が鼻腔から脳髄に抜けていく。しこしことした食感も絶妙だった。
「どんなキノコなのかな?」
「マツタケといいますね。収穫量が少ないので、この辺りでも珍しいですよ」
コウは食べられる野草については詳しいが、マツタケは聞いたことがない。希少なのだろう。実物を女将に見せてもらうと、まるで男根のような形をしている。思わずレイの股間を連想してしまって、上と下の口から涎が出そうになった。
シャルロッテ!
表紙は同一人物な。
→読みました。
デビュー作で頑張ってるとは思うけど、ウチの好みとは外れちゃいますねぇ。
やや割高と評価。
→読みました。
デビュー作で頑張ってるとは思うけど、ウチの好みとは外れちゃいますねぇ。
やや割高と評価。
シャルロッテ! (マーガレットコミックス) (2013/03/25) 城 綾音 商品詳細を見る |
ビーストテイマーズ By A.I. (23)
(23)
酒場で遅めの夕食を取りながら、コウとレイは温泉街テルエまでどう行くか相談していた。
「荷馬車を借りて行くとしますか」
ライオンのエルの背中に乗って移動することが多いレイだが、魔獣との戦いでエルは前脚を負傷していた。拠点としているルナルの街から、最低でも一昼夜はかかる場所に行くのだ。無理はさせられないだろう。
「私がレイ君を背負って行こうか? 荷物がなければエルの負担は少ないと思うけど」
馬車を借りるとなると、それなりの出費になる。狼少女のコウならば、一人くらい背負っても問題ではない。
「テルエに到着する頃にはくたくたになってそうですね」
「私の体力を心配しているのか? これくらい平気だぞ」
「いえ、コウとずっと密着していたら、僕は自分を抑えられる自信がありませんので」
「あー、それは困るな」
悪戯が見つかった子供のような顔をしたレイに、コウは頬の火照りを感じていた。野外でレイに求められたら、コウには拒める自信がない。
「困った男だな。せめてテルエに辿り着くまで我慢してもらわないと」
「ええ、申し訳ありませんが、今回は馬車を借りましょう」
うまく馬車を調達できれば、明日の昼に出発ということになった。
(楽しみだなぁ)
家に帰ってベッドに入ってからも、コウはなかなか眠れなかった。話には聞いていたが、温泉に行くのは初めてだ。依頼とはいえ人が死んでいるわけではない。レイと温泉旅行をするという気分で、コウは浮かれていた。
夜更かしをした影響で、コウが目覚めたのは朝の遅い時間だった。テーブルには朝食の準備がされていて、置手紙があった。レイは馬車の調達に出向いたらしい。
「起こしてくれても良かったのに。私もすぐに出られる準備をしておくか」
身支度を整えてコウはレイの帰りを待っていたが、昼近くになっても戻ってこない。
「遅いなぁ。探しに行くかな」
洗濯かごに入ったレイの下着を取り出すと、コウは鼻を密着させてくんくんと臭いを嗅いだ。レイの体臭は記憶しているが、印象を深める為だ。
「すぅはぁ、逞しい臭いだ」
息を深く吸いこむと、体の芯が熱くなってくる。コウは恍惚とした表情をしていたが、人の気配を感じて慌てて下着を洗濯かごに突っ込んだ。
「遅くなりました。準備に手間取ってしまいましてね」
「ぜぇ、ひゅぅ。そ、そうか。私もすぐに出られるぞ」
「まだ時間に余裕はありますから、支度を急がなくても大丈夫ですよ」
「い、いや、平気だ」
レイはコウの慌てている姿に首を傾げたが、深くは追及をしてこなかった。
街の入口には荷馬車が置かれていた。二頭引きで幌付きの荷車と繋がっている。エルは荷車の前で番をしていた。
「荷物の番ご苦労様」
コウがライオンの頭を撫でると、ぐるぐるとエルは喉を鳴らした。エルはコウにもよく懐いている。主人のパートナーということもあるだろうが、チョコに対する気持ちもあるかもしれない。
「エルを乗せるにしても大げさな荷車だなぁ」
一頭引きの荷馬車でもいいのにとコウは思っていた。
「うわ、何だよ!」
荷車の中身を見たコウはぎっしりと積まれた荷物に驚いた。エルが乗れるスペースは僅かしかない。
「ついでですから、商人から荷物運びの依頼を引き受けてきました。荷馬車を快く貸し出してくれましたよ」
「つまりただってことか」
「荷物を無事に届ければ報酬も頂けますしね。それに余ったスペースには毛皮を仕入れて載せておきました。テルエは山の麓にあって、ここより寒いですから」
護衛がついて荷物を運んでくれるならば、商人にとっても利益なのだろう。野獣や野盗に遭遇しないとは限らない。
「商魂逞しいなぁ」
ほとほと感心するしかない。腕力で物事を解決してきたコウにとっては、違う世界を垣間見る気分だ。
「それでは出発しますか」
御者席に座ってレイは手綱を操った。レイの左にコウは大人しく座っている。荷物を大量に積んでいるとはいえ、人が走るよりも速い。あっという間に街は後方に遠ざかっていった。
道中では小型の肉食獣の姿を見ることはあったが、エルが不機嫌そうに唸ると去っていった。
「テルエに近づくと、少し寒くなってくるな」
向かい風が冷たくなってきた。コウは自前の毛皮があって暖かいし、荷車で休むこともできる。だが、馬を操っているレイは大変そうだ。
「どうも私は馬に嫌われたようだ」
コウはレイと交替で馬を走らせようとしたのだが、狼少女が手綱を握ると馬の反応が悪くなる。御者に慣れてないということもあるが、コウが操ろうとすると狼の気配を感じて馬が怯えるようだ。大人しくしているしかない。
「これは暖かいですね」
コウが尻を動かすと、ふさふさの毛皮がレイの膝に乗せられていた。
「こんなことしかできないから」
「十分ですよ」
狼の尻尾を愛しげに撫でて、レイは嬉しそうに微笑んだ。
「無事に到着しましたね」
「卵の腐ったような臭いがするな」
馬を休めながらだったので、テルエに到着したのはルナルの街を出て二日後だった。温泉街と呼ばれるだけあって、あちこちから白い蒸気が立ち上っている。硫黄の臭いが充満していて、コウは鼻をしかめた。
湯治に来る人間は多いようで、街は賑わいを見せている。街に入る前にコウはフード付きのローブを羽織った。地元の人間ならコウの姿を見ても受け流すだろうが、遠方から人間がそうだとは限らない。揉め事の種を自らまかなくてもいいだろう。
「まずは馬車を預けてしまいますか」
レイは荷物を渡すついでに、商店に馬車を預けていた。帰りにはテルエの名産を運ぶことになるらしい。毛皮はいい値段で買い取ってくれたそうだ。
温泉協会でギルドからの紹介状を渡すと、話はすぐに通じた。
「よう来てくださった。猟師に頼んで駆除をお願いしとるのじゃが、猿どもはすばしっこくてなぁ。思うように成果が上がっておらんのじゃ」
協会の理事長は初老の男で、顔には深い苦悩を刻んでいた。困り果てて手がないらしい。
「よろしく頼む」
理事長はレイの手を振り回すようにして握ってから、コウにも握手を求めてきた。一般人の接触に対してコウは気後れがある。おずおずと出したコウの手を理事長は固く握り締めた。期待しているのだろう。
「わかりました。お任せください」
「長旅で疲れておるじゃろ。逗留する宿を用意しておるから、今日はゆっくりと休んでくだされ」
「では、今日のところはこのライオンに畑を見張らせます。猟師の方々には間違わないよう通知をお願いしますね」
狭い馬車でずっと揺られていたエルは、やっと外に出られて嬉しそうだった。
理事長が用意してくれた宿は旅館だった。
「この部屋をお使いください」
旅館の女将に通された部屋からは、山の景色が一望できた。斜面に作られた畑には、林檎や葡萄が若い実をつけている。
「緑色の変わった床だなぁ」
「畳といいます」
清々しい草の香りがしていて、森林浴でもしているかのようだ。コウとレイに期待してかなりいい部屋を用意してくれたのだろう。
「温泉に行く際はこちらの浴衣をお使いください」
「浴衣?」
紺色と紅色の服が畳の上に置かれていた。ローブに似ているが、女性用は鮮やかな模様が彩られている。
「着付けをお手伝いしましょうか?」
「そうだね、頼めるかな」
女将によると浴衣は素肌の上から着るものということで、コウはまずは全裸になった。獣人の姿を目にしても、客商売ということで女将には動じた様子はない。
花の模様をあしらった浴衣は、見た目も着心地も優れていた。木綿で作られた生地は薄くて風通しがいい。これなら汗の乾きも早いだろう。ユリに婦人服店に連れられてからは、コウにもお洒落心が芽生えていた。華やかな服を着るのは、気持ちが浮き立つ。

挿絵:倉塚りこ http://surubure.sakura.ne.jp/
「なかなかいいね」
「ええ、素敵な装いだと思いますよ」
女将に帯を結んでもらったコウは、嬉しそうな顔で自分の姿を見回していた。レイは着慣れた感じで帯を締めている。訪れたことがあるのだろう。
<つづく>
酒場で遅めの夕食を取りながら、コウとレイは温泉街テルエまでどう行くか相談していた。
「荷馬車を借りて行くとしますか」
ライオンのエルの背中に乗って移動することが多いレイだが、魔獣との戦いでエルは前脚を負傷していた。拠点としているルナルの街から、最低でも一昼夜はかかる場所に行くのだ。無理はさせられないだろう。
「私がレイ君を背負って行こうか? 荷物がなければエルの負担は少ないと思うけど」
馬車を借りるとなると、それなりの出費になる。狼少女のコウならば、一人くらい背負っても問題ではない。
「テルエに到着する頃にはくたくたになってそうですね」
「私の体力を心配しているのか? これくらい平気だぞ」
「いえ、コウとずっと密着していたら、僕は自分を抑えられる自信がありませんので」
「あー、それは困るな」
悪戯が見つかった子供のような顔をしたレイに、コウは頬の火照りを感じていた。野外でレイに求められたら、コウには拒める自信がない。
「困った男だな。せめてテルエに辿り着くまで我慢してもらわないと」
「ええ、申し訳ありませんが、今回は馬車を借りましょう」
うまく馬車を調達できれば、明日の昼に出発ということになった。
(楽しみだなぁ)
家に帰ってベッドに入ってからも、コウはなかなか眠れなかった。話には聞いていたが、温泉に行くのは初めてだ。依頼とはいえ人が死んでいるわけではない。レイと温泉旅行をするという気分で、コウは浮かれていた。
夜更かしをした影響で、コウが目覚めたのは朝の遅い時間だった。テーブルには朝食の準備がされていて、置手紙があった。レイは馬車の調達に出向いたらしい。
「起こしてくれても良かったのに。私もすぐに出られる準備をしておくか」
身支度を整えてコウはレイの帰りを待っていたが、昼近くになっても戻ってこない。
「遅いなぁ。探しに行くかな」
洗濯かごに入ったレイの下着を取り出すと、コウは鼻を密着させてくんくんと臭いを嗅いだ。レイの体臭は記憶しているが、印象を深める為だ。
「すぅはぁ、逞しい臭いだ」
息を深く吸いこむと、体の芯が熱くなってくる。コウは恍惚とした表情をしていたが、人の気配を感じて慌てて下着を洗濯かごに突っ込んだ。
「遅くなりました。準備に手間取ってしまいましてね」
「ぜぇ、ひゅぅ。そ、そうか。私もすぐに出られるぞ」
「まだ時間に余裕はありますから、支度を急がなくても大丈夫ですよ」
「い、いや、平気だ」
レイはコウの慌てている姿に首を傾げたが、深くは追及をしてこなかった。
街の入口には荷馬車が置かれていた。二頭引きで幌付きの荷車と繋がっている。エルは荷車の前で番をしていた。
「荷物の番ご苦労様」
コウがライオンの頭を撫でると、ぐるぐるとエルは喉を鳴らした。エルはコウにもよく懐いている。主人のパートナーということもあるだろうが、チョコに対する気持ちもあるかもしれない。
「エルを乗せるにしても大げさな荷車だなぁ」
一頭引きの荷馬車でもいいのにとコウは思っていた。
「うわ、何だよ!」
荷車の中身を見たコウはぎっしりと積まれた荷物に驚いた。エルが乗れるスペースは僅かしかない。
「ついでですから、商人から荷物運びの依頼を引き受けてきました。荷馬車を快く貸し出してくれましたよ」
「つまりただってことか」
「荷物を無事に届ければ報酬も頂けますしね。それに余ったスペースには毛皮を仕入れて載せておきました。テルエは山の麓にあって、ここより寒いですから」
護衛がついて荷物を運んでくれるならば、商人にとっても利益なのだろう。野獣や野盗に遭遇しないとは限らない。
「商魂逞しいなぁ」
ほとほと感心するしかない。腕力で物事を解決してきたコウにとっては、違う世界を垣間見る気分だ。
「それでは出発しますか」
御者席に座ってレイは手綱を操った。レイの左にコウは大人しく座っている。荷物を大量に積んでいるとはいえ、人が走るよりも速い。あっという間に街は後方に遠ざかっていった。
道中では小型の肉食獣の姿を見ることはあったが、エルが不機嫌そうに唸ると去っていった。
「テルエに近づくと、少し寒くなってくるな」
向かい風が冷たくなってきた。コウは自前の毛皮があって暖かいし、荷車で休むこともできる。だが、馬を操っているレイは大変そうだ。
「どうも私は馬に嫌われたようだ」
コウはレイと交替で馬を走らせようとしたのだが、狼少女が手綱を握ると馬の反応が悪くなる。御者に慣れてないということもあるが、コウが操ろうとすると狼の気配を感じて馬が怯えるようだ。大人しくしているしかない。
「これは暖かいですね」
コウが尻を動かすと、ふさふさの毛皮がレイの膝に乗せられていた。
「こんなことしかできないから」
「十分ですよ」
狼の尻尾を愛しげに撫でて、レイは嬉しそうに微笑んだ。
「無事に到着しましたね」
「卵の腐ったような臭いがするな」
馬を休めながらだったので、テルエに到着したのはルナルの街を出て二日後だった。温泉街と呼ばれるだけあって、あちこちから白い蒸気が立ち上っている。硫黄の臭いが充満していて、コウは鼻をしかめた。
湯治に来る人間は多いようで、街は賑わいを見せている。街に入る前にコウはフード付きのローブを羽織った。地元の人間ならコウの姿を見ても受け流すだろうが、遠方から人間がそうだとは限らない。揉め事の種を自らまかなくてもいいだろう。
「まずは馬車を預けてしまいますか」
レイは荷物を渡すついでに、商店に馬車を預けていた。帰りにはテルエの名産を運ぶことになるらしい。毛皮はいい値段で買い取ってくれたそうだ。
温泉協会でギルドからの紹介状を渡すと、話はすぐに通じた。
「よう来てくださった。猟師に頼んで駆除をお願いしとるのじゃが、猿どもはすばしっこくてなぁ。思うように成果が上がっておらんのじゃ」
協会の理事長は初老の男で、顔には深い苦悩を刻んでいた。困り果てて手がないらしい。
「よろしく頼む」
理事長はレイの手を振り回すようにして握ってから、コウにも握手を求めてきた。一般人の接触に対してコウは気後れがある。おずおずと出したコウの手を理事長は固く握り締めた。期待しているのだろう。
「わかりました。お任せください」
「長旅で疲れておるじゃろ。逗留する宿を用意しておるから、今日はゆっくりと休んでくだされ」
「では、今日のところはこのライオンに畑を見張らせます。猟師の方々には間違わないよう通知をお願いしますね」
狭い馬車でずっと揺られていたエルは、やっと外に出られて嬉しそうだった。
理事長が用意してくれた宿は旅館だった。
「この部屋をお使いください」
旅館の女将に通された部屋からは、山の景色が一望できた。斜面に作られた畑には、林檎や葡萄が若い実をつけている。
「緑色の変わった床だなぁ」
「畳といいます」
清々しい草の香りがしていて、森林浴でもしているかのようだ。コウとレイに期待してかなりいい部屋を用意してくれたのだろう。
「温泉に行く際はこちらの浴衣をお使いください」
「浴衣?」
紺色と紅色の服が畳の上に置かれていた。ローブに似ているが、女性用は鮮やかな模様が彩られている。
「着付けをお手伝いしましょうか?」
「そうだね、頼めるかな」
女将によると浴衣は素肌の上から着るものということで、コウはまずは全裸になった。獣人の姿を目にしても、客商売ということで女将には動じた様子はない。
花の模様をあしらった浴衣は、見た目も着心地も優れていた。木綿で作られた生地は薄くて風通しがいい。これなら汗の乾きも早いだろう。ユリに婦人服店に連れられてからは、コウにもお洒落心が芽生えていた。華やかな服を着るのは、気持ちが浮き立つ。
挿絵:倉塚りこ http://surubure.sakura.ne.jp/
「なかなかいいね」
「ええ、素敵な装いだと思いますよ」
女将に帯を結んでもらったコウは、嬉しそうな顔で自分の姿を見回していた。レイは着慣れた感じで帯を締めている。訪れたことがあるのだろう。
<つづく>
幼なじみと入れ替わった俺は好き放題する
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ビーストテイマーズ By A.I. (22)
(22)
コウが座ったテーブルには、レイとマイ、それに余計なおまけとしてバルまで腰かけてきた。図々しくはあったが、堂々としている。コウは半眼で睨みつけたが、どこ吹く風だった。
「うちの子にしたいなぁ」
「ということは俺と付き合うんだな」
気を取り直して仔猫を撫でていると、バルが突拍子もないことを言い出した。
「なんでそうなるんだよ! 私のパートナーはレイだけだ」
「ははは、ご馳走様」
コウの啖呵にマイは惚気に当てられたというように笑った。
「よし、レイ。まずは乾杯をしようぜ。今後の抱負でも語ってくれよ」
空気を変えようとマイは酒を注文していた。酒場にいた猛獣使いにも、マイの奢りで酒が配られている。
他人事には関心が薄い猛獣使い同士に交流を持たせたいと思ったのだろうか。コウにしてみれば、あまり注目されたくはないのだが。
「僕は若くて猛獣使いとしての経験も浅いので、コウにお願いしてコンビを組むことにしました。歴戦の先輩方にはまだ及びませんが、これからも精進しますのでよろしくお願いします。それでは――」
謙遜した内容ではあったが、朗々とした声だった。レイの威風堂々とした振る舞いは太陽のようだ。豪奢な金髪と相まって、人目を吸い寄せる。
「乾杯!」
一斉に乾杯が唱和された。酒場中の猛獣使いが一丸となって、何かを行うのは珍しい。そんな一体感も悪くはなかった。
エールは苦くて好きではないが、最初の一杯目はコウにも美味しく感じられた。
「やれやれ、俺の負けかねぇ」
「最初から勝負になってないだろ」
愚痴っているバルに容赦なくマイは突っ込んでいた。壁のない関係のようで、親しげな様子だ。
「姉御とバルは仲がいいですね」
「く、腐れ縁だ。こんな軟弱な奴!」
何気なくコウは言ったつもりだが、マイの反応は過剰だった。珍しく声が震
えている。
「朝まで勝負しても、負けたことはないけどな」
「そ、そんな態度が軟弱だというんだ」
男女の仲ではあるが、微妙な関係らしい。バルが浮気性なのが問題なのだろう。
「今日勝負をしてもいいぞ。コウなら一晩くらいラトを預かってくれそうだしな」
「う……考えておく」
マイはぷいっと横を向いたが、悪しからず思っているようだ。
「ラト?」
見知らぬ名前を出されて、コウは疑問を口にした。
「俺の新しい相棒になる白虎のことだ」
バルの視線の先には、丸まって眠る仔猫の姿がある。
「えぇっ?」
「猫の子供にしては脚が太いだろ」
言われてみれば、猫にしては体格がしっかりしている。
「以前のサーベルタイガーはどうしたんだ?」
鋭い牙を生やした大型の虎をバルは相棒としていたはずだ。
「色々あって引退だ。もう老齢だったしな」
様々な戦場を駆け抜ける猛獣は、不慮の事故で死んでしまうこともある。過酷な職業なので、寿命まで生きられないことが多い。そうでなくても怪我で引退を余儀なくされることもある。老齢に差し掛かるまで現役だったのは、それだけ強かったといえるだろう。
「ラトの食い扶持を稼がないといけないからな。依頼で港町レウスに行くつもりだ。詳しくは言えないが、荒事にはならないはずさ」
「貯蓄はないのか?」
相棒が幼い時くらい、連れ回さなくてもいいのと思う。コウはラトに情が移ってしまっていた。
「俺は宵越しの金は持たない主義だ」
「単に金銭管理ができないだけだろ。養育費はちゃんと払え」
「わかっているよ、ほら」
ふて腐れた顔で渋々とバルはマイに金を渡している。
「確かに。それなら今日明日ぐらいはあたいがバルに付き合ってやるか。娘もバルに料理を食わせたがっていたぞ」
「……焦げた目玉焼きは食べたくないな」
不平を口にしていたが、バルの顔は楽しそうだった。
「ラトの面倒はうちで見るよ」
「そうですか。ラトにまた会わせてくださいね」
コウは名残惜しかったが、マイにラトを手渡した。
「マイじゃなくて俺に言えよ」
「そろそろ行くぞ。お前がいたら二人はおちおち飯も食えないからな」
「耳を引っ張るなって。コウ、今度はベッドで。痛い、いたたっ」
「あたいの前で他の女を口説くなんていい度胸だ。お二人さん、邪魔したな」
マイは容赦なく耳を引っ張ってバルを酒場の外へ連れ出していく。二人の姿が酒場から消えても、遠ざかっていく男の悲鳴がしばらく聞こえた。
「……喧嘩するほど仲がいいということかな」
「さぁ、何とも言いがたいですね」
暴風雨に振り回されたような気分で、コウとレイは顔を見合わせて微苦笑していた。
「大変だったな。こいつは奢りだ」
「マスター、どうも」
光った頭をしたマスターがカクテルグラスを置いた。マスターは酒場の運営とこの街の猛獣使いの面倒を見ている人物で、本人も昔は凄腕の猛獣使いだったらしい。
マスターの奢りとはいえ、コウはあまり酒が得意ではない。逡巡したが折角のマスターの好意だ。グラスを手に持ってみると、爽やかな香りが鼻をくすぐる。
「美味しい……」
酸味はあるが、口中に爽やかな林檎の甘さが広がる。喉越しもすっきりとして爽快だった。林檎好きなコウにはたまらない酒だ。
「温泉街テルエで造られたシードルだ。あそこは林檎と葡萄が名産でもあるからな」
「これなら私でも飲みやすいな」
口当たりが軽いので、コウの喉にすんなり入ってしまった。
「レイからあらましは聞いている。命があっただけでもめっけものだ。困ったことがあれば相談には乗ってやる」
「ありがとうございます」
マスターはぽんぽんとコウの肩を叩いた。厳つい顔をしているが、面倒見はいいのだ。
「ところでだな、温泉街テルエに関することで解決して欲しいことがある」
「レイ君が本調子ではないので、軽い内容であれば」
ライオンのエルも魔獣との戦いで負傷した前脚が治っていない。無理は禁物だった。
「ふぅん、ライバル視していたのに、やけにレイのことを気遣うじゃないか」
「コンビを組むからには当然ですよ」
「口調も丸くなったな。今の体に馴染んでいるようなら心配はないか」
「嘆いていても時は戻せませんからね」
「割り切れているなら結構だ。ああ、なるほど」
「何か?」
「レイが消耗しているのは毎日搾り取られ、ごほっ」
下世話な話をされそうになったので、コウは思わず肘をマスターの太鼓腹に打ち込んだ。綺麗に肝臓に入ったらしく、マスターはがくりと膝をついた。
「毎日ではないですし、まだ片手で数えられます!」
「……こほん、仲が良くて何よりだ」
脂汗を滲ませていたが、マスターは歯を見せて笑っていた。思わず余計なことを喋ってしまったコウは、顔を伏せて悶絶していた。
「意地っ張りで生意気だった小僧をどうやって仕留めたんだ? 少年っぽさは残っているが、随分と可愛らしくなったじゃないか。レイは猛獣使いとしては優秀だが、恋愛には興味がないと思っていたぞ」
「コウは元から可愛かったですよ。それに皆が気づかなかっただけです」
平然とした顔で惚気たことを言うレイ。レイにとっては至極当然なことを喋っているだけなのだろう。コウは恥ずかしくなって尻尾を左右に振っていた。
「つまらないことを聞かないでくださいね」
頬を膨らませてコウはマスターに怒りの眼を向けた。
「悪い悪い。どうだ、もう一杯飲むか?」
「頂きますけど……」
「それを飲みながら、依頼の内容を聞いてくれ。力よりも頭が必要な仕事でな。レイなら名案が思いつきそうだと思ったのさ」
猛獣使いは体を使うことは得意でも、頭を使うのは苦手という者が多い。マスターは頭の良さそうなレイなら、いいアイデアを閃くと思ったのだろう。
「温泉街テルエは林檎と葡萄が名産でそろそろ収穫時期になる。ただ今年は餌が少ないようで、猿がやってきて食い荒らしているそうだ。これを解決して欲しい」
「猿の数は多いのでしょうね」
「一匹ずつ始末するのは大変だからな。テルエにはいい温泉があるし、療養がてらやってみないか?」
猿を相手にするだけなら、危険はさほどないだろう。解決方法が見つかるかはわからないが、温泉療養をしにいくと思えば悪くはない。
「怪我にも効くようだが、美容にもいいらしいぞ。子宝の湯や豊乳の湯まであるらしいな」
意味ありげな視線をマスターから向けられて、コウは動揺していた。乗せられるようで嫌だったが、魅力を感じたのは本当だ。成長しつつある女心を揺さぶるものがある。
「ま、まぁ、依頼を受けてもいいかも。林檎が被害を受けたら、シードルを飲めなくなるからな」
シードルが美味しかったのは確かだが、それは表向きの理由。コウの本心は温泉にあった。
「温泉旅行というのは楽しそうですね」
物見遊山気分でレイは気楽に構えていた。コウと一緒に遠出をするというのが楽しみらしい。
「おいおい、ちゃんと猿害も解決してくれよ。テルエの連中は頭を抱えているんだからな」
「わかっています。コウが賛成してくれたので、この依頼を引き受けますよ」
「そいつは助かる。この紹介状を温泉協会に見せれば話は通るはずだ」
パートナーを組んで最初の依頼は、猿の食害を解決することになった。報酬は安いが、コウとレイの体を慮ってマスターが話を持ちかけてくれたのだろう。マスターの好意に応えたいとコウは思っていた。
<つづく>
コウが座ったテーブルには、レイとマイ、それに余計なおまけとしてバルまで腰かけてきた。図々しくはあったが、堂々としている。コウは半眼で睨みつけたが、どこ吹く風だった。
「うちの子にしたいなぁ」
「ということは俺と付き合うんだな」
気を取り直して仔猫を撫でていると、バルが突拍子もないことを言い出した。
「なんでそうなるんだよ! 私のパートナーはレイだけだ」
「ははは、ご馳走様」
コウの啖呵にマイは惚気に当てられたというように笑った。
「よし、レイ。まずは乾杯をしようぜ。今後の抱負でも語ってくれよ」
空気を変えようとマイは酒を注文していた。酒場にいた猛獣使いにも、マイの奢りで酒が配られている。
他人事には関心が薄い猛獣使い同士に交流を持たせたいと思ったのだろうか。コウにしてみれば、あまり注目されたくはないのだが。
「僕は若くて猛獣使いとしての経験も浅いので、コウにお願いしてコンビを組むことにしました。歴戦の先輩方にはまだ及びませんが、これからも精進しますのでよろしくお願いします。それでは――」
謙遜した内容ではあったが、朗々とした声だった。レイの威風堂々とした振る舞いは太陽のようだ。豪奢な金髪と相まって、人目を吸い寄せる。
「乾杯!」
一斉に乾杯が唱和された。酒場中の猛獣使いが一丸となって、何かを行うのは珍しい。そんな一体感も悪くはなかった。
エールは苦くて好きではないが、最初の一杯目はコウにも美味しく感じられた。
「やれやれ、俺の負けかねぇ」
「最初から勝負になってないだろ」
愚痴っているバルに容赦なくマイは突っ込んでいた。壁のない関係のようで、親しげな様子だ。
「姉御とバルは仲がいいですね」
「く、腐れ縁だ。こんな軟弱な奴!」
何気なくコウは言ったつもりだが、マイの反応は過剰だった。珍しく声が震
えている。
「朝まで勝負しても、負けたことはないけどな」
「そ、そんな態度が軟弱だというんだ」
男女の仲ではあるが、微妙な関係らしい。バルが浮気性なのが問題なのだろう。
「今日勝負をしてもいいぞ。コウなら一晩くらいラトを預かってくれそうだしな」
「う……考えておく」
マイはぷいっと横を向いたが、悪しからず思っているようだ。
「ラト?」
見知らぬ名前を出されて、コウは疑問を口にした。
「俺の新しい相棒になる白虎のことだ」
バルの視線の先には、丸まって眠る仔猫の姿がある。
「えぇっ?」
「猫の子供にしては脚が太いだろ」
言われてみれば、猫にしては体格がしっかりしている。
「以前のサーベルタイガーはどうしたんだ?」
鋭い牙を生やした大型の虎をバルは相棒としていたはずだ。
「色々あって引退だ。もう老齢だったしな」
様々な戦場を駆け抜ける猛獣は、不慮の事故で死んでしまうこともある。過酷な職業なので、寿命まで生きられないことが多い。そうでなくても怪我で引退を余儀なくされることもある。老齢に差し掛かるまで現役だったのは、それだけ強かったといえるだろう。
「ラトの食い扶持を稼がないといけないからな。依頼で港町レウスに行くつもりだ。詳しくは言えないが、荒事にはならないはずさ」
「貯蓄はないのか?」
相棒が幼い時くらい、連れ回さなくてもいいのと思う。コウはラトに情が移ってしまっていた。
「俺は宵越しの金は持たない主義だ」
「単に金銭管理ができないだけだろ。養育費はちゃんと払え」
「わかっているよ、ほら」
ふて腐れた顔で渋々とバルはマイに金を渡している。
「確かに。それなら今日明日ぐらいはあたいがバルに付き合ってやるか。娘もバルに料理を食わせたがっていたぞ」
「……焦げた目玉焼きは食べたくないな」
不平を口にしていたが、バルの顔は楽しそうだった。
「ラトの面倒はうちで見るよ」
「そうですか。ラトにまた会わせてくださいね」
コウは名残惜しかったが、マイにラトを手渡した。
「マイじゃなくて俺に言えよ」
「そろそろ行くぞ。お前がいたら二人はおちおち飯も食えないからな」
「耳を引っ張るなって。コウ、今度はベッドで。痛い、いたたっ」
「あたいの前で他の女を口説くなんていい度胸だ。お二人さん、邪魔したな」
マイは容赦なく耳を引っ張ってバルを酒場の外へ連れ出していく。二人の姿が酒場から消えても、遠ざかっていく男の悲鳴がしばらく聞こえた。
「……喧嘩するほど仲がいいということかな」
「さぁ、何とも言いがたいですね」
暴風雨に振り回されたような気分で、コウとレイは顔を見合わせて微苦笑していた。
「大変だったな。こいつは奢りだ」
「マスター、どうも」
光った頭をしたマスターがカクテルグラスを置いた。マスターは酒場の運営とこの街の猛獣使いの面倒を見ている人物で、本人も昔は凄腕の猛獣使いだったらしい。
マスターの奢りとはいえ、コウはあまり酒が得意ではない。逡巡したが折角のマスターの好意だ。グラスを手に持ってみると、爽やかな香りが鼻をくすぐる。
「美味しい……」
酸味はあるが、口中に爽やかな林檎の甘さが広がる。喉越しもすっきりとして爽快だった。林檎好きなコウにはたまらない酒だ。
「温泉街テルエで造られたシードルだ。あそこは林檎と葡萄が名産でもあるからな」
「これなら私でも飲みやすいな」
口当たりが軽いので、コウの喉にすんなり入ってしまった。
「レイからあらましは聞いている。命があっただけでもめっけものだ。困ったことがあれば相談には乗ってやる」
「ありがとうございます」
マスターはぽんぽんとコウの肩を叩いた。厳つい顔をしているが、面倒見はいいのだ。
「ところでだな、温泉街テルエに関することで解決して欲しいことがある」
「レイ君が本調子ではないので、軽い内容であれば」
ライオンのエルも魔獣との戦いで負傷した前脚が治っていない。無理は禁物だった。
「ふぅん、ライバル視していたのに、やけにレイのことを気遣うじゃないか」
「コンビを組むからには当然ですよ」
「口調も丸くなったな。今の体に馴染んでいるようなら心配はないか」
「嘆いていても時は戻せませんからね」
「割り切れているなら結構だ。ああ、なるほど」
「何か?」
「レイが消耗しているのは毎日搾り取られ、ごほっ」
下世話な話をされそうになったので、コウは思わず肘をマスターの太鼓腹に打ち込んだ。綺麗に肝臓に入ったらしく、マスターはがくりと膝をついた。
「毎日ではないですし、まだ片手で数えられます!」
「……こほん、仲が良くて何よりだ」
脂汗を滲ませていたが、マスターは歯を見せて笑っていた。思わず余計なことを喋ってしまったコウは、顔を伏せて悶絶していた。
「意地っ張りで生意気だった小僧をどうやって仕留めたんだ? 少年っぽさは残っているが、随分と可愛らしくなったじゃないか。レイは猛獣使いとしては優秀だが、恋愛には興味がないと思っていたぞ」
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平然とした顔で惚気たことを言うレイ。レイにとっては至極当然なことを喋っているだけなのだろう。コウは恥ずかしくなって尻尾を左右に振っていた。
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頬を膨らませてコウはマスターに怒りの眼を向けた。
「悪い悪い。どうだ、もう一杯飲むか?」
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猛獣使いは体を使うことは得意でも、頭を使うのは苦手という者が多い。マスターは頭の良さそうなレイなら、いいアイデアを閃くと思ったのだろう。
「温泉街テルエは林檎と葡萄が名産でそろそろ収穫時期になる。ただ今年は餌が少ないようで、猿がやってきて食い荒らしているそうだ。これを解決して欲しい」
「猿の数は多いのでしょうね」
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猿を相手にするだけなら、危険はさほどないだろう。解決方法が見つかるかはわからないが、温泉療養をしにいくと思えば悪くはない。
「怪我にも効くようだが、美容にもいいらしいぞ。子宝の湯や豊乳の湯まであるらしいな」
意味ありげな視線をマスターから向けられて、コウは動揺していた。乗せられるようで嫌だったが、魅力を感じたのは本当だ。成長しつつある女心を揺さぶるものがある。
「ま、まぁ、依頼を受けてもいいかも。林檎が被害を受けたら、シードルを飲めなくなるからな」
シードルが美味しかったのは確かだが、それは表向きの理由。コウの本心は温泉にあった。
「温泉旅行というのは楽しそうですね」
物見遊山気分でレイは気楽に構えていた。コウと一緒に遠出をするというのが楽しみらしい。
「おいおい、ちゃんと猿害も解決してくれよ。テルエの連中は頭を抱えているんだからな」
「わかっています。コウが賛成してくれたので、この依頼を引き受けますよ」
「そいつは助かる。この紹介状を温泉協会に見せれば話は通るはずだ」
パートナーを組んで最初の依頼は、猿の食害を解決することになった。報酬は安いが、コウとレイの体を慮ってマスターが話を持ちかけてくれたのだろう。マスターの好意に応えたいとコウは思っていた。
<つづく>
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ミキの放課後 (ミリオンコミックス OTONYAN SERIES 16) (2013/03/26) つむら ちた 商品詳細を見る |
オトコの娘コミックアンソロジー 純情天使編
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ありすさんが表紙買いしてくれたw
可愛ゴスロリ姉妹に❤(片方男の娘だけどw)
ツンデレとヤンデレのW展開かなぁw?
私も「しかし、双子にはそれぞれ重大な秘密があった!」のところで可能性70%と見込んでいましたが、やはり!
⇒追随買いして今頃読了。
うらやましいような、うらやましくないようなハーレム具合ですね。
あ、やっぱりうらやましいか。
偽双ハニートラップ(1) (アクションコミックス(コミックハイ! )) (2012/11/12) 芳澤 ばにら 商品詳細を見る |
TSとらぶる(1)(2)最終回
TSとらぶる 第1話TSとらぶる 第2話TSとらぶる 最終回DLsitecom版が登場!
1が2011Q3おかし製作所DMM販売数3位
1が2011Q4おかし製作所DMM販売数47位
売れ行き好調♪
人気作の最終回に大期待です!
TSとらぶる 最終回 DMM版
TSとらぶる 最終回 DLsitecom版

売れ行き好調♪
TSとらぶる(2)DMM版
TSとらぶる 第2話 DLsitecom版

TSとらぶる(1) DMM版
TSとらぶる 第1話 DLsitecom版
ある日突然女の子になっちゃった!(中川優)
リンク先にさらに参考画像ありです。↓

1が2011Q3おかし製作所DMM販売数3位
1が2011Q4おかし製作所DMM販売数47位
売れ行き好調♪
人気作の最終回に大期待です!
TSとらぶる 最終回 DMM版
TSとらぶる 最終回 DLsitecom版
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TSとらぶる(2)DMM版
TSとらぶる 第2話 DLsitecom版
TSとらぶる(1) DMM版
TSとらぶる 第1話 DLsitecom版
ある日突然女の子になっちゃった!(中川優)
リンク先にさらに参考画像ありです。↓
5月のコミック チェック
05/08 秋田書店 名探偵マーニー 3 木々津 克久 440
05/09 富士見これはゾンビですか? 7 さっち/木村 心一/こぶいち むりりん 609
05/10 海王社 俺のツレが××だった件 大月 クルミ 630
05/上 久保書店 (成)T.S I LOVE YOU… 5.5 これでヌキ止めっ・ The Amanoja9 1000 書籍扱
05/11 サン出版 (成)淫嬢れいど サガノヘルマー 1050
05/11 ハーレクイン社 入れ替わった恋人 尾方 琳/キャサリン・ジョージ 630
05/13 大都社 僕の両性具有症候群 カノン チヒロ 680
05/14 マッグガーデン 初回限定版 僕と彼女の××× 番外編 森永 あい 1490
05/14 マッグガーデン 僕と彼女の××× 番外編 森永 あい 600
05/15 小学館 コージ苑 2 相原 コージ 840 書籍扱
05/16 竹書房 ムダヅモ無き改革 10 大和田 秀樹 680
05/16 芳文社 スイッチドール ふうたまろ 620
05/17 茜新社 (成)リリカルきゅーと 藤坂 リリック 1050
05/17 講談社 賭博覇王伝 零 ギャン鬼編 9 福本 伸行 570
05/17 集英社 霊媒師いずな Ascension 4 岡野 剛/真倉 翔 590
05/17 集英社 ねじまきカギュー 10 中山 敦支 540
05/20 双葉社 クレヨンしんちゃんデラックス 奇想天外!女装も似合うゾ!?園長先生編 臼井 儀人 380
05/20 双葉社 ルパン三世Y 不二子になろうとした怪人 山上 正月/モンキー・パンチ 500
05/20 メディアックス (成)おいしいボクらはいかが? 命 わずか 1050
05/中 イースト・プレス ミャンマーで尼になりました 天野 和公 1050 書籍扱
05/23 大洋図書 神嫁♂ですけどっ! クロマメオトコの娘作品集 クロマメ
05/23 マックス (成)おねえさんのおく・ BENNY’S 1050
05/24 幻冬舎コミックス発行 放課後よりみち委員会 3 桑田 乃梨子 840
05/25 オークス (成)調教性尿愛症候群 御乱ノ栖本佐 1100 書籍扱
05/25 角川書店発行/角川グループホールディングス発売 これはゾンビですか? はい、アナタの嫁です 5 木村 心一/こぶいち もりりん 609 書籍扱
05/27 一迅社 ボクのことスキになって 水鳥なや女装少年アンソロジー作品集 水鳥 なや
05/27 一水社 (成)オトコの娘ウケ▽ アンソロジー 1050
05/27 白泉社 ガラスの仮面 50 美内 すずえ 420
05/27 芳文社 となりの魔法少女 1 七葉 なば 860
05/28 ジーウォーク ダブル~もし自分が女の子になってしまったら(仮) 座間 翔二 680
05/30 エンターブレイン 血まみれスケバンチェーンソー 6 三家 本礼 672
05/31 コアマガジン (成)残念王子と毒舌メイド 月野 定規 1050 書籍扱
05/31 芳文社 限定M彼女 Mっ娘アンソロジー アンソロジー 980
05/下 キルタイムコミュニケーション (成)メガミクライシス 12 アンソロジー 990 書籍扱
05/下 キルタイムコミュニケーション (成)イジめたいおっぱいはじめました 大庭新 990 書籍扱
05/下 キルタイムコミュニケーション (成)魔法戦士クローバーウィッチーズ(仮) 天道 まさえ 990 書籍扱
05/下 ワニマガジン社 ぱら☆いぞ 2 道満 晴明 書籍扱
05/09 富士見これはゾンビですか? 7 さっち/木村 心一/こぶいち むりりん 609
05/10 海王社 俺のツレが××だった件 大月 クルミ 630
05/上 久保書店 (成)T.S I LOVE YOU… 5.5 これでヌキ止めっ・ The Amanoja9 1000 書籍扱
05/11 サン出版 (成)淫嬢れいど サガノヘルマー 1050
05/11 ハーレクイン社 入れ替わった恋人 尾方 琳/キャサリン・ジョージ 630
05/13 大都社 僕の両性具有症候群 カノン チヒロ 680
05/14 マッグガーデン 初回限定版 僕と彼女の××× 番外編 森永 あい 1490
05/14 マッグガーデン 僕と彼女の××× 番外編 森永 あい 600
05/15 小学館 コージ苑 2 相原 コージ 840 書籍扱
05/16 竹書房 ムダヅモ無き改革 10 大和田 秀樹 680
05/16 芳文社 スイッチドール ふうたまろ 620
05/17 茜新社 (成)リリカルきゅーと 藤坂 リリック 1050
05/17 講談社 賭博覇王伝 零 ギャン鬼編 9 福本 伸行 570
05/17 集英社 霊媒師いずな Ascension 4 岡野 剛/真倉 翔 590
05/17 集英社 ねじまきカギュー 10 中山 敦支 540
05/20 双葉社 クレヨンしんちゃんデラックス 奇想天外!女装も似合うゾ!?園長先生編 臼井 儀人 380
05/20 双葉社 ルパン三世Y 不二子になろうとした怪人 山上 正月/モンキー・パンチ 500
05/20 メディアックス (成)おいしいボクらはいかが? 命 わずか 1050
05/中 イースト・プレス ミャンマーで尼になりました 天野 和公 1050 書籍扱
05/23 大洋図書 神嫁♂ですけどっ! クロマメオトコの娘作品集 クロマメ
05/23 マックス (成)おねえさんのおく・ BENNY’S 1050
05/24 幻冬舎コミックス発行 放課後よりみち委員会 3 桑田 乃梨子 840
05/25 オークス (成)調教性尿愛症候群 御乱ノ栖本佐 1100 書籍扱
05/25 角川書店発行/角川グループホールディングス発売 これはゾンビですか? はい、アナタの嫁です 5 木村 心一/こぶいち もりりん 609 書籍扱
05/27 一迅社 ボクのことスキになって 水鳥なや女装少年アンソロジー作品集 水鳥 なや
05/27 一水社 (成)オトコの娘ウケ▽ アンソロジー 1050
05/27 白泉社 ガラスの仮面 50 美内 すずえ 420
05/27 芳文社 となりの魔法少女 1 七葉 なば 860
05/28 ジーウォーク ダブル~もし自分が女の子になってしまったら(仮) 座間 翔二 680
05/30 エンターブレイン 血まみれスケバンチェーンソー 6 三家 本礼 672
05/31 コアマガジン (成)残念王子と毒舌メイド 月野 定規 1050 書籍扱
05/31 芳文社 限定M彼女 Mっ娘アンソロジー アンソロジー 980
05/下 キルタイムコミュニケーション (成)メガミクライシス 12 アンソロジー 990 書籍扱
05/下 キルタイムコミュニケーション (成)イジめたいおっぱいはじめました 大庭新 990 書籍扱
05/下 キルタイムコミュニケーション (成)魔法戦士クローバーウィッチーズ(仮) 天道 まさえ 990 書籍扱
05/下 ワニマガジン社 ぱら☆いぞ 2 道満 晴明 書籍扱