重力波作用が、中緯度中間圏界面や下部成層圏にみられる弱風層を維持していることが明らかになりました。この重力波作用を組み込むことで、天気予報精度が格段に進歩しました。●1990年代 熱帯の時代/大気重力波が大規模大気振動を駆動
赤道成層圏下部にみられる準2年周期の大規模な大気振動の駆動源は大気重力波とその仲間であることが解り、大気重力波の重要性への認識がいっそう深まりました。●2000年代 極域の時代/地球規模大気の総合的評価
極域成層圏の高温維持メカニズムやオゾンホールの将来予測、また,太陽活動の地球大気への影響を解明するため,極域重力波の研究が必要となります.重力波の研究は,地球気候システムという視点からの総合研究へと発展しつつあります.私たちはこのような大気重力波を、観測、既存データの解析、数値モデル、理論とあらゆる研究手法で研究を進めてきました。また、緯度的にも中緯度、熱帯、海洋域、極域、全球と対象を広げてきました。視点は、重力波の起源、波数、周波数、伝播、エネルギー分布、季節変化、大規模場への作用、スペクトル理論等多岐にわたります。まだ様々なテーマが残っています。
MUレーダーで観測された重力波の例 |
北極スピッツベルゲン島の雲 地形性重力波によると思われる |
南極東オングル島の雲 重力波とその不安定と思われる多数の筋が見える |