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築地市場内乱闘犯 ターレで包囲し捕獲

盗まれたものと同タイプのマグロ包丁。「切れ味は日本刀とそん色ない」と仲卸関係者
盗まれたものと同タイプのマグロ包丁。「切れ味は日本刀とそん色ない」と仲卸関係者

 東京・築地市場内でマグロ解体用包丁で警官を切りつけようとしたとして警視庁築地署は19日、東京都中野区の職業不詳根上隆容疑者(63)を殺人未遂などの疑いで現行犯逮捕した。

 逮捕容疑は同日午前8時10分ごろ、築地市場内で、「殺してやる」と叫んで現場にあった刃渡り72センチのマグロ解体用包丁を振り回し、制止しようとした築地署の男性巡査部長(59)に切りかかった疑い。けが人はいなかった。

 築地署によると、事件の直前に市場関係者が近くの交番を訪れ、不審な男がいると通報。巡査部長が駆けつけると根上容疑者が突然逃げ出したという。包丁を奪われたマグロ仲卸店の男性従業員(43)は「バケツに入っていたマグロ包丁を奪われました。突然のことでびっくりしました。目が血走っていて危ない男だと思った」と興奮気味に話した。

 その後、根上容疑者は車で逃げようと包丁を振り回しながら駐車場まで移動した。現場を目撃した、市場内ののり店で働く高島将司さん(23)によると、「(容疑者が)車を動かしたけど場内の人がターレ(小型運搬車)で体当たりして、4台のターレで取り囲みました」。さらに、屈強な市場関係者たちも続々と集まり包囲し、逃走を阻止した。根上容疑者は車内でも包丁を振り回し威嚇していたが、市場関係者らと警官が車の窓を割るなどして取り押さえた。足を取り押さえた、配送業の佐藤勝俊さん(44)は「この市場で逃げられるはずないですよ。みんな気性が荒い人たちなんだから」と胸を張った。

 ◆築地市場 1923年(大12)の関東大震災で日本橋から芝浦に移転した魚市場が35年(昭10)2月、築地の約23万平方メートル(東京ドームの約4・9倍)の敷地に東京都中央卸売市場として開設。海軍省の土地の一部を東京市(当時)が借り受けた。場内市場の卸売業者は水産7社、青果3社、仲卸業者は水産727社、青果104社。水産物の取扱量は2010年で1日当たり約3100トン、取引金額は約19億円。周辺には一般客向けの店舗が多数あり「場外」と呼ばれる。近年は、外国人観光客に人気の見学スポットとなっている。

 [2013年4月20日9時41分 紙面から]

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