生体腎移植ドナー死亡 浦添の病院「原因分からず」

2013年4月19日 09時25分
(24時間45分前に更新)

 浦添市の八重瀬会同仁病院は18日、生体腎移植で提供者(ドナー)の女性(65)が、13日の摘出手術中に大量出血し、死亡したと明らかにした。下腹部を切開して執刀医が手を差し込み、腎臓を取り出すための準備作業中に出血したといい、専門家は血管を傷つけた可能性を指摘する。日本移植学会によると、生体腎移植は国内で約2万件実施されたが、提供者の死亡は初めてという。

 記者会見した山内英樹院長によると、女性は腎不全を患って透析中の長男(43)に左の腎臓を提供するため、腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた。執刀した主治医(56)らが腎臓から血管や尿管をはがした後、腎臓を取り出す「トンネル」を作るために切開部から手を入れ、抜いた際に出血した。止血のため、医師の視野を広げようと腎臓を摘出したが、心臓が停止するなど容体は悪化。手術開始から約11時間後に死亡した。取り出した腎臓は長男に移植した。

 日本移植学会にはメールで提供者の死亡を一報した。14日に病院内で事故調査委員会を設け、浦添署に医療事故届を出した。山内院長は会見の冒頭で「このような結果を来し、心よりおわび申し上げます」と謝罪した。一方、手術前に女性の健康状態に異常はなく、死因や大量出血の原因は「特定できていない」として、日本移植学会が設ける第三者調査委員会に究明を委ねる考えを示した。当面、生体腎移植は自粛する。

 主治医は生体腎移植の手術経験が長く、同仁病院では、生体腎移植が始まった2003年から、今回を含め全28例を担当した。今回の事故を受け、対外的な役職を辞退する。

 生体間の臓器移植では、02年に京都大学病院で実施した生体肝移植で、提供者の女性が03年に死亡した例がある。

[ことば]

 生体腎移植 腎機能が低下し透析をしているなど重い腎臓病患者の治療法として、親族らから二つある腎臓のうち一つの提供を受けて移植する手術。日本では1960年代以降、徐々に広まった。日本移植学会のデータによると、2010年は生体腎移植が1276件、死んだ人から提供を受けた腎移植が208件。

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