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屋根つるつる 雪下ろし不要 仙台の企業が塗料添加剤を開発

「陸王」と「雪王」を手にする川又社長

 スキーワックスなどを製造販売する仙台市のベンチャー企業「KFアテイン」が、屋根を滑りやすくして雪下ろしを不要にする塗料添加剤など雪国向け商品を開発し、東北の豪雪地帯を中心に販路を広げている。宮城野区蒲生にあった本社兼工場は東日本大震災の津波被害に遭った。被災企業向けの仮設団地に入居し再起を誓う。

 屋根の塗料添加剤は商品名が「陸王」。除雪車への着雪を防ぐ塗料「雪王」もある。ともにパラフィンワックスが主成分。スキーワックスで培った技術を応用し「撥水(はっすい)性」「滑り性」に特徴がある。
 昨春発売の陸王は、金属製屋根用塗料に3パーセント添加して使用する。雪が20センチほど積もると雪自体の重みで滑り落ちる設計。落雪事故や家屋倒壊を防ぎ、窓を壊す長いつららもできにくいという。
 初年度は塗装工事の業者を通じて秋田、山形両県などで約100棟を手掛け、全棟で危険を伴う雪下ろしをする必要がなかった。添加剤の費用は1平方メートル当たり250〜300円。3年は効果を保てることを実験で確認している。雪下ろし作業を業者に依頼した場合と比べても安く済む。
 雪王は2011年秋に発売し、除雪車の除雪板や排雪用トラックの荷台に塗って使う。こちらも雪を滑らせて着雪を減らし、作業時間の削減や燃費向上につながる。北海道から富山県まで150を超す市町村で導入された実績がある。
 震災で同社の川又貴仁社長(40)らは助かったが、原材料や商品は水没するなどしてなくなった。以前の主力商品だった船底塗料添加剤は需要が震災で途絶えた。行政などの支援を受け事業を再開できたのを機に、雪国向け商品に軸足を移した。
 秋田県鹿角市出身で雪が身近だった川又社長は「豪雪地帯では雪は命にかかわり、特に高齢者にとって雪下ろしは危険。被災後に支援を受けた分、東北の人に役立つ商品を広めたい」と話す。連絡先はKFアテイン022(355)2701。


2013年04月20日土曜日


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