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追 悼 ・ 筑 紫 哲 也 さん |
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中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン) |
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11月7日、筑紫哲也さんが肺癌のため亡くなった。享年73歳。
個人的に深い付き合いがあった訳ではないが、俺の知り合いには彼と結びつきの深い人が少なからずいたし、何よりも『朝日ジャーナル』編集長時代(1984〜1987)からの飄々としながらも決してブレない有りように、えも言われぬ親近感を抱き続けていた。
特に、『NEWS 23』メイン・キャスター登板以降(1989〜)、番組でソウル・フラワー・モノノケ・サミットを取り上げてもらったり、沖縄・那覇のイベント(『世・遊・夏祭り inとまりん』)で同席したり、ピースボートや『週刊金曜日』などなど同現場で微妙にクロスしながら、俺にとって、その背中で多くを語っていただいた稀有な先人でもあった。
(辻元)清美ちゃんが国政へ打って出ようかどうしようか迷っているときに、「一番反対しそうな友人に相談しようと思って、筑紫さんと中川くんに相談したのに、両方とも“出ろ、出ろ”って言うんやもん〜」というマル秘エピソードを、のちに清美ちゃん本人から聞き、大笑いしたのも、もう十年前になる。
『デラシネ・チンドン』の推薦コメントを依頼したとき、普段頻繁に来るコメント依頼を殆ど断わっておられるのにもかかわらず、「大好きだから書きますよ〜」と快く引き受けていただいたのも、我々にとっては嬉しいエピソード。 (http://www.breast.co.jp/soulflower/special/derashine/page2.html)
肺癌闘病中のインタヴューで、ヘヴィー・スモーカーの筑紫さんが煙草への愛をユーモアたっぷりに語るのもいい。「長生きには、吸わないのがいいのか、吸うのがいいのか、議論のあるところでね。煙草で死ぬ人も、糖尿など食い過ぎで死ぬ人もいる。もう一つは、煙草や食に急ブレーキかけて、そのストレスで死ぬ人。屁理屈だけど」「百害あって一利なしと言うけど、文化は悪徳が高い分、深い。人類が発明した偉大な文化であり、煙草の代わりはありませんよ。これを知らずに人生を終わる人を思うと、何とものっぺらぼうで、気の毒な気がしますね」。記者に「そんな文化が癌をもたらしたのでは?」とふられても、「そうとも言えない。肺癌に直結しているようだけど、煙草は引き金で、本当の原因はストレスなんです」(『毎日新聞』より引用)。
昨夏の小田実さんに続いて、筑紫さん。大事な先人がどんどん亡くなってゆく。
(2008年11月記)
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