前回の記事の続き。

今回は、エピソードⅤとⅥにおける日米比較でございます。


既に補足してくださった方がいますが、

この漫画版スター・ウォーズはメディアワークスから発売の全6巻の作品でして。


前回、ご紹介しましたエピソードⅣにあたる1、2巻の作者は田巻久雄。

エピソードⅤにあたる3、4巻の作者は工藤俊生。

エピソードⅥにあたる5、6巻の作者はヒロモト森一となっております。 


第1巻 スター・ウォーズ (1) 新たなる希望 (上) 田巻 久雄 (著)
第2巻 スター・ウォーズ (2) 新たなる希望 (下) 田巻 久雄 (著)
第3巻 スター・ウォーズ (3) 帝国の逆襲 (上) 工藤俊生 (著)
第4巻 スター・ウォーズ (4) 帝国の逆襲 (下)  工藤俊生 (著)
第5巻 スター・ウォーズ (5) ジェダイの復讐 (上) ヒロモト森一 (著)
第6巻 スター・ウォーズ (6) ジェダイの復讐 (下) ヒロモト森一 (著)




チェックリスト:スター・ウォーズの日本化 -- 漫画の方が上手い


StarWars.com



Episode V:オゼル提督の死


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『帝国の逆襲』に話題を移そう。このマンガ版は工藤俊生による作品である。オゼルの死の描写は映画と同じ、ホログラフィックスクリーンの向こうにいる提督を、ベイダーはテレキネシスによって首を絞めている。唾やおそらく血であろうものを漂わせるという実に恐ろしいディティールで、オゼルは5コマ以上に渡って苦悶し、身を震わせている。


オリジナルであるマーベル版はたったの2コマ、異なるシーンの該当部分を合わせることによって構成されている。エピソードⅤにおいて新しく登場した帝国軍将校たちの数を考慮すれば、この画像のような間違いを犯すのも無理はない。作者であるAl WilliamsonとCarlos Garzonはオゼルの死の描写において、ニーダ艦長に似た人物を登場させてしまっている。ニーダはベイダーの目の前で亡くなっているので(彼は暗黒卿の元を訪れ、直接謝罪をしている)、この描写は映画とは一致しない。




エピソードⅤ:血は必ず流れる


(画像が見つかりませんでした。申し訳ありません。 - 管理人 -)

このページの該当シーンはアメリカ版には存在しない。脚元の勇敢な反乱軍兵士たちを踏みつけ、進撃するAT-ATを、工藤俊生は上手く描いている。帝国軍将校の邪悪な笑みに注目して欲しい。




エピソードⅤ: 首を切られるベイダー


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ルークとダースベイダーの分身による奇妙な戦闘は、『帝国の逆襲』の製作段階において、とても慎重に扱われたシーンであった。首をはねた時の血を工藤は少し多めにしているとはいえ、日本版は映画に非常に忠実である。一方で、アメリカ版には明らかに異なる点が多く存在する。 


ルーカスフィルムはこのシーンを極秘扱いにした為、アメリカ版が極わずかな関連写真だけを頼りにしているのは明らかだ。よって、戦闘シーンでのルークは上半身が裸へと変更されている。そして、Comics Code Authority(コミックス倫理規定委員会)の存在が、Al Williamsonにとって"首はね"を描く上での妨げとなっていたように思われる。例えそれが記号的であったり、非現実的なものを意図していたとしてもだ。その結果、マーベル版では、ベイダーのヘルメットが転げ落ち、ルークの顔があらわれるという、いささか物足りない戦闘の結末となっている。




エピソードⅤ:手を失うルーク


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背景を描いていない、もう一つの例だ。真っ白な背景に、切断されたルークの手が描かれている。切断した時の流血のディティールもまた、このマンガ版特有のものだ。


この衝撃的な瞬間の描写が、日本版では2ページに渡って描かれているのに対し、マーベル版では1つのコマに収められている。そしてまた、コミックのカバーに貼られた「コミックス倫理規定委員会」のシールを順守することは、切断シーンをそのまま表現していないことを意味している。よって、ここでは(切断部分が)利用するには好都合な舞台装置によって隠されている。




エピソードⅤ:暴露


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アメリカ版では、ベイダーは実はルークの父親だという衝撃の暴露をページ全体を使って描いている。


日本版において、このシーンは6ページに渡って展開されている。最初の2ページで、恐ろしい事実を紹介し。次の見開きでルークの思考をモンタージュで表現。そして最後のページで、白い背景をまたしても使用し、ベイダーの差し出す手から逃れ、落下することを選ぶルークを強調している。




エピソードⅥ:フェットの最期


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ヒロモト森一による『ジェダイの帰還』のマンガ版に話題を移そう。サルラックへと落ちるフェットの描写の違いに注目して欲しい。マンガ版は、ジャバの表情を描いたり、最後のコマではフェットのヘルメットを組み込んだりと、複雑なコマ配置となっている。


マーベル版はよりストレートな描写で、説明的なセリフが多めだ。




エピソードⅥ:ジャバの首を絞めるレイア


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アメリカ版において、ジャバに対するレイアの復讐には2つのコマが使用されている。しかしながら、どちらのコマもとてもダイナミックに描かれている(特に、ハットの首を絞めている時のローアングルが)。


日本版は複数のページにまたがっている。最初にアクションのカット、そして、かなり・・・アスリート的な動きで 捕獲者の首を絞めるレイアに2つのページが使われている。




エピソードⅥ:フォースにバランスがもたらされる


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とうとう、全サーガのクライマックス。ダースベイダーが暗黒面を切り捨て、自分の息子を救う決断をする、最後のターニングポイントである。マーベルはこのアクションシーンに1ページだけしか使用していない。絵やレイアウトはドラマチックであり、テキストは簡潔で力強い。しかしながら、たったの1ページだと(そして、皇帝がルークに電撃を浴びせたのは、1つ前のコマだけであることを頭に入れて欲しい)、あまりにも急ぎ過ぎてるように感じる。


マンガ版は慎重だ、ベイダーの運命を決する決断に、贅沢にも8ページが使用されている。ヒロモトという表現者によるギザギザで、ひどく興奮した絵は、皇帝の悪心を表すためだ。そして、見開きページ全体を使い、次の行動を熟考するベイダーの顔を描いている。



以上で記事はすべて。


次回は、この記事に対する海外反応とか、色々な補足などのエントリーをアップ出来ればと思っております。



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無題