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スポーツの自立を目指して Jリーグ20年/忠鉢信一(朝日新聞編集委員)

nippon.com 4月18日(木)23時26分配信

1993年5月にJリーグが開幕して20年が経つ。

10クラブで始まった後、毎年のようにチームが加わり、1999年からはJ1・J2の2部制となった。

現在、J1が18クラブ、J2が22クラブ。さらにその下位にあたるプロ・アマ混在の日本フットボールリーグ(JFL/全18チーム)には、Jリーグが定める経営・運営面の条件を整えJ2昇格を目指す準加盟クラブが6つある。

無謀な経営によるチーム解散も

この20年には浮き沈みがあった。

立ち上げには元ブラジル代表のジーコら海外の名選手も参加した。1993年の流行語大賞を受賞するなど、国内外で存在感を急速に広めた。1試合の平均入場者数も1年目は1万7976人、2年目は過去最高の1万9598人となった。

その後、景気の後退などの逆風もあってJリーグブームは急速に冷め、5年目の1997年には1試合平均の入場者数が1万131人にまで減った。バブル景気の崩壊になぞらえて「Jリーグバブルがはじけた」とも言われた。

1997年には清水エスパルスの運営会社が資金繰りに窮し、地元企業の出資で新設された別会社へ経営権を譲渡した。クラブは辛うじて存続したが、ブームに乗じた経営はいつか破綻するという事例をサッカー界に突きつけた。

翌年にはさらに深刻な事態が起きた。横浜フリューゲルスのスポンサー企業の一つが本業で経営不振に陥ったため撤退し、事実上の解散。チームは1999年に横浜マリノスに吸収合併された。その根底にはチーム運営費の無駄やぜいたくもあった。

ホームタウン重視と日韓W杯に乗じた人気再燃

こうした痛手はJリーグ全体の意識を、一企業の支援に依存せず、地元「ホームタウン」の幅広い企業からの広告収入と、ホーム試合での入場料収入の規模に見合った「身の丈にあった経営」に向けさせた。

Jリーグの人気と価値が盛り返すのは、各国代表チームが4年毎に世界一を争うワールドカップ本大会の2002年日韓共催が契機だった。大会前年からJ1の平均入場者数は増加に転じ、2007年、2008年は1万9千人台を回復。近年は1万7千人前後で推移している。2010年にはJ1、J2の累計入場者数が1億人を突破した。

Jリーグは今やすっかり日本の日常に溶け込んでいる。

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最終更新:4月18日(木)23時26分

nippon.com

 

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