腹びれイルカ[太地くじらの博物館]
昨日まで、お仕事で和歌山県に出張、和歌山自然博物館、アドベンチャーワールド、太地くじらの博物館、串本海中公園と立ち寄らせてもらってきました。 まだ葛西とかしながわ水族館とかの写真がいっぱいあるのだけど、特別に一話だけ速報! このなんとな〜く、八景島ドルフィンファンタジーっぽい写真、実は太地くじらの博物館マリアナリウムと呼ばれる施設。 さてさて、この写真で間違い探しをして下さい。 どう考えてもおかしいぞ?と思うところないですか? ↓ ↓ はい、そうです!真ん中のイルカ。 イルカにはあるはずのない腹びれが付いている。 しかし!これが間違いではないのだ。 このイルカこそ、現在世界で唯一飼育されている腹びれのついたイルカなのであらせられる!!!! 昨年10月に太地沖で捕獲されたバンドウイルカの中に見つかったメスで、見たくて見たくてしょうがなかったのだけど、ラッキーなことについ最近、このトンネル水槽に展示が始められたところだったのだ。 拡大したら、ジャジャンッ! 学者先生たちの見解では、これは確かに腹びれとのこと。 軟骨らしきものも残っているんではないかともおっしゃってる。 実は、よーく見ていると、時々、この腹びれをブルブルと震わせるのね。 推進力にはまったく役にはたってないけれど、動かすことはできるようなのですよ。 この腹びれイルカを見るのに、トンネル水槽はとても都合がいい。 こんな風に腹びれをきれいに見せてくれる。 こうしてみると、恐竜時代の魚竜イクチオサウルスに似ているよね〜。 イルカはもともとは陸上の哺乳動物だったのだけど、およそ5千万年ほど昔に海での暮らしに適応しはじめた。 その適応の段階で、前脚はヒレになり、後ろ脚の代わりに尻尾を尾びれ状にすることで推進力を得て、後ろ脚は水流の邪魔になるので短くなっていった。 その途中段階で、こんな風に、後ろ脚が腹びれに変化した時期があったとされている。 つまり、先祖返りということですね。 それで、愛称は「はるかちゃん」 遙か悠久の時間を飛び越えてやってきたイルカというワケ。 鯨類の後ろ脚先祖返りというのは、今までにも発見されているものの、あまり例がないのだって(8例だけ)。 さらにヒレ状というのはめったになく(2例)、バンドウイルカでは初めてという珍しさ。 嬉しいことに、はるかちゃんはけっこう愛想がよくて、こんな風に遊びにやってきてくれる。 一緒に入っているイルカたちは、太地沖で捕獲されたときの一団なのだけど、その仲間たちに「ヘンなのが付いてる〜恥ずかし〜!」なんていじめられている様子はない。 みんな仲良くて、次々と遊びに来てくれるし、イルカプールとしては、今、最もホッとなプールと言っていいでしょうね。 ちょっと遠いけれど、イルカファンはぜひこの機会に太地まで足を伸ばされることをオススメします。 尚、この水槽は「撮影禁止」となってるのだけど、カンチョは許可をいただいて撮影させてもらいました。 ところで、先祖返りって、ヒトにもけっこうある。 全身乳児毛に覆われているとか、尻尾がついてたとか、生まれて直ぐに切ってしまうけどね。 最も一般的なのは副乳。ボクも2つ余分にある。 全部で6つある人とか、副乳もちゃんと膨らんで母乳が出る人もめちゃくちゃ稀というわけじゃなくいるらしい。 副乳はヒトがサルだった以前のネズミみたいな動物だった時代の名残ね。 だから、副乳持ってるボクは、その頃の名残で完全夜行性動物です。 ●中村元のトークライブ→水族館ナイト! 〜水族館は日本の文化になる〜 ●カンチョ今年の最新著→『恋人はイルカ〜ドルフィントレーナーにあこがれて〜』 |