詐欺:首都圏呼び出し型オレオレ横行 東京駅などで手渡し
毎日新聞 2013年04月19日 14時02分(最終更新 04月19日 15時22分)
新潟県や愛知県で、息子を装う男から首都圏に呼び出され、お年寄りが多額の現金をだまし取られる新手の事件が相次いでいる。被害者はいずれも犯人に言われるままに新幹線に飛び乗り、東京駅などで現金を手渡していた。新潟県警は「首都圏への現金持参型オレオレ詐欺」と命名。被害拡大を防ぐため、JR東日本に協力を要請し、上越新幹線車内で注意を呼び掛けるアナウンスを始めた。【山本愛、稲垣衆史】
新潟県警によると、新潟市内の70代の男女4人が被害に遭った。同市西区の女性は5日午前8時半ごろ、息子を名乗る男からの電話で「会社の金約900万円が入ったかばんを無くした。急いで現金を持ってきてほしい」と頼まれた。女性は500万円を用意して上越新幹線で上京、東京駅で息子の代理を名乗る若い男に現金を手渡したという。
同様の手口で、この日は別の女性が350万円、男性が800万円、さらに9日には女性が450万円を同新幹線の東京駅や大宮駅でだまし取られた。
また、愛知県警によると、同県津島市の60代の無職女性が17日、750万円を詐取された。長男を名乗る男から、「会社の金を勝手に借りた。監査までに穴埋めがいる」と電話があり、預金を引き出して新幹線で品川駅へ。長男の代理という男に同駅近くで現金を手渡した。
同じ手口で東京駅に呼び出されたという新潟市の女性(78)は毎日新聞の取材に「我が子を思う母心を利用された」と憤った。女性の自宅に次男(51)を名乗る男から電話があったのは今月中旬の午前10時ごろ。「株に手を出して会社の金1200万円を使い込んだ。今日の午後3時までに東京駅にお金を持ってきて」とせがまれた。東京にはなじみがなく不安だったが、「新幹線に乗れば2時間。一本でも早い新幹線で行こうと思った」と振り返る。偶然自宅を訪れた銀行員が「おかしい」と指摘し、県警に通報したという。
新潟県警によると、近年のオレオレ詐欺は現金を振り込ませるか、自宅まで受け取りに来る手口が多く、上京させる手口は珍しい。「見知らぬ土地の人混みは犯行には好都合。新幹線で簡単に上京できる地域を狙ったのではないか」とみている。