Go2Group 丹羽です。これまで JIRA のプロジェクト管理に関する記事をいくつかご紹介してきましたが、今回はすこし趣向を変え、JIRA の持つ強力な検索ツール “JIRA Query Language (JQL)” についてご説明したいと思います。
JQL のメリット
課題管理を行う際に、(表計算ソフトではなく) 課題管理の専用ツールを使用するメリットはいくつかありますが、その中の一つに「課題の情報をいつでも抽出できる」というものがあります。
例えばある開発者が対応中の不具合の数をカウントする、一定期間中に作成された課題の数と、解決された課題の数を比較する。こういった処理は課題管理ツールの得意とするところで、JIRA では課題の検索条件をフィルターとして保存していつでも最新の検索結果を閲覧したり、円グラフや棒グラフに検索結果を描画するといったことまで可能です。
しかしながら、こういったツールにも難しい処理があります。詳しくは後述しますが、例えば「今年の 8 月末に、A さんが担当していた課題の数と、7 月末に担当していた課題の数を比較したい」「開発チームの中で、あるステータス 以外 のステータスの課題を検索したい」といった処理は、開発現場でよく発生する要件ですが、JIRA の以前のバージョンでは実行することができませんでした。
もちろん、課題管理ツールは課題の履歴を DBに 保存しますので、原理的には DB を検索すればこのような操作は可能です。しかしながら、DB に対してアクセスできる権限を持っている必要がありますし、また課題管理ツールのテーブル構造を把握し、それに対して適切なクエリを発行しなくてはならないため、あまり現実的とは言えない方法でした。
JIRAは、4.4 から SQL ライクな課題検索ツール、”JQL (JIRA Query Language)” を実装する事で、この問題を解決しました。これまでの課題検索よりもはるかに豊富なオプションを提供する一方で、JIRA にアクセスできる権限があるユーザーはだれでも使用できます
（もちろん、検索結果として表示されるのは、自分がアクセスできる課題に限られます）。
JQL の使用方法
JQL にアクセスするのは簡単です。JIRA のヘッダー メニューにある 課題 > 課題の検索 から課題ナビゲータを表示し、次の画面で 高度な検索に切り替え を選べば以下の画面が表示されます。
スクリーンショットの右側にある 構文ヘルプ をクリックすればオンライン マニュアルに移動できますが、ここではいくつかの例を挙げて JQL の機能を紹介していきたいと思います。
あるステータス「以外の」ステータスにある課題を確認したい
JQL では “Not” を使って構文を構成できます。例えば “Open” 以外のステータスの課題を抽出したい場合
Not Status = Open
という構文が利用可能です。もちろん、ステータスではなく担当者や課題タイプなどでもこの構文は使用できます。また、同じ検索結果を
Status != Open や、
Status is not Open という構文で得る事もできます。
値がフィールドに入力されていない課題を抽出したい
期限日の入力忘れが発生している課題を調べたい、という場合は、以下の構文を使用できます。
duedate = empty
フィールドに値が入っていない課題を確認することは、JQL でのみ可能です。
フィールドの値がある一定以上 (または以下) の課題を抽出したい
JIRA には、課題の「投票」機能があり、実現してほしい機能改善要求にユーザーが投票を行う事ができます。例えば、投票数が 5 件以上の課題を抽出したい場合は
vote >= 5
で確認できます。
また、期限日が特定の日時より以前に設定されている課題は
duedate <= "2011/10/15"
のような構文で確認を行う事ができます。
ある時点で開発者が担当していた課題の数を確認したい
JQL の "WAS" を使用して、この要件を実現できます。例えば、yamada さんが 2011 年の 8 月末に担当していた課題の数は、
assignee was yamada on "2011/8/31"
で抽出が可能です。3 週間前の週末時点の情報が知りたければ、
assignee was yamada on endofweek(-3)
が利用できます。
いかがでしたでしょうか。JQL の完全なドキュメントは こちら にあります。また、API を利用して別のプログラムから JQL を使った課題検索も可能です。是非 JQL を使いこなして、JIRAの課題検索マスターになってください! ここまでお読みいただき、ありがとうございました。