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事件
【生活保護を問う】なぜ2億4千万円も支出したか 「気付かないふりをするのが合理的」
A格付け世帯
生活保護制度に詳しい学習院大の鈴木亘教授(社会保障論)は「暴力団関係者などいわく付きの人に対してどうしても審査が甘くなる傾向がある」と指摘した上で「担当者がおかしいと気付かないはずがない。気付いてしまったら何かしなければならなくなるので、気付かない行動をするのが合理的と、先送りにしたのではないか」と分析する。
クレーマーとしても知られていた男は、原則月に1度以上の面会を求める「A格付け」世帯として、「取り扱いの非常に難しい案件」と市側に認識されていた。にもかかわらず、ケースワーカーが8回連続で男と面会できないなど、市は男の居住実態を把握できないまま放置した。
詐欺罪などに問われた札幌市の介護タクシー会社役員の公判で、証言台に立った福祉事務所の査察指導員(当時)は「世帯主に会わなければならないという決まりはない」と答えた。
申請書類や手続きに誤りがなければ問題はない-。その間、男は札幌市内の高級マンションなどを転々とし、高級車を何台も乗り回していたが、市がこうした男の実態に目を向け、支給を見直すことはなかった。
鈴木教授は「今回のケースで不作為があったのは間違いがない」と断じた。
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