関西電力は18日、国内で唯一稼働する大飯原子力発電所3、4号機(福井県)が、7月に施行する新規制基準を満たしているとする報告書を原子力規制委員会に提出した。関電は6月末までに120億円を投じ、追加の安全対策をとる。規制委は19日から審査を始め、問題がなければ9月までの運転継続を認める見通しだ。
項目 | 関電による 現状評価 | 今後準備する対策 (継続運転には不要) |
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地震 | 最大の地震動は700ガル | ― |
津波 | 最大の高さは2.85メートルで対策は不要 | 防潮堤(2014年3月完成) |
緊急時対策所 | 中央制御室の横の会議室を利用 | 免震事務棟(15年度前半) |
特定安全施設※ | ― | フィルター付きベント装置など(17年度) |
(注)※は5年の猶予
新基準による検証作業は初めて。規制委、電力会社の双方とも手探りの状態で、大飯が1つの指標になる可能性が高い。
過酷事故への追加対策として、電源車の台数を増やすほか、汚染水が海に流出するのを防ぐフェンス、原子炉を冷やすための注水ポンプなどを準備する。
津波対策については、最大の高さを2.85メートルと想定、敷地の高さが9メートル以上あるため、防潮堤がなくても問題はないと判断した。新たな防潮堤を整備中だが、「あくまで自主的に対応する措置だ」と説明している。事故時の指令拠点となる「緊急時対策所」も既存の会議室で代用できるとみている。
規制委は報告書に大きな問題がなければ9月まで大飯の稼働継続を認める方針で、6月下旬にも結論を出す。大飯が動き続ければ、関電は電力需要が伸びる夏場も3%の供給余力(予備率)を確保できる見通しだ。
9月に定期検査に入った後の再稼働は不透明だ。重要施設の下に活断層が存在する可能性が指摘されており、規制委は専門家会合の評価がまとまるまで再稼働を認めない考えだ。関電は原発停止に伴う火力燃料費の増加を理由に、1日から大口向けの電気料金を値上げし、5月から家庭用も引き上げる。再稼働が遅れると追加値上げを迫られる可能性もある。
関電は高浜3、4号機(福井県)の再稼働も目指すが、高浜の敷地の高さは3.5メートルで、大飯ほど津波に対する余裕はない。関電は「万全を期す」として2016年3月までに防潮堤を完成させる計画だが、規制委の判断次第では追加の対応が必要になる。
関西電力、大飯原子力発電所
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