目次 › 2013年4月9日放送の17時台の特集/バックナンバー
アンカーズアイ 〜基地返還計画と沖縄の現実〜
(安倍首相)「このたび、嘉手納以南の返還計画について日米双方で合意に達しました。まさに目に見えるかたちで沖縄の負担軽減が進む事になりました」
沖縄県・普天間基地を含む嘉手納基地より南にあるアメリカ軍施設の返還計画。今回、合意された返還計画では、沖縄本島にあるアメリカ軍施設のうち6施設の具体的な返還時期が明記されました。中でも軍需物資の貯蔵や補給などに使われている牧港補給地区は274ヘクタール、甲子園球場およそ70個分の敷地が返還される予定です。
(鈴木哲夫リポート)「地元の皆さんが一番返還を望んでいるのが、ここから向こうです、牧港補給地区です。非常に広大です。今、メディアや安倍政権が早ければ今年度中に返ってくると言っているのが、ここにつながる、このわずか700mの道路なんですね。ご覧になってわかるように実はなんの不自由もなく、車が通っていますし、ここを返すと言われてもいったい返還問題の本質的なところなのかと疑わざるを得ません」
広大な牧港補給地区の北側に700m延びた道路。アメリカの許可を得て一般の車も行き交い、地元では以前から生活道路として使われています。
この道沿いで弁当店を営む店主は・・・「これ返してもらってもしょうがないもん。返還されたってな、別に何の意味もないでしょ」
また、早ければ来年度に返還される予定なのが牧港補給地区の南にある第5ゲート付近の区域。
(鈴木リポート)「第5ゲートさっきの反対側にあるんですけど、そこにへばりついている、この一角、土地なんですけどもご覧いただいたらわかるように形がものすごく歪なんです」
ここでは2ヘクタールの土地が返還されますが、曲がりくねった敷地であるため、米軍もほとんど使っていなかったと地元の人は話します。
取材を進めていくうちにあるキーワードを見つけました。「軍用地求む…」
ここで言う軍用地とは米軍基地に使用される土地のことです。米軍基地の近くでは不動産会社が公然と看板を掲げ、軍用地の売買が行われています。軍用地を持つ地主は毎年、平均で200万円ほどの借地料を得ているといいます。
地元の不動産業者に聞くと…「普通の取引と違うのは軍用地ですから、あなたの土地は基地の中ですから(下)ここですよ”って見る事がまずできない。どういうふうにして取引するかというと、借地料、どこどこの基地のここ、借地料が年間いくら入りますということで、その金額を基にそれの何倍かという形で金額が設定されて売買取引される形になっていますね」
基地とかによって違いは?「嘉手納基地とかですね、そういう所はほぼ返還がないだろうと、安定的な利回りを考える上では投資の対象としては人気があるのが現状です。フェンスの中に土地を持っている、外に持っているということで全然収入が違うと、このフェンス1枚で借地料がもらえる方と全然収入がない方がいますので、貰っている方は恩恵を受けているというのはあるでしょうね」
バブル崩壊後、日本の地価は下落傾向ですが、軍用地は常に上がり続けていて、年間3%前後の利回りがあります。最近、沖縄県外から「投資目的」で軍用地を購入する人が増えています。基地を負担している地主に払う借地料が沖縄県外にいる投資家に対しても、私たちの税金から払われているのが現実です。今後、日米合意で嘉手納以南の米軍基地が返還されたらどのような影響が出るのでしょうか?
牧港補給地区の地主たちで構成される浦添市軍用地等地主会のトップは・・・「地主会に入っている地権者は2300人余りいるんですよ、その会員の中でも、60歳以上の方が6割以上を占めていて、ほとんど60歳以上ですから仕事もないわけですよ」「平均すると大体(借地料が)200万円くらいになるわけで、それは家計収入の中でも60〜70%占めているので、実際基地があるがゆえにそれだけの収入があるわけですから、そういうことでは即返還という形では私どもは求めていないんです」
那覇空港と那覇市内の間にある牧港補給地区、返還されれば地元の浦添市が主導して再開発をする計画が浮上しています。
「浦添市の土地であるとか、沖縄県の土地は1平米もないんですよ、まったく民間の土地ですから、それをどう使うかは(地権者)2400名の考え方がうまい具合に合意形成できないと、描いた絵も実際には出来っこないわけですよね」「今、借地料収入でもって(牧港全体で)44〜45億円、基地従業員収入が60億円、交付金とか合わせて130億円くらいの金が入っているかと思うんですよ、そのくらいの金が返還後スムーズにまた、同じように経済的に生み出されていくかとなると地主としてもかなり不安があるのではないか」(地主会幹部)
そんな中、基地施設が返還されて、再開発で成功した町もあります。北谷町美浜にあるアメリカンビレッジ。ここは30年前まで米軍施設がありましたが基地返還を機に、その後巨大ショッピングモールやアミューズメントタウンを建設し、多くの観光客を集めています。
牧港補給地区には以前、“城下町”と呼ばれた屋富祖地区があります。最盛期には人口も現在の3倍、1万5000人が住んでいたといいます。屋富祖地区の歴史を1冊の写真集にまとめた自治会長の松田勝夫さんは…「軍関連の建築業などで栄えた地区です。以前はにぎやかで、この狭い地区に映画館が4つもあった」
しかし、地区は今では人通りも少なく、商店街にはシャッターが目立ちます。鈴木が「基地に振り回されたという感じですか?」と聞くと、松田さんは…「庶民はどうしてもそうなるよね」
(小野寺防衛大臣)「嘉手納以南の土地が1日も早く(返還が)実現できるように、当然のことですが、地元のご意見を聞きながら、政府全体で取り組んでいきたいと思います」
先週末、仲井真沖縄県知事と会談した小野寺防衛大臣は改めて基地返還の早期実現へ決意を語りました。そして石破幹事長は沖縄県連大会に出席し、米軍基地返還後の跡地利用を促進するための協議会を立ち上げるべきとの考えを述べるなど、返還への意欲を見せています。日米合意で発表された嘉手納以南の6施設のうち、速やかに返還されると言われているのは面積にして全体のわずか6%。結局は10年後の2022年度までに返還を目指す、普天間基地の移設次第となりそうです。
沖縄県・普天間基地を含む嘉手納基地より南にあるアメリカ軍施設の返還計画。今回、合意された返還計画では、沖縄本島にあるアメリカ軍施設のうち6施設の具体的な返還時期が明記されました。中でも軍需物資の貯蔵や補給などに使われている牧港補給地区は274ヘクタール、甲子園球場およそ70個分の敷地が返還される予定です。
(鈴木哲夫リポート)「地元の皆さんが一番返還を望んでいるのが、ここから向こうです、牧港補給地区です。非常に広大です。今、メディアや安倍政権が早ければ今年度中に返ってくると言っているのが、ここにつながる、このわずか700mの道路なんですね。ご覧になってわかるように実はなんの不自由もなく、車が通っていますし、ここを返すと言われてもいったい返還問題の本質的なところなのかと疑わざるを得ません」
広大な牧港補給地区の北側に700m延びた道路。アメリカの許可を得て一般の車も行き交い、地元では以前から生活道路として使われています。
この道沿いで弁当店を営む店主は・・・「これ返してもらってもしょうがないもん。返還されたってな、別に何の意味もないでしょ」
また、早ければ来年度に返還される予定なのが牧港補給地区の南にある第5ゲート付近の区域。
(鈴木リポート)「第5ゲートさっきの反対側にあるんですけど、そこにへばりついている、この一角、土地なんですけどもご覧いただいたらわかるように形がものすごく歪なんです」
ここでは2ヘクタールの土地が返還されますが、曲がりくねった敷地であるため、米軍もほとんど使っていなかったと地元の人は話します。
取材を進めていくうちにあるキーワードを見つけました。「軍用地求む…」
ここで言う軍用地とは米軍基地に使用される土地のことです。米軍基地の近くでは不動産会社が公然と看板を掲げ、軍用地の売買が行われています。軍用地を持つ地主は毎年、平均で200万円ほどの借地料を得ているといいます。
地元の不動産業者に聞くと…「普通の取引と違うのは軍用地ですから、あなたの土地は基地の中ですから(下)ここですよ”って見る事がまずできない。どういうふうにして取引するかというと、借地料、どこどこの基地のここ、借地料が年間いくら入りますということで、その金額を基にそれの何倍かという形で金額が設定されて売買取引される形になっていますね」
基地とかによって違いは?「嘉手納基地とかですね、そういう所はほぼ返還がないだろうと、安定的な利回りを考える上では投資の対象としては人気があるのが現状です。フェンスの中に土地を持っている、外に持っているということで全然収入が違うと、このフェンス1枚で借地料がもらえる方と全然収入がない方がいますので、貰っている方は恩恵を受けているというのはあるでしょうね」
バブル崩壊後、日本の地価は下落傾向ですが、軍用地は常に上がり続けていて、年間3%前後の利回りがあります。最近、沖縄県外から「投資目的」で軍用地を購入する人が増えています。基地を負担している地主に払う借地料が沖縄県外にいる投資家に対しても、私たちの税金から払われているのが現実です。今後、日米合意で嘉手納以南の米軍基地が返還されたらどのような影響が出るのでしょうか?
牧港補給地区の地主たちで構成される浦添市軍用地等地主会のトップは・・・「地主会に入っている地権者は2300人余りいるんですよ、その会員の中でも、60歳以上の方が6割以上を占めていて、ほとんど60歳以上ですから仕事もないわけですよ」「平均すると大体(借地料が)200万円くらいになるわけで、それは家計収入の中でも60〜70%占めているので、実際基地があるがゆえにそれだけの収入があるわけですから、そういうことでは即返還という形では私どもは求めていないんです」
那覇空港と那覇市内の間にある牧港補給地区、返還されれば地元の浦添市が主導して再開発をする計画が浮上しています。
「浦添市の土地であるとか、沖縄県の土地は1平米もないんですよ、まったく民間の土地ですから、それをどう使うかは(地権者)2400名の考え方がうまい具合に合意形成できないと、描いた絵も実際には出来っこないわけですよね」「今、借地料収入でもって(牧港全体で)44〜45億円、基地従業員収入が60億円、交付金とか合わせて130億円くらいの金が入っているかと思うんですよ、そのくらいの金が返還後スムーズにまた、同じように経済的に生み出されていくかとなると地主としてもかなり不安があるのではないか」(地主会幹部)
そんな中、基地施設が返還されて、再開発で成功した町もあります。北谷町美浜にあるアメリカンビレッジ。ここは30年前まで米軍施設がありましたが基地返還を機に、その後巨大ショッピングモールやアミューズメントタウンを建設し、多くの観光客を集めています。
牧港補給地区には以前、“城下町”と呼ばれた屋富祖地区があります。最盛期には人口も現在の3倍、1万5000人が住んでいたといいます。屋富祖地区の歴史を1冊の写真集にまとめた自治会長の松田勝夫さんは…「軍関連の建築業などで栄えた地区です。以前はにぎやかで、この狭い地区に映画館が4つもあった」
しかし、地区は今では人通りも少なく、商店街にはシャッターが目立ちます。鈴木が「基地に振り回されたという感じですか?」と聞くと、松田さんは…「庶民はどうしてもそうなるよね」
(小野寺防衛大臣)「嘉手納以南の土地が1日も早く(返還が)実現できるように、当然のことですが、地元のご意見を聞きながら、政府全体で取り組んでいきたいと思います」
先週末、仲井真沖縄県知事と会談した小野寺防衛大臣は改めて基地返還の早期実現へ決意を語りました。そして石破幹事長は沖縄県連大会に出席し、米軍基地返還後の跡地利用を促進するための協議会を立ち上げるべきとの考えを述べるなど、返還への意欲を見せています。日米合意で発表された嘉手納以南の6施設のうち、速やかに返還されると言われているのは面積にして全体のわずか6%。結局は10年後の2022年度までに返還を目指す、普天間基地の移設次第となりそうです。
2013年4月9日放送