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腹鰭のあるイルカ、くじらの博物館へ |
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2006年10月28日に、行なわれた追い込み漁で捕獲したイルカの群れの中に、腹鰭のあるイルカが1頭確認されました。
400周年記念イベントとしてご講演いただくため、来町中だったくじらの博物館名誉館長である大隅清治氏に、捕獲されたこのイルカの写真を確認していただいたところ、「これは世界にも珍しいもので世紀の大発見となる。」という見解をきっかけとしてこのプロジェクトが大きく動き出しました。私たちの認識では単なる鰭ではありましたが、鯨類研究の第一人者である大隅名誉館長の見解にその貴重性を再認識いたしました。
すぐに確認作業が開始され、撮影を行うこととなりました。11月4日には報道向けの会見が行われ多くの方々の知るところとなったのです。
11月13日、腹鰭のあるイルカを太地港内のいけすよりくじらの博物館に移すことになり、東京海洋大学教授 加藤秀弘氏の指揮の下、沖縄美ら海水族館職員、くじらの博物館職員他関係者約30人によって、慎重に作業が進められました。博物館ショープール横の補助プールに、腹鰭のあるイルカと共に、このイルカと相性の良いイルカ1頭が搬送されました。この貴重なイルカの研究のため、ショープールで行われていたイルカのショーとトドのショーは、当分の間中止されます。
現在、総合的な研究計画は、大隅清治名誉館長が中心となって策定しております。
世界的にも注目を集める大変貴重なこのイルカを我が太地町で発見し、飼育、研究できることに大きな喜びと感動を感じます。
和 名:バンドウイルカ
英 名:Bottlenose dolphin
学 名:Tursiops truncatus
体 長:273p
体 重:約220s
年 齢:推定10歳
性 別:雌
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11月13日いけすから博物館への搬送作業の模様
中央:東京海洋大学教授 加藤秀弘氏
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中央の小さい鰭が腹鰭
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恵比寿神の来訪を歓迎する |
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今年の「太地浦くじら祭」は、古式捕鯨発祥四百年の記念行事として、10月28日から11月5日まで盛大に開催されました。そして、このお祭をお祝いするために訪れたかのように、初日の朝にマゴンドウとバンドウイルカの大きな群れが太地の浦に接近し、いさな組合の人々によって捕獲されました。しかもその中の、大変に珍しく、学術的にとても貴重な、1頭の“腹鰭のあるイルカ”が、生きて捕らえられました。このイルカは、遠い海の彼方から太地の町に幸福と恵みをもたらすために来訪した、“恵比寿神”の化身に違いありません。
このイルカはすでに、国内はもとより世界に大きく報道され、“鯨の町”としての太地町の名声が広く発信され、人々の大きな関心が寄せられています。そして、鯨類の数千万年の長い進化の途中で存在していたに違いない、悠久のロマンに満ちた、このイルカが生きて泳ぐ姿を一目見たいと、多くの人々が世界中から太地町を訪れることが期待されます。
私たちは、この太地町を選んでわざわざ訪れて下さった恵比寿様を心から歓迎し、永く、大事に飼育し、できれば子供を生んでもらって、「くじらの博物館」を訪れる人々に楽しんで頂きましょう。そして、世界の優れた研究者に参加して頂いて、このイルカを総合的にしっかりと研究して、世界の鯨学の発展に太地町が大きく貢献するだけでなく、このイルカを介して、町をさらに活性化して、発展させようではありませんか。そのためにも、このイルカを町の皆様が可愛がって下さり、それを飼育している「くじらの博物館」に対しまして、一層のご理解と強いご支持を賜りますよう、お願い申し上げます。
太地町立くじらの博物館
名誉館長 大 隅 清 治
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