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テーマ:ブログ「そなた達の気持ちは分かった。
要するに自分達より身分が低い女を妃として認められない…そういうことか。」
王は言葉を投げかけたが、皆俯き答えない。
王の怒りを買うことを恐れているのだ。御秀堂養顔痩身カプセル第3代
先程不満を口にした女性達だけが、そんなのおかしいと思っているのではない。
声に出さなくとも、大勢の心の中に「平民が王妃だなんて…、」という感情が多かれ少なかれ存在している。
側室でも愛妾でもよいではないかと、子が出来たから王妃になれるのかと感じているのだ。
「寿は宮司の娘であり、母御は貴族出身だ。
だがそのようなことは関係ない。
農民の娘でも貧しい商家の娘でもな。」
先程その事を言い放った女性達は、王の怒りを感じ恐ろしさに顔を俯かせている。
王は王妃付の侍女達の方へ顔を向けた。
「そなた達はどうだ。王妃を…守れるか。」
守り、敬い、命に従い、もし危険があれば諌めることが出来るか…それが王が王妃付の侍女達に求める事だ。
そう告げると彼女達は迷う事なく頭を下げる。
王は小さく頷く。
王妃付の侍女は寿に忠誠を誓っている。
そして下級女官達は皆不満はなさそうであるし、一部の貴族出身の娘達もそこまで反発していないようだ。
だが大勢の高級女官達は納得していない。
それでも力でねじ伏せるのは得策とは言えない、何故ならそうする事が余計事態を悪化させ、結果として寿や紗々に被害が及ぶ可能性があるからだ。
王は暫く考え込み、すっと顔を上げた。
「寿を王妃として敬えぬ者はいらぬ。
即刻城を出るといい。」
皆が顔を上げる。
「と言いたいが、それでは事の解決にはならない。」
たかが女官の事で…とは言えない事情がある。
王がどんな対応を取るかによって、彼女達の家、家族に対しても影響を及ぼすのだ。
「今まで通り各々の職務につけ。
だが敬えぬ者は私と王妃と姫の側には置かない。
いざとなった時王妃の命に従えぬ者は本丸を出ろ。
それさえも拒むならば城を出ろ。」
これが最善の策だ。
女官達を追い出して、新しい女性を城に入れても同じことの繰り返しだ。
それから、側室は迎えないから王の寵愛を得る為に城に上がった者は去るようにと告げた。
女官達は誰も声を出さずにいる。
「承知しているはずだが、もし王族に危害を加えれば極刑だ。」
これは誰でも分かっている事実である。
王族を殺せば、本人は勿論一族郎党、死罪、もしくは追放となる。
王があえてそれを言うことにより、その掟を皆に思い知らせた。
「どうするかは其々が決め、侍女頭に報告するように。
如月、そなたに一任する。」
侍女頭…かつての王の乳母であった女性に呼びかける。
それから王は寿に顔を向けた。
それでいいな、と言わんばかりに見つめられ寿は頷いた。
「私の子は全て、王妃の胎から出す。
大切な女性と子を守って欲しい…頼む。」
「姫様、私の姫様。なんとお可愛らしい。」
若草は紗々をぎゅっと抱きしめる。
まだ十八と年若く、乳は出ないが乳母役を自負している。
キョトンとした表情で紗々は彼女を見上げている。
お気に入りの玩具を握りしめながら若草を見上げていたが、だんだん瞼が下がり始め、暫くすると眠ってしまった。御秀堂養顔痩身カプセル第2代
何人かの侍女達がその寝顔を覗き込み、可愛い可愛いと小声で話す。
寿はそんな姿を微笑ましく思っていた。
今は自室に寿と紗々と侍女達だけで、王はいない。
あの後、王は主だった臣下達に王妃を迎える事と既に姫が生まれた事を報告する為、対馬を伴い先に本丸に戻って行った。
貴族の令嬢達と同じで、臣下達も大反対するに違いないがなんとか納得させると王は言った。
反対するに決まっている。
なんの為に娘を城に上げたのかと臣下達は思うだろう。
しかも王子ならまだしも王女であるならば、側室でいいだろうと皆言うかもしれない。
寿は溜息をついた。
日はすっかり暮れたのに王はまだ戻らない。
きっと紛糾しているのだろう。
「寿様、いえ…お方様。
少しお疲れになったのでは?」
「大丈夫よ、神奈。ありがとう。」
寿は笑みを作る。
神奈は心配そうに寿を見つめた。
すると部屋の外からパタパタと足音が聞こえてきた。
侍女頭の元に行っていた一人の侍女が息を切らしながら部屋に入り、寿の前で礼を取る。
「聞いて参りました。」
「如月殿はなんと?」
侍女は顔を上げる。
「下級女官は移動も暇乞いもなかったようでございます。ですが十数人の貴族出身の者達は城を去るそうです。」
「…そう。」
やはり自分を王妃として認めたくない者はいるようだ。
だがそれは責められることではない。高貴な令嬢として育てられた女性達にとっては当然の心理なのかもしれない。
そして王の寵を得られないと分かった以上、城に留まっても仕方ないと判断したのだ。
「お方様、お気を悪くなさる必要はありません。
彼女達の選択です。貴方様は王妃として奥を取り仕切るお方。
貴方様に従えぬということは王に従えぬということ。
恐れ多くも陛下ご自身が私共に『頼む』とまで仰せになったのに、それでも従えぬ不届き者は城にいるべきではありませぬ。」
此花の主張は尤もだが、彼女達を追い出した原因が寿にあることは間違いない。
残った者達も完全に納得した訳ではないだろう。
寿に出来ることは自分を選んだ王の顔に泥を塗らない為にも強く、そして毅然とした態度をとることだ。
王妃としての役割を全う出来れば、分かってくれる者は分かってくれる。
無理やり力づくで強いるのではなく、皆に認められる人間になる努力をするべきなのだ。
愛だけで全てが上手くいく訳ではない。
それでも王への愛があるから頑張ろうと思える。
神奈と此花の顔を交互に見てから寿は頷いて見せた。
二人は安堵したように笑う。
「出て行くのは皆、余所者ばかりですわぁ。」
「余所者?」
菜月がそう言い放った。
彼女は食べていた大福を更に置き、丸々とした体を寿に向けた。
引き目・かぎ鼻・おちょぼ口のぽっちゃりとした女性である。
「五十年前、我が国は戦乱の世を平定し、いくつもの小国を領地としました。
その時都に移ってきた貴族達です。
我が大和の国の古くからの住人ならば、王の決定に否など申しませぬ。」
五十年前…王の祖父の御代、激しい戦があったのは寿も知っていた。
今から十年前にも隣国と戦が起こったが、その時よりも更に大規模な戦争で、勝者も敗者も多大な被害を受けた。
だが財を持つ小国の貴族達は国を捨て、早々と大和に寝返ったので被害を受けることなく現在に至るのだ。
大和に攻め込むと決めたのは彼らであるのに、風向きが悪くなるのを感じ民を土地を捨てた。
そんな国がいくつもあった。
小国の民達は今では大和の国の民として豊かな生活を送っており、民の間では差別意識はないが、早々と国を捨てた貴族のことはどうしても皆そういう目で見てしまう。
風見鶏と揶揄されている。
それが彼女達の矜恃を傷つけていると菜月は語る。韓国痩身一号
「五十年も前のことでも、人々の中にそういう意識があるので、彼女達も劣等感を抱いているのでしょう。」
だからそんな目で見る者を見返す為に出世して権力を握り、家格を上げたい…そう思っているのだ。
そんな中、現れた寿の存在は疎ましい以外何者でもないだろう。
確かな後ろ盾もないのに、王の愛を得ただけで最高の地位を手に入れたのだから。
それだけで人々の尊敬を得られる地位につけるのだから。
それが更に彼女達の矜恃を傷つけたのだ。
「悪口ばかり言って人を陥れることしか考えてない。陥れれば自分が上に立てると思ってるのです。
はっきり言ってざまあみやがれですわぁ。」
「菜月っ、お方様の前でなんと汚い言葉をっ、」
此花が窘める。
寿は首を横に振り「教えてくれてありがとう」と言うと菜月は満足げに笑い、また大福を食べ始めた。
「王城は人々の思惑と欲望が渦巻く場所でございます。
私共が必ずお守り致しますが、その事はお忘れなきよう。」
此花の言葉に寿は頷く。
「分かったわ。これからは今まで以上に気を引き締めます。」
そんな話をしていると部屋の外から足音が聞こえてきた。
その音から察して王が帰ってきたのだと寿はすぐに分かった。
襖が開かれ王が部屋の中に入る。
寿は深く頭を下げ、それに従うようにして侍女も手をつく。
王は若草が抱く紗々を受け取り、軽々と抱き上げた。
眠る我が子の頬に口付けを落としてから、侍女達に退室するよう命じる。
神奈と寿だけが部屋に残った。
王の後ろから対馬が現れ、各々いつもの場所に座る。
寿が王に手を伸ばすと、彼は名残惜しそうに紗々を寿に渡した。
王は目の前の寿の瞳を見据える。
「かなり揉めたが臣下達はなんとか納得した。」
「左様でございますか。」
寿は深い息をつく。
もっと大反対されるかと思ったが上手くいったらしい。
「有力な貴族の御令嬢方を王妃付の侍女にしたのと、無理強いせず女官達の意思を尊重した事が功を奏しました。」
対馬は穏やかな笑みを浮かべる。
以前王が侍女達を直接面接したのはこの時を見据えてのことだった。
常識を弁えた、王家に忠誠を誓う女性達を選び寿につけたのだ。
王直々の人選だと告げると、父親達は惜しいと思いながらも納得した。
娘達は、今まで王の愛を得られなかったのだからこれからも見込みはない。
せめて王妃付の栄誉を手に入れようと考えたのだろう。
そして無理に女官達を追い出さず、自由意志に任せたことにより不平不満は最小限に抑えられた。
「皆様、寿様が王妃になられることをお認めになったのですね。」
神奈は嬉しそうに笑う。
すると王は「そうなのだが…」と言いづらそうに呟いた。
寿がどうしたのかと問うと、覚悟を決めたようで寿を真っ直ぐ見て口を開いた。韓国痩身1号