朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は17日、国会で人事聴聞経過報告書の採択が白紙となった崔文基(チェ・ムンギ)氏を未来創造科学部(省に相当、以下同じ)の長官に、また尹珍淑(ユン・ジンスク)氏を海洋水産部の長官に任命した。また李敬在(イ・ギョンジェ)放送通信委員長、蔡東旭(チェ・ドンウク)検事総長にも任命状を授与した。
この結果、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は歴代政権で最も遅い、発足から52日が過ぎた17日にようやく組閣が終了した。人事をめぐるこれまでの混乱は朴大統領にとって苦い記憶になると同時に、今後も重い負担になりそうだ。大統領職引き継ぎ委員会のときから始まった今回の新政権人事では、国務総理(首相)候補をはじめ、国防部と未来創造科学部の長官候補、公正取引委員長、中小企業庁長、法務次官の内定者、計6人が就任を辞退した。大統領選挙から数えると実に120日。今回の政府人事の流れに「大統合の感動」も見られなかった。
さらに「国民目線と大統領の目線は異なるのではないか」などの指摘も相次いだ。国民目線で問題がありそうな人物を指名し、その後の検証作業や人事聴聞会で予想通りさまざまな問題が明らかになっても、あえて任命を強行するケースもあった。この結果「準備された大統領」というイメージにも大きな傷が付いた。
人事での一連の失敗を謝罪して以降、野党との関係は一時的に雪解けムードとなったが、これも今回の尹珍淑海洋水産部長官の任命をきっかけに再び悪化した。
野党・民主統合党の朴起春(パク・キチュン)院内代表は「尹氏の任命は『人事惨事』の画竜点睛(最後のとどめ)となった。大統領にとっては今後も火種を抱え続ける結果になるだろう」と述べた。また同党の尹官石(ユン・グァンソク)院内スポークスマンも「大統領府での夕食会など、コミュニケーションに向けたこれまでの努力が一気にUターンしてしまった」と批判した。野党だけでなく与党セヌリ党の李相一(イ・サンイル)スポークスマンも「尹長官の実務能力と力量について、国民の多くが疑いの目を向けているのは否定できない事実だ」「尹長官自身は『操り人形のような長官になるだろう』などの批判の声を一蹴したが、これが正しいかどうかは実力で証明しなければならない」とくぎを刺した。