小学生のころ、僕はある奇異なモノに夢中でいました。それは、とあるサッカーマンガの登場人物に纏わる、特定の場面なのですが… ・彼は全国大会で優勝した経歴を持つGK(ゴールキーパー) ・昨年、彼から得点を奪えた者はいなかった ・ペナルティ・エリアの外からは決してゴールを許さない ――― その彼がゴールを許してしまった瞬間 ――― ・彼は倒れたまま起き上がれずに、ゴールに入ってしまったボールを、ただ恨めしそうに見ることしかできないでいる、全能な彼がもはやそうではなくなってしまった瞬間 ・彼のトレードマークである帽子( ドイツのメーカーによる製品 )はどこかに飛び、グローブ( これもドイツ一流メーカー製で、当時の一般人には入手困難な品 )は弾き飛ばされ、僕にはもはやこれ以上の惨めな彼を見続けるのが居た堪れなくなるという瞬間 当時、見ているだけなのに何か良くない事をしている気になりました。人の無様な姿など、楽しむべきものではないとの認識が働いたのかもしれません。ですが、居た堪れない気持ちになるのに、しかし、どうしても見たくなるのです。僕は家の中に家族が誰も居ないことを見計らっては、こっそりとこの場面を身悶えしながら繰り返し読みふけっていました。 僕はふと、今まですっかり忘れていたこの出来事を思い出したのです。それはかの男色家、オスカー・ワイルド(1854-1900)の戯曲、サロメを読み終えた時のことでした。この作品は聖書の記述をモチーフにしたもので、ワイルドはユダヤ教の洗礼者であるヨナカーン(ヨセフ)を、潔癖な男として物語の軸に据えています。彼は主人公サロメ(王女)の、言い換えれば女の、受身の性の、更に言い換えれば男色家としてのワイルド自身の、最も手にし難い存在ともいえます。その侵し難い厳格な男が晒す、一度きりの無力な瞬間。 三島由紀夫の作品の中にも、逞しい男が切り刻まれて命を賭する描写に、悶絶する幼少時代というのがありました。これらと僕の少年時代の思い出に幾ばくかの共通性が見られるのはやはり…… サロメは、男色家による男色家の為の芸術なのでしょうか。 この戯曲の奥底に潜む美しさは、男にしか解らないものなのでしょうか。 アマゾンでも購入できます ★匿名のアンケート よかったら投票してやってください サロメは絵画でもこれまで頻繁に題材となっていて、その作品が今も残っています。僕のお気に入りのブログ(足立区綾瀬美術館 annexさん)でも扱っていますので、よかったらご覧になってください。 訪問ありがとうございました。 |
「サロメ」は、女でもゾクゾクしますよ。
絵画では、ビアズリーの描いた「サロメ」を好きだという女は多いと思います。 しのぶもじずりさんはじめまして、コメントありがとうございます。
なるほど、女性でもゾクゾクするということですね。貴重なご意見を感謝です。 ただし、これしかないっていう、極めつけのエロティシズムかどうかという話になると、女性にあてはまるのはこの形ではないように思いますがいかがでしょうか。 ビアズリーの絵は独特ですよね、僕も好きです。
[2012/07/14 21:30]
URL | ササキ #mmBY2wkg[ 編集]
ご訪問有難うございます。「サロメ」の話ですか…ニャロメなねこじったには敷居が高すぎる世界ですな。男色と言えば、大河ドラマ「平清盛」でもチラリと…。男の色ってどんな色だろぅ…。
[2012/07/15 22:29]
URL | ねこじった #-[ 編集]
ねこじったさんコメントありがとうございます。
恐らく作者は美しい瞬間を表現したまででしょう。それ以上の深読みは不要であると、僕は考えています。芸術の為の芸術なのです。 ということで、絵を見るような純粋な気持ちで、感じたままを味わえばよいのではないでしょうか。スミマセン、偉そうな意見をしてしまいました。 「平清盛」でもありましたね、そういえば。 味はどうなんでしょうね。
[2012/07/16 05:01]
URL | ササキ #mmBY2wkg[ 編集]
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